琥珀色の戯言

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にっぽん家族の肖像―NHKスペシャル ☆☆☆☆


NHKスペシャル にっぽん 家族の肖像 (小学館文庫)

NHKスペシャル にっぽん 家族の肖像 (小学館文庫)

出版社 / 著者からの内容紹介
今を必死に生きる家族たち、7つの感動実話

 本書は映像ドキュメンタリーを活字化した7つの物語。ハンセン病患者の母と息子、ブラジルで日系としての生き方を守ろうとする農場の人々、介護問題を抱えた二組の家族のそれぞれの姿、阪神・淡路大震災で遺児となった子どもたちが新しい家族をつくろうと努力していく姿、祖母の代に開墾した農地を受け継いでいこうとする三代にわたる家族の姿など。現代日本が抱える人間関係の原点を考えさせる、実在の家族の存在を、丹念に追った作品。

 この本、2007年の5月から、同年12月まで全7集が放送された、NHKスペシャル「にっぽん 家族の肖像」を書籍化したものなのです。
 僕はこの本を読みながら、この番組を観ていなかった(というより、こういう番組が放送されていたことすら知らなかった)ことを残念に思いました。それと同時に、僕にとっての「家族」って、いったい何なのだろうな、とあらためて考えさせられました。
 僕は「家族っていっても一人一人は別々の人間だから」というような「現代的」だという世界で生きてきた期間が長いですし、「事ある語とに『家族のため』っていうのは、言い訳がましい」と感じることが多かったのです。
 あの『大家族スペシャル』を観ても、「オッサンたち、生活が苦しいって、家族計画なしにセックスしてたら当然だろ!子供もさっさと妊娠・結婚って、どうして親から学ばないんだ……」というような苛立ちしかなくて。
 でも、この本で紹介されている7つの「家族の物語」は、それが「ドラマチックではない」ために、かえって僕にとっては感銘を受けるものでした。もちろん、「平均的じゃない状況」に置かれている人たちが多いのですが、ここで描かれているのは、「普通の人が、普通に生きていても直面しうる問題」ばかりなんですよね。「もし自分が同じ立場だったら、どうするだろう?」と思わずにはいられません。そして、懸命に生きている人たちを助けてくれる人もいれば、その窮地につけこんで、自分が利益を得ようとする人もいる。周囲の人たちも、みんなそれぞれの「事情」を抱えているわけで。

 この番組のシリーズプロデューサーだった藤木達弘さんが、巻末にこんなことを書かれています。

 取材させていただいた方は、市井の、普通の人々、いわゆる”名もなき人々”です。今の拝金主義が跋扈する日本の中で、決して恵まれているわけではなく、ほとんどの方が、様々な社会の壁に直面し、苦しんでいました。しかし、その中で、一生懸命「誇り」を持って生き、そして家族が、お互いのことを深く思いやり、絆を育てていました。
 その姿に、我々は深い感銘を受けました。番組に携わったスタッフ誰もが、「取材させていただいて、本当に幸せだった。我々が、家族とは何か、人間とは何か、といった大切なことを、教えていただいた」
 と感じています。
 視聴者の方々のお手紙を読んで、何よりもうれしかったのは、私どもと同じ思いを、多くの方に共有していただいたことでした。

 「人間」も「家族」も、完璧なんてことはないんですよね。どんな幸せそうな家族にも、それなりの課題・問題はあるのです。
 相変わらず「家族のために」という言葉を口にするのに抵抗感がある僕なのですが、「家族のため」に生きるというのも、それはそれでひとつの生き方のスタイルなのかもしれないな、と最近感じています。

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