琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

【読書感想】好きなことだけで生きていく。 ☆☆☆


Kindle版もあります。

内容(「BOOK」データベースより)
自分の人生を無駄にしている人へ伝えたい、「自分の時間」を取り戻す生き方―。ホリエモンの後悔しない生き方・働き方論、決定版。他人、時間、組織、お金、欲望などにふりまわされず、「好き」を生きがいにするため、どう考え、行動すればいいのかを明快に説く!最初の一歩を踏みだすことができない不器用な人たちに勇気を与える、最強の人生指南書。


 堀江貴文さんの本を読むたびに、「今の世の中では、こういう生き方も『あり』なのかもしれないな」と思うのと同時に、たぶん、これは僕には向いていないのだろうな、と感じ続けているのです。

 そう、これまで僕は、著書はもちろん、あらゆるメディアを使って、行動することの大切さを訴えかけてきた(それが自分が本当にやりたいことなら)。
 とにかく、うだうだ考えないですぐにやりなさいと。「言い訳」を並べたてて口を動かしている暇があったら、一歩を踏みだしなさいと。
 しかし、これは僕の感覚だが、それで自分を根本から変え行動に移した人は、1%にも満たないのではないだろうか。もし僕の著書を10万人が真剣に読んでくれたとしたら1000にぐらいか。いやそう考えると1000人もいない気もするが……。
 まあ、人数のことはいい。実際、極端に少ないのは確かだと思う。


そもそも、堀江さん自身は何をやっているかというと、美味しい店を会員制で紹介したり、サロンをつくって「ライフスタイルネズミ講」をやっているだけではないか、とも思うんですよ。
ただ、「世の中に新しい価値観を提供している」という意味では、堀江さんのやっていることは、スティーブ・ジョブズに近いのかもしれません。
そう考えると、まず「自分はスティーブ・ジョブズのように生きられるのか?」と問うべきなのではなかろうか。
『嫌われる勇気』で広く知られるようになったアドラー心理学の最大のハードルは、「これまでの記憶や先入観を捨て去ること」や「嫌われることを気にしないこと」なんですよね。
他人を気にせずに、我が道を行き続けるというのは、考え方ではなくて、ある種の才能なのかもしれない、と僕は思うのです。
ひたすら時間に追われて仕事をし続ける生き方、というのも。
かなり特殊なことをやって成功している人を採りあげて、「こんなふうに成功している人たちもいるんだ。やる前にグダグダ言ってないで、とにかくやれ!」と言われても、僕にはちょっと難しい。
テレビの地方局のコンテンツが「おいしい」理由として、『水曜どうでしょう』の成功を挙げられても、正直、そんな特殊な大成功例を基準にするのはどうかと思うし。
原田宗典さんが、「小説家になる人は、『どうしたら小説家になれますか?』と質問する前に、その出来はさておき、まず自分で作品を書きはじめる」と仰っていました。
たぶん、堀江さんの真似は、ほとんどの人にはできない。
ところが、堀江さん自身にとっては「当たり前のこと」だから、みんなにそれができるはずだと考えてしまう。
言っていることは、けっこう正しいと思うので、無理にではなく、「自分はこういうふうに生きたかったんだ!」と素直に感じる人は、やってみたら良いんじゃないかな。
この本を受け入れられるかというのは、「堀江さん的に生きられるか」のリトマス試験紙みたいなものだと思います。


