Kindle版もあります。
そうなんだ! みんな知らない空と雲と天気のふしぎ78
雲、雨、雪、虹、台風、竜巻など空(気象)にまつわる、おもしろくてためになる知識をやさしく紹介。映画『天気の子』の気象監修者としても有名な荒木健太郎氏が、天気や気象にまつわるとっておきのネタを教えてくれます。積乱雲の自虐的ともいえる性質、虹は半円形ではないこと、雨滴のてっぺんはとがっていない……などなど、思わず「そうなんだ!」と思ってしまうようなトピックが盛りだくさん。子どもも大人も楽しく読むことができます。近年の豪雨、巨大台風、大雪にまつわる話題も豊富で、「天気・気象のなぜ?」が一気にわかります。
「空はなぜ青いのだろう?」
誰しも一度は心に浮かんだことがある疑問だと思います。
そして、どこかでその理由を聞いたり、調べてみたりしたことがあるはず。
でも、聞いたことはあるはずなのに、すぐに忘れてしまうんですよね。
今は、スマートフォンにGoogleという強い味方がいるので、子どもの突然の質問にもそんなに困らなくはなったのですが、人は、検索すればわかることでも、案外検索するのをめんどくさがって、知らないままにしてしまう、というのも日々実感しています。
この本、天気、気象についてのさまざまな豆知識が網羅されていて、興味がある人にはたまらない一冊だと思います。
写真も豊富で、けっこうコンパクトな本なので(もっと大きな写真で見たい、と感じるところもあるのですが)、子どもが読んでみてくれることを期待しつつ、家に置いておきたくなるのです。
まあ、親が読んでほしい本というのは、なかなか子どもは手にとってくれないものではありますけど(僕も自分が子どもの頃は、子ども向けの「勉強になる」本とか興味なかったですし)。
雲の名前を、どのくらい知っていますか? すべての雲にはそれぞれ名前があり、大きくわけると10種類あります。これを十種雲形と呼んでいます。
雲は、その姿や高さによって分類されます。高さの分類では、高い雲、中くらいの高さの雲、低い雲で、それぞれ上層雲、中層雲、下層雲とわけられれます。さらに、上層雲としては巻雲、巻積雲、巻層雲、中層雲には高積雲、高層雲、乱層雲、下層雲では層積雲、層雲、積雲、積乱雲と名前がついています)。
この本では、それぞれの雲の写真と特徴の説明が書かれているのですが、「ああ、僕は積乱雲くらいしかすぐには思いつかなかったな……」というのが率直な印象でした。
雲の種類だけでも、本当にたくさんあるんですよ。
ということは、空に浮かんでいる雲を、系統立てて分類する、という研究をしてきた人たちが人類の歴史のなかで少なからずいるわけです。
そういう「空や天気への興味」を持った人たちのおかげで、いま、天気予報や気象情報を利用することができるのだよなあ。
ちなみに、「空が青い(というか、青く見える)理由」は、こんなふうに説明されています。
太陽から届く光のうち、私たちは紫から赤の色の可視光を目で見ることができます。可視光は、太陽から地上に向かうときに通る大気のなかで空気の分子(ものすごく小さなつぶ)や大気中のチリにあたり、紫や青など波長の短い光ほどいろんな方向に大きく散らばりやすい性質があります(レイリー散乱)。紫の光はとても高い空で散乱されてしまうので地上からは見えず、空にはその次に散乱されやすい青い光が広がるので、私たちには空が青く見えるのです。
ちなみに低い空には水蒸気やチリがたくさんあるので、ほかの色も散乱されて混ざるために白っぽい色になります。
こうして文字だけだと、今一つピンと来ないのですが、本では、写真やイラストでわかりやすく説明されているのです。
この本、1ページ目から順番に読んでいく、というだけでなく、とりあえずひととおり流し読みして、ときどきランダムにページをめくって、写真を眺めるのがおすすめです。
僕が子どもの頃に比べて、豪雨災害や、クーラーがないと熱中症で危険な暑い日が増えた、という気がするのですが、もしかしたら、それは「最近の記憶のほうが強く印象に残っているだけ」なのだろうか?とも考えていたのです。
地球温暖化が私たちの生活に及ぼす大きな影響のひとつは、極端な大雨や猛暑が増えているということです。
実際に日本では、最近約40年では全国で1時間に80㎜以上の猛烈な雨が増える傾向にあります。また、過去約100年で1日の最高気温が35℃以上の猛暑日や、夜間の最低気温が25℃以上の熱帯夜も増えており、逆に1日の最高気温が0℃未満の冬日は少なくなっています。積雪量も過去30年で減る傾向にあります。ただし、大雨や大雪は年ごとの変動が大きいため、長期的な変化傾向はもっとデータを増やして調べる必要があります。
この本に示されている長期間のデータをみると、確かに、地球温暖化は進んでいて、大雨や猛暑などが増加傾向にあることがわかります。もちろん、右肩上がりの綺麗なグラフ、というわけではなくて、年によるバラつきはあるのですが。
ちなみに、著者によると、「現時点では、人間が天気をコントロールすることはできない」そうです。
著者が監修した『天気の子』を観ると、もし天気を操れる方法があったら、それができる人や組織は、「晴れてほしい人」と「雨が降ってほしい人」の板挟みになって大変だろうな、とも思うのですが。