琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

エガオヲミセテ

 珍名というか、面白い名前といえば、僕はこの馬のことを思い出します。
 重賞をいくつか勝った、けっこう強い牝馬だったのですが、放牧中に火事に巻き込まれて命を落としてしまった馬なのです。
 それで、この馬が亡くなった直後に、同じ音無厩舎のユーセイトップランという馬が、ダイヤモンドSという重賞を勝ったのですが、それを、よしだみほさんが「馬なりハロン劇場」で描かれていました(この回「1ハロン劇場」は、セリフが全然書かれていません。最後の一言を除いて)。

【厩舎の看板であったエガオヲミセテの急死に落ち込む音無厩舎の人々、そして、長年同じ厩舎で過ごしてきた僚馬たち。なかでも、エガオヲミセテと仲良しで、いつも彼女の笑顔に癒されていたユーセイトップランは、深い悲しみに沈んでいました。
 でも、あまりに意気消沈している周囲の人たちを見て、ユーセイトップランは、いつも自分を励ましてくれたエガオヲミセテのことを思い出しながら、あえてレースに臨みます。
 得意の長距離レースでもあり、人気薄ながら、1着でゴールインしたユーセイトップラン。厩舎が深い悲しみに沈んでいるときのこの勝利に、調教師をはじめとした厩舎スタッフは、感激のあまり涙をこらえきなくなってしまうのです。
 そんな周りの人たちに、優勝カップを抱えたユーセイトップランは、一言、声をかけます。
「笑顔を、見せて!」と。】

 「馬なりハロン劇場」のこの回をはじめて読んだときには、本当に僕も号泣してしまいました。いや、競馬なんて、人間が勝手に馬にロマンを投影しているだけなのかもしれないけどさ、でも、そんな理屈なんてどうでもいいくらい、心を揺さぶられることだってあるのです。でもほんと、この「エガオヲミセテ」の回の魅力というのは、あのマンガそのものを読まないと、絶対に伝わらないんだよなあ、うーん、何巻に載っていたか、調べてまた書きます。誰も読みたくなくても書く。

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