たぶん、女性の場合はナンパ目的などで「知らない人に声をかけられた」なんて経験がある人もいるでしょうし、あるいは、「万引きを疑われて」声をかけられたこともある人もいると思います。そういえば僕は小学校時代に、補導員らしき人の「ポケットの中を見せて」と言われてポケットに入れていた財布を見せたら、その補導員は黙ってその場を立ち去って、ものすごく不快な思いをしたことがあります。ああいう場合、「疑ってごめんね」とか言うべきだと思うのだけど、相手が子供ならなおさら。
まあ、脱線してしまったのですが、書店というのは基本的に「人の気配が濃密だけれど、あまり言葉が交わされることがない場所」ではありますよね。本を売る側と買う側のコミュニケーションというのも、「探している本についての質問」とか「カバーはおつけしますか?」などの「業務連絡」がほとんどだと思われます。
鏡明さんが『本の雑誌』に「ある本を買ったら、レジで店員さんに『この本、面白いですよね』と声をかけられた」というようなことをこともなげに書かれていて、僕はそれを読んで、「書店員さんというのは、そんなに頻繁に話しかけてくるものなのか?」とすごく疑問になったのです。僕の経験上、書店員さんのほうから買った本について話しかけられたのは、ファミコン『ドルアーガの塔』の攻略本を買ったときに、レジのお姉さんに「この本、ものすごく売れているんですけど、何の本なんですか?」と訊ねられたときと、いつか忘れてしまったけれど、「本が好きなんですねえ」とレジに並べた本に対して感嘆されたときの2回くらいなんですよね。30年くらいいろいろな書店に通っていながら。
実際のところ、書店員さんって、お客が買った本について頻繁に話しかけているものなのでしょうか?
それとも、基本的には「話しかけちゃダメ」なの?
ある種の本の場合は、「なるべく淡々とレジ打ちすべし!」と決められていそうですけど。
だって、「僕も読みましたけど、この本、いい子載ってますよね〜」とかいきなり言われたら、やっぱり気まずいだろうし。