はるか昔、南極の氷河の奥深くに封印された「失われた王国」。そこには、世界を滅亡させるほどの力を持つ伝説の古代兵器ブラック・トライデントがあった。ある日、アクアマンへの復讐を誓うブラックマンタがブラック・トライデントを見つけ出し、邪悪な力が解き放たれてしまう。5億もの海の生物を操ることのできる海底アトランティスの王アクアマンは、かつてない脅威から海と地上の世界を守るため、仲間たちとともに立ち上がるが……。
2024年映画館での鑑賞3作目。 毎月1日の「映画の日」午前中の上映で、観客は僕も含めて5人。
公開からだいぶ日が経っていることもあり、「映画の日」なのに観客は少なめ。
スーパーヒーローものの失速傾向に、MARVELではなくDCで、馴染みも薄いこともあって、日本ではあまり話題にならなかった印象です。
前作『アクアマン』は、観る前はあまり期待していなかったけど、けっこう面白かった記憶があるので、この続編も僕はけっこう期待していました。
実は、途中まで感想を一度書いた段階で、前作の感想を確認してみたのです。
でも、観てみたら、けっこう面白かったんですよこの映画。
ストーリーは行き当たりばったりだし、アクアマンはほとんど葛藤しないし、登場人物もそんなに多くはありません。逆に言えば、ものすごく「わかりやすい」!
なんでこんなに「MARVELっぽい」のだろうかと考えてみたのですが、物語の軸は異世界での兄弟による王位争いで、要するにこれ、『マイティ・ソー』なわけですよ。あのハンマーが矛になっただけ。
そういえば、アクアマンとオームのキャラクターも、ソーとロキに似ているような。
うわっ、今回の続編『失われた王国』の感想にも、ほとんど同じことを書いていた……
前作の感想を全部コピー&ペーストして、固有名詞だけ変えれば、新しいエントリの出来上がり!になりそうです。
ただ、『MARVELっぽい」かと言われると、最近のMARVELのスーパーヒーロー作品が「マルチバース」とか「多様性」とかに舵を切っていて、ストーリーも複雑になっていることもあり、「初期の、それこそ『マイティ・ソー』あたりのMARVELを思い出すヒーローもの」という感じです。
ジェイソン・モモアさんのアクアマン(アーサー)は、いいかげんなところもあるけれど、おおらかで包容力があるというか「誰とでも仲良くなれそうな感じ」を醸し出しています。たぶん、この人の『アクアマン』だからこそ、あまりにもこの映画のうまくいきすぎている部分(前作で王位を争った「弟」との関係とか)も、「まあ、いいか」という気分で観ることができるのではないかと。
そして、悪党が、キッチリと「悪い」のも、なんだか懐かしい。
ドラマチックにするための、登場人物の御涙頂戴的な悲劇なども、『アクアマン』では丁寧に取り除かれています。
「辰年は”アクアライド”で海祭り」
この映画のキャッチコピーなのですが、「スーパーヒーロー映画なのに、深いストーリー」とかを目指さずに、「観客を楽しませる、スリルと爽快感があるアトラクションみたいな映画に特化している」ことが、『アクアマン』の良さなのかな、と思うのです。
「スーパーヒーロー映画でさえ、ポリコレとは無縁ではいられず、制作側の『配慮』が伝わってくる」時代だからこそ、この映画の「わかりやすさ」「懐かしいスーパーヒーローものの帰還」が際立っている。
「めでたし、めでたし。アクアマンが赤ん坊におしっこひっかけられられる姿と弟があれを食べているシーン、あと敵のスーツが土偶みたいだったことしか覚えてないけど、けっこう楽しかったからいいや」
まあでも、ジェイソン・モモアさんのファン、というのでもなければ、わざわざ映画館で観る必要はないかな、とは思いました。
ちなみに、アメリカでも「スーパーヒーロー映画離れ」が顕著になってきているようで、この『アクアマン』の続編も前作に比べると厳しい興行成績になりそうです。
DCのヒーロー映画では、『シャザム!~神々の怒り~』以下の初動成績とは……
ジェイソン・モモアさんの『アクアマン』好きなんだけどなあ(ちなみに、「現行のDC映画ユニバースはリセットが決まっており、本作がその最終作。2025年以降の新体制では、ジェイソン・モモア演じるアクアマンも再登場しない可能性が高い」らしいです)。
邦画も、近年は「アニメか漫画実写化しか勝たん!」って状況ですしね。