琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

ネバーランド ★★★★★

http://www.neverland-movie.jp/

「いい映画だ」という評判は聞いていたのですが、その先入観を差し引いても、本当に素晴らしい映画でした。ジョニー・デップの存在感というか佇まいが非常に印象的。
この映画は「夢を持ち続けることの大切さ」が描かれている一方で、「夢を追い続けることの不幸」も同じように描かれていて、それが、僕をものすごくせつない気持ちにさせるのです。僕もピーターと同じような「夢想家の子ども」だったので。
バリは、「ピーターパン」という歴史に残る傑作を得たのと引き換えに、妻の愛情を失ってしまうし(もともと違う方向を見ていた2人なのかもしれませんが)、世間的には、自分の妻を置き去りにして、未亡人をたぶらかす不逞な芸術家野郎としか言いようがないわけだし。いくら本人が「純粋な交流」だと言い張っても、それで傷つく人がいる限りは、それは言い逃れなのかもしれないし。
「子どもの心」を持ちつづける、というのことは、ある意味「大人として生きることから逃げている」という面もあるのです。
僕がこの映画を観ていていちばん気になったのはバリの妻のことで、「不貞行為を自覚もなしにやっている夫」に対して、女優をやめて結婚したというこの女性は、相手が「悪いことだと思っていない」だけに、やり場のない苛立ちと虚しさを感じていたに違いありません。なんだかね、そういう「噛み合わなさ」というのが、この映画からは伝わってくるのですよ本当に。

この物語の最後に演じられる「ピーターパン」に涙を抑えることができなかったのは、やっぱり、僕の中にも「バリ的なもの」がずっと存在していて、それこそ毎日「妖精を殺しながら」生きているのだ、とあらためて感じたことと、そして、もはや、「ネバーランド」というのは、心の中にしか存在しえず、そして、その夢の世界を創造するには、これほどの「痛み」を伴っているのだ、ということを理解したからなのだと思います。
ネバーランド」を信じているのが子どもならば、「ネバーランド」なんてどこにも無いということを、わかっていても信じたいのが大人なのかもしれない。
でも、「ネバーランド」が必要な人間というのは、たぶんたくさんいるのです。

この映画の魅力はうまく言葉にすることは難しいのですが、100分くらいの最近では比較的短めの映画なんですけど、ものすごく「観てよかった!」と思える映画でした。緑を基調にした画面も、ものすごく綺麗だった。

あと、ピーターパン役の女優さんが、なんだかとてもよかったです。

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