漫画「ブラックジャック」で僕が最も印象に残っているのが、http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20030111に書いたシーンです。難病に苦しむ母親を安楽死させようとするキリコと救おうとするブラックジャックのコントラストが鮮やかに描かれていて、ハッピーエンドかと思いきや、最後は痛切なしっぺ返し(BJにとっても、たぶん、これを読んでいた大多数の読者にとっても)を食らってしまう、そんな話。
でも、この話を今になって考えると、ブラックジャックとドクター・キリコというのは、けっして「コントラストを描いている」わけではなくて、両者のやろうとしていることは、手段が違うだけで、「人を救う」(≒「自分を救う)という目的は同じなのかな、という気もしてくるのです。「オレだって医者のはしくれだ。命が助かるに越したことはないさ」とキリコも言っています。
現場にいる人間としては、少なくとも昔に比べると全体像としては「とにかく延命」という空気は薄れつつあるのではないかとは感じるのです。