琥珀色の戯言

【読書感想】【映画感想】のブログです。2016年8月より、『はてなブログ』に移行しました。

バクマン。 ☆☆☆☆



あらすじ
優れた画力を持ちながら将来の展望もなく毎日を過ごしていた高校生の真城最高佐藤健)は、漫画原作家を志す高木秋人神木隆之介)から一緒に漫画家になろうと誘われる。当初は拒否していたものの声優志望のクラスメート亜豆美保への恋心をきっかけに、最高はプロの漫画家になることを決意。コンビを組んだ最高と秋人は週刊少年ジャンプ連載を目標に日々奮闘するが……。

参考リンク(1):映画『バクマン。』公式サイト


 2015年26作目。
 平日のレイトショーを観賞。
 観客は僕も含めて5人でした。僕以外の観客は、けっこう若かった。たぶん20代前半くらい。


 元々はあまり観る気がなかった映画なのだけれど、なんとなく独りの家に帰りたくない気分だったので観賞。
 でも、この映画、「当たり」だったと思います。
 もしあなたがマンガ好きで、『週刊少年ジャンプ』を読んでいた記憶があるならば、なおさら。

 
 僕は『バクマン。』の原作は未読なので、原作との比較はできません。
 この映画だけの感想として読んでいただければ幸いです。


 週刊漫画誌、昔は『ジャンプ』『マガジン』は読んでいたのだけれど、もうだいぶ前に「卒業」してしまいました。
 映画『バクマン。』のオープニングで、『ジャンプ』の歴代ヒットマンガのページが次々と流れていくのですが、「80年代」に関しては、ほぼパーフェクトに「あのマンガ!」ってわかるのが、けっこう嬉しい。
 あっ、『きまぐれオレンジロード』だ!とか、すぐにタイトルまで浮かんでくる自分を発見。
 こんなチャラチャラした恋愛マンガ、興味ない……つもりだったんですけどね。
 『キックオフ』とか、子ども心に「なんだこれは……」と思いつつ、読んでいたものなあ。
 『ジャンプ放送局』とかも懐かしい……(この映画に『ジャンプ放送局』の話は、出てこないのですけど)
 同世代で集まったときには、「小中学校時代に読んだ、ジャンプ漫画の話」って、間違いなく盛り上がれる話題ですし。


 僕は、その人生の大部分において、マンガよりも一冊で長持ちする小説やノンフィクションなど活字メイン、あるいはマイコン雑誌ばかり読んでいた記憶があるのですが、そんな僕でも、『80年代ジャンプ』の作品は鮮明に記憶しています。
 
 この『バクマン。』随所に「藤子不二雄先生のデビュー当時の話」とか、「トキワ荘の逸話」とか、マンガの歴史が織り込まれていて、僕にとっては、主人公二人の活躍よりも、「マンガ作りの背景」を観るのが楽しくてしょうがありませんでした。

 自分の作品を認めてくれない編集者に、無言で席を立つ最高に、編集者にフォローを入れつつ、その後を追いかける秋人。
 ああ、これって、まさに「藤子不二雄の新人マンガ家時代のエピソード」じゃないか!


参考リンク(2):藤子不二雄A先生が語った「藤子・F・不二雄の思い出」(いつか電池がきれるまで)


 仲間が締切りに遅れそうになるのをみんなで手伝う場面とかも「トキワ荘」に集まったマンガ家たちのことを思い出さずにはいられません。
 この映画、映像表現はけっこう斬新なのですが、それだけではなく、物語の中に「戦後の漫画家たちが紡いできた歴史へのリスペクト」が織り込まれているのが、すごく印象的でした。

 
 正直、最高と秋人の二人の物語に関しては「これだけ漫画家予備軍がひしめいているのに、こんなにうまくいくものじゃないだろう」とは思うのですが、この映画においての二人は「主人公」というより「漫画家たちが生きている世界を見せるためのナビゲーター」なのかもしれません。
 この映画、メインストーリーよりも、「織り込まれた、さまざまなマンガ家のエピソード」や『ジャンプ』の編集会議の様子とか、持ち込みに対する編集者の対応とかに感動してしまうのです。
「おお、新連載の可否って、こんな感じで決めてるのか!」って。
 僕の世代には、「マンガ家になりたい!」と思ったことがある人がたくさんいたはず。
 でも、この『バクマン。』の週刊連載と人気投票システムの肉体的・精神的なキツさを観ると、マンガ家というのは、本当に「バクチ」な職業だと思います。
 というか、「週刊連載」とは、本当によくやるよなあ、と。
 連載をはじめられても、人気がなければ10週打ち切りが待っている。


 それにしても、アイドル声優の卵とかより、『週刊少年ジャンプに連載を持っているマンガ家」のほうが、圧倒的にステータスが高いような気がするのは、僕も「ジャンプ信者」だったからなのでしょうか。
 あと、またまた登場、「いかにもリリー・フランキーがやりそうな役」にキャスティングされている、リリーさん!
 あっ、『ラッキーマン』の絵!と思っていたら、エンドロールをみて嬉しくなりました(この作品のエンドロールは、本当に見ていて楽しいのです)。
 劇中のマンガを小畑健さんが描いていて、そのおかげで、「この作品なら人気が出てもおかしくない」という説得力があるんですよね。
 とにかく「細部のアイテム」へのこだわりがしっかりしている作品だな、と。

 ところで、ヒロインの小松菜奈さん、僕にとっては中島哲也監督の『渇き。』での怪演のインパクトが強すぎて、この『バクマン。』でも、「いやしかし、こいつ、腹の底で何かたくらんでいるのでは……」と、顔を見るたびに不安になったんですよね。
 第一印象って、けっこう大きいみたいです。

 映像表現も面白いし、とくにケチのつけようがない良作だと思います。
 その「とくにここが問題、というところがないソツのなさ」みたいなのが、もしかしたら、この映画の「弱点」なのかもしれないけれど。


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バクマン。 1 (ジャンプコミックス)

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