堀江さんが仰っていることのなかには、「たしかにそうだよなあ」と唸らされるものも多いのです。

「あなたの生き方、本当にそれで大丈夫?」
 そう心配してしまう質問もいただく。例えば次のようなものだ。
「ある空港の近くに約200坪の土地を持っています。そこで富裕層向けのホテル、もしくはアミューズメント施設を開業すればいいのではと考えています。堀江さんならどのようにして近郊の他施設との差別化を図りますか?」
 僕なら、迷わず「すぐ売る」。だって「たまたまある土地の有効活用のためにホテルやアミューズメント施設を開業したい」って、動機が不純すぎるだろう。そんな姿勢で、同業他社と同じ土俵で争えるわけがない。
 この場合、話が逆なら全然OKだ。
「ホテルを開業したいから、土地が欲しい」
 これが、「本気で戦いたい」と考えている人のまっとうな思考だろう。実際にホテルを運営している人に話を聞くと、ホテルは「立地」で勝負がついてしまう部分が大きいという。だから、土地の選定には並々ならぬパワーをかけるらしい。誰もが驚くような穴場的物件を探したあとは、ホテル内からの景観を良くするために植林をしたり.ベストな場所をつくりだすわけだ。
 そんな本気な人たちに比べると「土地を持っているからホテルをつくろう」という発想が安易すぎる。「手持ちの土地を有効活用したい」という動機が、浅ましすぎるのだ。そんな人がホテルを開業しても、成功できるわけがない。


 この話なんて、本当にそうだよなあ、って。
 まあ、「本当にやりたいこと」を探すのが、いちばん難しいことなのかもしれませんよね。
 いまは、大概のことを「先にやっている人」がいるからなあ。
 その一方で、意外な「隙間」もあるのだけれど。

 今の僕に家はない。
「家はない」といっても、「スーツケース一つを携えて快適なホテル暮らしをしている」ということだ。月の半分は海外や地方にいるから、決まった家に定住する必要がない。
「立派な住まいを構えたい」なんてさらさら思わない。どこにいてもスマホ一つあれば原稿が書けてしまうし、ホテル住まいでもまったく困らない。
 身の回りの荷物も、最低限だ。ノートパソコン、スマホ、そのケーブル類、洋服。僕のスーツケースには、その4種類しか入っていない。
 自家用車も所有していない。タクシーやUber(ウーバー)といったサービスを利用させてもらうだけで十分だからだ。
 意外に思われるかもしれないが、僕の所有欲はほぼゼロなのだ。「所有し続けたい」と切実に思うのは、スマホくらいだろう。

 あなたは給料を「我慢の対価」ととらえてはいないか。
「我慢して、労働時間を提供して、楽しくないことをして、つらい思いをするからこそ、お金がもらえる」
 そんなさもしい根性になってはいないか。
 広い世の中に少し目を向けてみてほしい。好きなことだけをしてお金を稼いでいる人は、たくさんいる。特にインターネットの普及によって、その数は爆発的に増えた。
 ユニークな動画を投稿し続け、広告収入などを得ることで生計を立てている「YouTuber」(ユーチューバー)。
 ゲームをプレイし、大会などで優勝することで賞金を得る「プロゲーマー」。
 ブログを更新することで、広告収入うやアフィリエイト収入を得ている「プロブロガー」。
 これらはほんの一例だが、「遊びや趣味を仕事にできるチャンス」はありとあらゆる場所に転がっている。もちろんあなたも、遠慮することなくその仲間入りをしていいはずだ。


 僕には、堀江さんに「所有欲がない」のではなくて、「放浪欲」みたいなものが有り余っているようにみえるのです。
 家が欲しい、というのは所有欲だけじゃなくて、落ち着ける場所が欲しい、という理由のほうが大きいのではないでしょうか。
 ずっと出張しているような生活というのは、いくら良いホテル住まいでも、僕は堪えがたい。
 それに、YouTuberのヒカキンさんやプロゲーマーの梅原大吾さんをみていると、彼らは「遊びや趣味を仕事にしている」ように見えるけれど、その姿勢は極めてストイックなものなんですよね。
 そんじょそこらの「好き」では、食べていけない。


 僕も1%くらいは、こういう生き方のほうが向いている人がいるのではないかと思いますので、とくにこれから進路を決める若者は、あまり先入観を持たずに、堀江さんの本を一冊くらいは読んでみても損はしないはずです。


fujipon.hatenablog.com

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