ホリエモンとオタキングが、カネに執着するおまえの生き方を変えてやる! (一般書)
- 作者: 堀江貴文,岡田斗司夫FREEex
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
ホリエモンとオタキングが、カネに執着するおまえの生き方を変えてやる!
- 作者: 堀江貴文,岡田斗司夫FREEex
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2014/05/30
- メディア: Kindle版
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内容紹介
貨幣経済は終焉を迎えつつある。貨幣経済の本質はマルチ商法に過ぎない。これからは「貨幣(お金)」ではなく「評価」をたくさんもっている人が社会を作るのだ。ではどうやって「評価」を集めるのか? その第一歩は「メシをおごること」と「儲けようと思わないこと」。やりたいことだけをやって、みんなで楽しく暮らすための、まったく新しい経済学。天才ふたりが織りなすエキサイティングな対談であなたの人生は間違いなく変わる!
この本、2010年5月12日、2011年4月5日、2013年6月18日に行われた、堀江さんと岡田さんのトークイベントをもとに構成し、加筆したものなのだそうです。
そういえば、この動画、あるいは書き起こしを以前観たことがあるような気がします。
内容的にも、岡田さんがこれまで提唱してきた「評価経済社会」のことを、堀江さんとの対談で具体例を挙げながらわかりやすく説明している、というもので、これまでの岡田さん、そして堀江さんの著書を読んできた僕にとっては、目新しさは感じませんでした。
「ああ、この話、初めて読むんだったら、けっこう面白かったんだろうなあ」なんて思いながら、読んでいたのです。
岡田さんは、この本の冒頭で「おカネがあっても、世の中の主役にはなれないし、世界の中心にも立てない」と仰っています。
おカネだけがある人を観察してみましょう。みんな有名ブランドを求めて、高級な場所に住もうとしています。
彼らは痛ましいほど「評価」が欲しいのです。自分にはおカネがある。だから自分を認めてほしい。おカネがあれば尊敬される場所に行きたい。有名人に近づきたい。だっておカネしかないから。おカネだけある人とは、「おカネしかないことに気付いちゃった哀しい人」のことなんです。
でもおカネが欲しいことには変わりありませんよね?
じゃあ、どうすればいいのでしょう?
家の近所に東進ハイスクールという予備校があります。そこのポスターに曰く、
「解けるようになるってことが目標ではなくて、わかるということが目標です。わかれば解けるに決まってるんですね。」
そのとおり。正しい質問は「なぜですか?」です。
「どうやって儲けるか?」という方法ではなく、「なぜそんな方法を思いついたのか?」を聞くべきなんです。
本書では、僕と堀江さんは互いの「理由」を尋ねあいます。
知りたいのは「方法」じゃなくて「考え方」だからです。
問題の解き方を知りたいんじゃない。問題を理解する思考法を知りたいんです。
互いの結論やデータよりも「なぜそう考えるようになったのか?」に互いの興味があるし、自分の思考過程も語りたい。
その結果、本書は「ホリエモンのような、オタキングのような生き方の入門書」になりました。
これを読んで魅力を感じた人は、たぶん、岡田さんと堀江さんの話の、良い読者になれると思います。
逆に「じゃあ、具体的には、どうすればいいんだよ!」と、すぐに聞きたくなってしまう人には、「成功した人たちが、なんかまだるっこしい自慢話ばっかりしている」ように感じられるかもしれませんね。
僕は……まあ、率直に言うと、半々、くらいかな……
「目から鱗が落ちる」ような話もあれば、「それができるのは、あなたたちのような『天才』だけじゃないの?」と言いたくなるようなところもあるので。
堀江貴文:「不倫はいけない」とか「子どもは親が育てる」などのタブーやルールが生まれたのは、昔、人間の生活が太陽の運行に支配されていて、みんなが一丸となって食糧を生産しないと生きていけなかったからではないでしょうか。その後、工業化社会になっていろいろと便利なものが発明され、人間の暮らしはどんどん楽になっていきました。それなのに、いまだに昔のタブー、ルールに縛られているように思います。
岡田斗司夫:技術の進化は1、2年でも起こりますが、社会的な価値観の変化は30年くらいはかかりますね。やはり子どものころに教えられた価値観で育つひとが大勢いますから。いまから10年後、20年後くらいには、堀江さんが言っているようなことは当たり前になるでしょうし、すでにいまの中学生や高校生くらいだとリアルな皮膚感覚になっているかもしれませんね。ただ、社会全体の価値観はそうそう変わりません。大人が子どもに与える教育というのは、本質的に「本来ならばぼくたちはこう生きたかった」という虚像です。「これからの社会はこうなるから、こう生きろ」ではなくて、「いまの社会はこうなってしまったけど、お前たちだけはこう生きてくれ」と言ってしまう。
