琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

このミステリーがすごい! 2009年版 ☆☆☆☆


このミステリーがすごい! 2009年版

このミステリーがすごい! 2009年版

内容紹介
お待たせいたしました! ブック・ランキングの決定版、『このミステリーがすごい! 2009年版』の登場です。2008年でもっとも面白かったミステリー&エンターテインメントをランキング形式で発表します。また、過去20位以内にランクインした人気作家53名による新作情報「私の隠し玉」&豪華エッセイや、『チーム・バチスタの栄光』で一躍ベストセラー作家入りを果たした海堂尊による特別書き下ろしのミステリー短編「青空迷宮」、各誌で活躍する書評家たちによる1年の総まとめ『このミス』座談会など、内容盛りだくさん。税込500円とお買い得です!

最近は類書もいくつか出ているのですが、ブック・ランキングとしての「精度」はさておき、この「それなりに使えるブックガイド」が税込み500円だというのは、確かに「本好きにとってはお買い得」ではないかと思います。
隅々まで読めば、かなり時間が潰せますしね。

国内編のランキングを見て感じたのは、「ああ、今年は『警察小説』少ないなあ」ということでした。僕は「精密に警察組織を描いた小説」は苦手なので、少なくても構わないんですが、ミステリーの舞台にも「流行」ってあるみたい。
国内編1位は『ゴールデンスランバー』、2位が『ジョーカー・ゲーム』、3位が『完全恋愛』。海外版は1位が『チャイルド44』。
ちなみに、国内編20位までで僕が既読だったのは、『ゴールデンスランバー』と『聖女の救済』(東野圭吾)だけでした。
熱心な「ミステリ読み」ではないのでしょうがないとはいえ、やっぱりちょっと悔しい。

それにしても、国内編の1位は、『ゴールデンスランバー』か……
僕はこの小説とあまり相性がよくなかったので(僕が以前書いた感想はこちら)、この作品が「伊坂幸太郎の代表作」として褒められまくっていることに、どうも納得できないんですよ。「内容のわりに長すぎる」とも思うし。
でもまあ、2位以下のランキングをみると、今年は他に「これは!」という作品が無かったから、固定ファンが多い伊坂作品が1位になった、ということなのかもしれませんね。個人的には、2年前の『独白するユニバーサル横メルカトル』みたいに、「自力では絶対に手に取らないであろう作品」が1位になると「面白い」のですけどね。

あと、『このミス』を読むたびに思うのですけど、「ミステリー」の範疇って、いったいどこまでなんだろう?
僕は、「少なくともなんらかの『謎解き』の要素があるもの」だと考えているのですが、『ゴールデンスランバー』や『テンペスト』『東京島』などがランクインしているのをみると、「純文学とライトノベルケータイ小説以外」は(って、米澤穂信さんみたいに「ライトノベル的な味付けのミステリー」を書いている人もいるんだよなあ)、みんな「ミステリー」なのか?と問いたくなってきます。
ゴールデンスランバー』や『東京島』は「サスペンス」で、『テンペスト』は「架空歴史モノ」だよねえ。
蒼穹の昴』(浅田次郎)が「ミステリー」だって言ってるようなものじゃないのかこれって。

……と思ったら、表紙に「2008年のミステリー&エンターテインメントベスト10」って書いてある。
それはそれで、なんかちょっと違うような気がするんだけど。
僕は「このミス」って、「『ミステリー』っていう偏ったジャンルを愛する人のためのランキング」であってほしいなあ。

ちなみに、今年はさっそく『完全恋愛』を買ってきました。もう半分くらいまで進んでます。
『告白』も読んでみようかな。
チャイルド44』は積読中。やっぱりこれは読まなきゃ。


「『このミス』座談会」に、西上心太さんの

 東野(圭吾)、伊坂(幸太郎)、海堂(尊)、有川(浩)、この4人の後に続く作家って誰だろう?

という発言があったのですが、いまのミステリ界(って、有川さんはミステリの人じゃないか)は、たしかに、この「4人組」の寡占状態になっているような気がします(「そのなかでも東野圭吾さんは一桁違っていて『殿堂入り』している」そうで、『ガリレオ』効果には驚かされるばかりです)。道尾秀介さんや池上永一さんあたりが、「次世代候補」というところでしょうか。

そうそう、「編集後記」に書かれていたのですが、『このミス大賞』出身の海堂尊先生の

 次の刊行予定は財政破綻する市立病院を描く『極北クレーマー』とのこと。

だそうですよ!すごく愉しみです。わははははははははは(あまりにも身近すぎるテーマなのでヤケ笑い)


完全恋愛

完全恋愛

アクセスカウンター