- 作者: 雷門獅篭
- 出版社/メーカー: ぶんか社
- 発売日: 2012/12/01
- メディア: 単行本
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内容(「BOOK」データベースより)
世界で唯一の落語家+漫画家が描く「トンデモ芸人観察」コミックエッセイ。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
雷門/獅籠
昭和46年8月12日生まれ。浜松市出身。平成6年立川流立川談志に入門し、落語家・立川志加吾となる。平成11年『週刊モーニング』(講談社)にて漫画家デビュー。平成15年雷門小福門下に移籍し、雷門獅籠に改名。世界で唯一の落語家+漫画家。「東海地方に演芸を広め隊」=海演隊のリーダー「レッド」としても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
書店で見かけて、何気なく購入したのですが、かなり面白い「芸人群像」でした。
著者は名古屋を拠点に活躍している現役の落語家さんだそうなのですが、同じ落語家として付き合い、見聞きした「芸の世界に生きる人たちのエピソード」の数々は「これ実話なの?」と驚くものばかりです。
快楽亭ブラックさんの「タイトルすら放送禁止の落語」(「一発のお●んこ」とからしいです)の話とか、桂ぽんぽ娘さん(女性)の「出入り禁止になったネタ」とか。
桂さんの「ネタ」って、たとえばこんなの。
日本語って言葉が似ていて区別がつかないですね。
たとえば、ブスとバス。
こう覚えてください。
お金を払って乗るのがバス。
タダで乗れるのがブス。
乗ってみる?
いや、紹介されているネタのなかでは、いちばん「マイルド」なのがこれなんですけどね。
うーむ。
僕は芸人さんというのは「売れる」「ウケる」というのを目標にしている人たちだと思っていたのですが、「別に売れなくてもいい、出入り禁止になってもいいから、自分のやりたいネタをやる」という芸人もいるのだなあ……と。
「テレビに出ている芸人さん」というのは、まさに「ごく一握りの存在」であり、ある意味「毒気を抜いて、最大公約数的なネタをやれる人」でもあるんですね。
「ガンダム紙切り」で一躍有名になった大東両(だいとうりょう)さんとか、「テレビ芸人」の前で、伊東かおるさんが意地を見せたエピソードとか、読んでいて、ちょっと胸が熱くなるような話や、「芸人」じゃなかったら、この人は生きていけなかったんじゃないかな……というような「困った人」の話。
個人的には、芸人じゃないんですが、著者の知り合いの「いとこのY」さんインパクトがすごかった。
ブラックホークとブレイクタイムの馬券なんて、誰が買えるんだよ……とずっと思っていたのですが、「こういう人じゃないと、あの馬券は買えなかったんだな」と、納得してしまいました。
ちなみに、著者が最初に入門したのは立川談志さん。
談志さんの「最初の教え」は、
最初は喰えない稼業だ。どうやって喰うか教えてやる。
まず最初にやるのは、人にたかれ。
それができなかったら、女をダマせ。
そのふたつができなかったら、しょうがないから泥棒しろ。
だったそうです。
いやほんとすごいやこれ。
生きざまそのものが「芸」だった、有名無名の「芸人」たち。
「内側から見た」からこそ、語れる、書ける「とんでもない人たち」の伝説の書です。