例えば、いじめの問題。大人の社会では、いじめや無視なんて当たり前のように行われています。それなのに、子どもにはいじめが存在しないかのように教えて、その結果教育現場には歪みが生まれています。社会の実像ではなく、虚像ばかり教え込もうとしてしまう。子どもからすれば、自分自身の現実の生活と、学校で教えられる嘘がぶつかって、矛盾が大きくなっていく。そうして、さらに意味のないいじめとかがどんどん発生してしまう。
この岡田さんの話には、考えさせられます。
たしかに、僕自身も子ども時代には「親の理想に沿った、現実にはそぐわない理想」を見せられていたような気がするし、僕自身が親になってみると、「いまの時代」をあまり研究することもなく、「子どもの頃、自分がこうありたかったという虚像」を押しつけてしまっているよなあ、と。
いじめについても、これだけみんなが「いじめは良くない」という号令をかけつづけているのに、いじめのない社会が訪れる気配もないことを考えると、本当に無くすことなんて、あるいは、劇的に減らすことなんて可能なのだろうか?と考え込んでしまうのです。
たしかに、大人だって、「いじめている」のだから。
岡田:ぼくは「評価経済社会」という考えを提唱しているのですが、そういう評価をやり取りする経済の割合がどんどん大きくなっている。評価経済は貨幣経済と相容れないものではなくて、相互に影響し合いなから進行しつつあるんです。
堀江:ひと言でいうと、評価経済社会って何なんですか?
岡田:貨幣の代わりに、評価が流通する社会のことです。これからは、貨幣と商品を交換する社会から、評価と影響を交換する社会になっていくとぼくは考えています。といっても、貨幣がいきなりなくなったりはしないですよ。貨幣は何千年も前からあって、いまの社会では貨幣の優先順位が一番になっています。その優先順位が次第に落ちていって、一番は評価に、二番か三番が貨幣ということになるでしょう。この変化は、すでに起こりはじめています。
評価経済が端的に表れているのが、食べログやアマゾンなどのサービスです。これまでは、安くてリーズナブルというのがモノを選ぶ際の基準でした。ところが、いまはみんなの人気があって、ここなら安心というところでモノやサービスを買うようになってきている。
昔なら食べ物屋を探すときに値段優先で探していましたが、いまならまず食べログで評価の高い店を探しながら、その値段が自分に見合ったものか判断しているでしょう。アマゾンでモノを買うときもそう。アマゾンのマーケットプレイスでは絶版になっている本も中古で買うことができるようになっていて、1円とか10円の値段が付いています。でも、実際にその本を買うとき、値段がいちばん安いモノを選ぶわけではないですよね。だいたい同じ値段帯のグループのなかで、「98パーセントの高い評価」で5つ星のついている店から買うでしょう。店の評価を見てから、その次に値段を見るようになっている。これが現実における、評価経済の表れです。
食べログやアマゾンの話に関しては、なるほどなあ、と思うのと同時に、「でもまあ、値段というのも重要だよね」と感じました。
でも、こういったサイトができる前は、たしかに「安いところ」あるいは「予算に合ったところ」のなかから、なるべく良い店を選んでいっていたのが、いまでは、まず「評価」を確認して、「評価が高いところのなかから、予算に合うところを探していく」というふうに変わってきたのは事実です。
「貨幣」がすぐに無くなることはないし、最終決定のための大事な要素ではあるけれども、「決めるための優先順位」は、ネット社会で変わってきているのです。
いくら安くても、アマゾンで☆1つ、というような店で買うのには、勇気が要りますよね。
そして、「評価が優先される社会」というのは、消費する側にとって、有利ではあるのです。
それまでの通販では、酷い状態の商品を送っても「その人がもう二度と注文しない」だけだったけれど、いまは、ネットにその「評価」を晒すことによって、他の客の動向に影響を与えることができる。
ですから、店のほうも、どんなに小さな買い物でも、ちゃんと対応しなければならないのです。
もちろん、店側とすれば、より大きなプレッシャーを受けてもいるのでしょうけど。
堀江さんは、この対談集の「おわりに」で、こんなことを仰っています。
評価を上げるために、ボランティアに励めなどと難しいことを言うつもりはない。ソーシャルゲームにお金を払うくらいなら、近くにいる友達にメシを奢ってあげればいいのだ。
評価経済社会って、もしかしたら、「みんなお金のことばっかり考えていないで、もっと『いいヤツ』になろうよ」ってことなのかな、と、僕は感じたのです。
お金の力や怖さを知り尽くした二人の対談、「ホリエモンもオタキングも大嫌い」な人にこそ、一度読んでみていただきたい、そう思います。