琥珀色の戯言

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【読書感想】韓国のホンネ ☆☆☆


韓国のホンネ (竹書房新書 6)

韓国のホンネ (竹書房新書 6)

内容(「BOOK」データベースより)
本当のところ、韓国人たちは自国にどれだけの思い入れがあるのか?そして本当のところ、日本に対してどう思っているのだろう?「反日思想」は果たして建前なのか、それとも本音なのか!?『ネットと愛国』で講談社ノンフィクション賞を受賞した気鋭のジャーナリスト、安田浩一と、元在日韓国人三世のライター、朴順梨がタッグを組んで、現地を突撃取材。初めてあぶり出された今を生きる韓国人の考え方。

ネットでは、竹島問題などに関する「反日感情」がクローズアップされがちな韓国なのですが、はたして、現地ではどんな様子なのか?
日本でも、「ネット上での韓国バッシング」が目立つのですが、その一方で、日常生活レベルで「嫌韓」を公言している人は周りにはほとんどおらず(いや、「あの目に余る日本バッシングは、どうにかしてほしいよね」みたいな会話は、少なからずあるとしても)、韓国でも、「ネットなどで、一部の突出した声の大きい人たちだけが目立っているだけ」なのではないか、などとも思っていたのです。


この新書、『ネットと愛国』の安田浩一さんと、在日3世(結婚して日本に帰化されたそうです)の朴順梨さんが、韓国で直接取材を行い、「現地での対日感情」をレポートしたものです。
日本のことだけではなく、朴新大統領誕生の時期の韓国のレポートも掲載されています。


ただ、この新書を読んで、「韓国の空気」が理解できたか?と問われると、正直なところ、「うーん、韓国にもいろんな人がいる、ってことだよね……」としか言いようがないんですよ。
やっぱり、こういう取材に答えてくれる人って、ある種の偏りがあって、ものすごく極端な「主張」をしている人とか、日本と交流があるとか、それなりのインテリだとかになってしまう。
「韓国の一般市民」の傾向みたいなものは、あんまり見えてきませんでした。
それはある意味、日本でもそうであるように「いろんな考え、立場の人がいるんだから、『一般化』なんてできない」ということなのかなあ、とも思うのです。


それにしても、韓国は国際社会に日本よりも「揉まれている」という感じはします。
韓国のVANK(Voluntary Agency Network of Korea)という愛国者団体(日本では「韓国最大のネトウヨ組織」と呼ばれることが多いそうです)は、会員数10万人(韓国国内では7万5000人)を擁しているのですが、著者によると、「そのセミナーは、予備校の授業のようだった」とのことです。

 一方、オフラインでの活動も活発だ。国内各地で歴史セミナーや青年キャンプなどを開催するばかりか、ときに海外へ「特使」を派遣し、広報・陳情活動もおこなっている。朴も取材の数日前に米国から帰国したばかりだった。米国各地の街頭で日本の歴史認識の不当性や、韓国による独島支配の正当性を訴える街宣活動をおこない、同時にスタンフォード、ハーバード、ジョージタウンといった有名大学で歴史認識に関するセミナーを開催してきたのだった。
 このあたりが、主張の中身はともかく、内向きな議論に終始している日本のネット右翼との大きな違いであろう。
 実際、VANKはこうした活動によって、米国務省やCIAなどの国家機関、海外の百科事典やウエブサイトなど300以上の資料で「日本海」表記を「東海・日本海」へと併記させることに成功したという。
 だからこそVANKが会員に求めているのは、韓国の歴史や文化に対する知識と、そして何よりも英語力なのである。
 VANKでは会員に十四項目に及ぶテストを実施し、それにすべて合格した者には「サイバー外交官」なる称号を与えている。初級レベルのテストでは「海外に五人以上のペンパルをつくる」「SNSで韓国を紹介する」といった”お題”が出されるが、上級になるにつれ「海外サイトで韓国についての間違った認識を見つける」「英文による韓国観光宣伝のリポート提出」「国際機関・団体への親書提出」といった難題も登場する。「ネトウヨ」も楽ではないのだ。

 彼らの主張の是非はさておき、たしかに「なんか『幸福の科学』みたいなシステムだなあ」と思ってしまいました。
 たぶん、愛国心だけではなく、自分が「レベルアップ」していくことに喜びを感じたりする面もあるのでしょうね。
 ただ、「世界レベル」でいうと、国内で「ゴキブリどもは出ていけ!」とシュプレヒコールするよりは、はるかに世界各国への「影響力」はありそうです。
 それを専門にやっている研究者でもなければ、他国人のローカルな言葉での「主張」なんて理解できないというか、何を言っているかさえわからないものですし。


 韓国にも「独島のことで、あんなに騒がなくても」とか「自国の大統領選挙とか、中国やアメリカとの関係のほうがよほど重要」という人は少なくないようです。
 声高に政治的主張を行いながら日常生活を送るというのは、なかなか困難なことでしょうし。
 この新書には、ジャニーズや東野圭吾好きの若者なんていうのも出てきます。


 でもまあ、韓国の「公」については、やっぱり違和感というか、どうしようもないなあ、なんて思うところもあります。
 韓国には「独島体験館」というのがあるそうです。

 体験館はソウル市庁にも近いオフィスビルの地下にあった。
 入場は無料でありながら、政府や大企業の出資によって運営されているだけに、展示内容はなかなかに充実している。「独島」が韓国に帰属することの正当性を主張した各種の資料が並べられるだけでなく、最新鋭の「4D映像」や精巧なジオラマなどを通じて、いわば”独島ナショナリズム”を植え付ける場所となっていた。


 日本語表記はほとんどないにも関わらず、何の知識もなくこの施設を訪ねれば、たとえ日本人であったとしても、ある種の説得力を感じることにはなるだろう。「竹島奪還」を主張している知人の右派評論家でさえ、同館を見学した際、領土に寄せる韓国側の「熱意」だけには羨ましさを感じたという。

 最新鋭の「4D映像」ですよ……
 「日本もこのくらいのことはやるべきだ!」なんて僕には全然思えないのですが、韓国は公的にそこまでやっているという事実には唖然とさせられます。
 ある意味、一般市民よりも国・政府のほうが「熱心」にすらみえるのです。
 

 また、こんなエピソードもありました。

 オッパを愛おしそうにみつめるメグミの目が、コーヒーが運ばれて来た瞬間キッとなった。私にコーヒーカップを見るように促す。ブルーと白のカップの大きさが、見事に違っていた。メグミと会っていたのはランチが1500円程度と、決して安くはない店だ。
 「一応オシャレな店なのに、ここまで違うサイズのものを出すとは……。なんでこんなに適当なの!? もう私、韓国から離れたいんです、ホント!」

 この「コーヒーカップの大きさの差」というのが「日本人差別」を示しているのか、「韓国人のアバウトさ」をあらわしているのか明言されているわけではないのですが、おそらく前者なんでしょうね……
 こんな「みみっちい差別」が日常的に行われているのだとしたら、日韓両国の歩み寄りはなかなか難しいだろうな、と。


 読むことによって、かえって「韓国の対日感情」がよくわからなくなるような本なのですが、「わからないということがわかる」のも、それはそれで大事なのかもしれませんね。
 正直、「無理に仲良くしようとしないで、お互いに『敬して遠ざける』くらいのほうが良いのかな」なんて、ちょっと考えてしまいました。

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