琥珀色の戯言

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女子と鉄道 ☆☆☆☆

女子と鉄道

女子と鉄道

 茶道、華道、鉄道!〜女子にも乗れる鉄道入門〜

 こんなコピーがオビに書いてあって、しかも著者があの『負け犬の遠吠え』で一世を風靡した酒井順子さん。「これはいったいどんな本なんだ?」と気になって購入してしまいました。
 酒井さんというのは、僕のイメージでいえば「データを集めて処理・分析することに喜びを見出す理系タイプ。『ベストプレープロ野球』とかにハマりそうな人」だったので、この本も、いわゆる「鉄道マニアの世界」が繰り広げられているものだと思ったのですが、内容はデータ重視というよりは、「とにかく鉄道に乗るのが好きな人」が、いろんな鉄道に乗って、その「感想」を誠実に書いていったものでした。酒井さんって、こんな淡々としているけれども叙情が染み出てくるようなエッセイも書けるのだなあ、と感心してみたり。さらりと読めてしまうし、そんなに分厚い本でもないのですが、あとでふと思い出して読み返してみたくなるような本。

 鉄道は私に、「移動」という冒険をさせてくれます。しかしそれは全く先の見えない冒険ではない。行きつく先は絶対に駅で、走るのは絶対に線路の上。知らない駅から鉄道に乗る度に覚える、「冒険をしているのだ」という不安感と、駅と線路とが必ず与えてくれる安心感。両者を同時に得ることができるが故に、鉄道は魅力的なのです。

 この本を読んで、実は潜在的女子鉄」っていうのは、けっこういるんじゃないかなあ、と僕は思ったのです。「データ派」ではないけれど、「鉄道に乗るのが好きな人」って、女性にもけっこういるのではないでしょうか。

 とりあえず、この本をid:hibigenさんに捧げます。共通の趣味はあるに越した事ないですし。

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