琥珀色の戯言

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【映画感想】ヴェノム ザ・ラストダンス ☆☆☆☆

ストーリー
ジャーナリストのエディ・ブロックに地球外生命体シンビオートが寄生したことで生まれたヴェノムは、強靭で真っ黒な肉体と鋭い牙を武器に、長くのびる舌で人を喰らう恐るべき存在でありながらも、エディと一心同体となって強敵カーネイジを倒し、世界の危機を救った。しかし、その戦いの結果、政府機関から追われる身となったエディとヴェノムは、メキシコに逃亡していた。そんな彼らの前に、地球外から新たな脅威が飛来する。ヴェノムらシンビオートの創造主であり、いまは宇宙の果てに封じられている邪神ヌルが、ヴェノムの持つあるものを狙い、シンビオートハンターのゼノファージを差し向けたことで、エディとヴェノムは新たな戦いに巻き込まれていく。


www.venom-movie.jp


2024年映画館での鑑賞16作目。
平日の朝からの回を鑑賞。観客は僕も含めて3人でした。

「大ヒットシリーズついに完結!」と銘打たれている、この『ザ・ラストダンス』なのですが、話題になっているのは「エンドロールが作品の長さに比べて、ものすごく長い!」ということくらいなんですよね。
でもまあ、最近は長い映画を映画館で見るのが体力的、前立腺的につらくなってきている、というのもあって、『ヴェノム ザ・ラストダンス』の本編100分もない、というのは、「まあ、このくらいでちょうどいいボリュームだよね」とも感じました。


僕にとっては『ヴェノム』シリーズって、他に観たい映画がないときに公開されていることもあり、そんなに積極的にではないけれど、映画館でみて、それなりに楽しめてしまうシリーズ、という印象です。


fujipon.hatenadiary.com
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なんのかんの言っても「バディもの」は定番であり、ものすごく強力だけれどやりたい放題で(人間からみて)モラルがないヴェノムとエディとのやりとりは結構好きなのです。
2作目のラストでも感じたのですが、ヴェノムが「アンチヒーロー的」だからこそ、敵の悪党を徹底的に打ちのめせる、という爽快感もあります。
今作の冒頭のシーンでも、ならずものたちに対する容赦ない「倍返し」っぷりは、正直、観ていてワクワクしてきます。
全体的には「任務としてやっている人たちでも、容赦なく排除してしまうシーン」に関しては「状況を考えれば仕方ないとは思うけれど、なんだかスッキリしない」のも事実ではあるのですが。
強大な敵が狙っているものを考えれば、「全体的な幸福を考えれば、もっと簡単な解決方法」があったとは思うから。

まあでも「みんなの安寧のために、ひとりを本人の意思に反して犠牲にすることは許されるのか?」というのは答えが出ない問ではありますね。

あと、ヴェノムが人間にとりつけるルール、とか、共生の条件、みたいなものがどんどん「なんでもあり」になってきて、収拾がつかなくなっていくのは、この作品のバカバカしくて面白いところでもあり、あんまりスッキリしないところでもありました。

基本的には「哲学的、思索的な要素を丁寧に取っ払った『寄生獣』のような作品」であり、ヴェノムの映像表現の面白さとか、ヴェノムに振り回されるエディとか、懐かしの音楽とかを楽しむ映画なのでしょうし、そういう面では、たしかに「成功」しているのだろうな、と。
なんか楽しかった感覚は残るけれど、内容はあまり記憶にない。

マーベルの新しいユニバースで、番外編というか、お行儀の悪いヒーローが主役の『デッドプール&ウルヴァリン』や、この『ヴェノム ザ・ラストダンス』が興行的に成功した一方で、マーベルとしては気合を入れて作った「政治的にも正しいヒーロー映画』だった『エターナルズ』がウケなかった、というのは、制作側としては悩ましいのではないかと思うのです。


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もう、観客は、「正義に殉じるヒーロー」や「自分の正しさに悩むヒーロー」は求めていなくて、もっと気軽に「真面目すぎず、わかりやすい悪者を徹底的にやっつけて、爽快感を味あわせてくれる存在」のほうが、親近感が湧き、観たい気がするのかもしれません。

アベンジャーズ/エンドゲーム』は、マーベルにとっても、ヒーロー映画にとってもひとつの完成形であり、転換点でもあったのでしょう。
あれだけのことがあっても、まだユニバースが続いているということに、けっこう食傷している面もあります。

『哲学なき寄生獣』『邪悪なバーバパパ』ヴェノム。
ツッコミどころも含めて、気軽に観られて、それなりに楽しめる佳作だと思います。
万人向けでもないし、コストパフォーマンスが良いとも言えませんが、バディもの好きにはおすすめです。

これが本当に「ラスト」だとは、誰も思っていないだろうけど。
(ヒットしなかったら、続編作る気満々の映画でも「ラスト」になることはよくありますが)

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