琥珀色の戯言

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それでも恋するバルセロナ ☆☆☆☆


それでも恋するバルセロナ [DVD]

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■ストーリー
ヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は親友同士。ヴィッキーは慎重派で、堅実な彼と婚約中。一方のクリスティーナは恋愛体質な情熱家。2人はアメリカを離れ、ひと夏をバルセロナで過ごすことに。ある日、2人はセクシーな画家、フアン・アントニオ(ハビエル・バルデム)と出会う。クリスティーナが一目で恋に落ちる一方で、ヴィッキーも少しずつ、戸惑いながらも彼に惹かれていく―。ヴィッキーの悩みとは裏腹に、順調につき合いだしたクリスティーナとフアン・アントニオ。そこにフアン・アントニオの元妻、美しく、激しいマリア・エレーナ(ペネロペ・クルス)まで現れて…。惹かれあう4人の関係は予想不可能な怒涛の展開へ。

この映画、観はじめてしばらくは、かなり違和感があったんですよ。
最近の映画やドラマでは、登場人物以外の弁士というか、ナレーターみたいな人が進行役としてあれこれ喋るのって、NHKの朝の「連続テレビ小説」くらいじゃないですか。
「そのくらいの情景描写や心理描写は、いちいち説明せずに、登場人物の行動やセリフで表現すればいいのに……」って。
でもまあ、そういう見せ方そのものも、この映画のひとつのテクニックなのだということも観終えてわかりましたが。

僕は前半、圧倒的に真面目で知的なヴィッキー派だったんですよ。
ヴィッキー、なんでそんなミエミエのスケコマシ野郎の手口に引っ掛かってるんだよ、バカバカバカ!
そんな男、クリスティーナで十分だろ!
そんな僕の呪詛の言葉もむなしく、ヴィッキーは「転んで」しまうのですが、その後、フアンはやっぱりクリスティーナのほうへ。
そらみろ、こうなると思ったよ……

ここで、親友二人による、血で血を洗う恋愛バトルがはじまるんだろうなあ、ああなんかもう観るのやめようかな……
と思いきや、このあとが凄かった。まさに「壮絶」。
「自分が特別な人間だと思いたい女」クリスティーナとフアンの前に、フアンの元妻であるマリア・エレーナが登場します。このマリアが、登場時間はそんなに長くないはずなのに、かなりのディープ・インパクト
「本当にぶっ壊れてしまっている人間」の前では、「自分がぶっ壊れていると思わせたいだけの恋愛体質の常識人」は、圧倒されるばかり。
僕は途中から、なんだかクリスティーナがかわいそうになってきましたよ。
そして、こんな女たちをつい引き寄せてしまうフアンのことも。

正直、この映画、観終える直前まで、僕が考えているような「恋愛」とか「人生」とか「幸福」の曖昧さ、それを他人と共有することの難しさについて、真剣に悩むべき作品なのかな、と思っていました。
僕の妻も、内心はどうなんだろう?とか。

しかしながら、ラスト近くでは、なんだか笑えてきて止まらなくなってしまったんですよね。
男1人、女3人が深刻にふるまえばふるまうほど、観客である僕には、「バカだなこいつら……」としか思えなくなってきて。
「恋愛」とか「人生」とか「幸福」ってさ、一歩引いた他人からみれば、こういう「どうしようもないもの」なのかもしれません。

ロマンチックなラブストーリーだと見せかけて、なかなか一筋縄ではいかない作品でした。
うーん、でもやっぱり本来は、「恋愛映画」として観るべき作品だったのだろうか……

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