琥珀色の戯言

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ビッグタイム ☆☆☆


ビッグタイム (宝島社文庫)

ビッグタイム (宝島社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
パチスロ唯一の必勝法は「最高設定6の台を打つ」こと。この裏情報を元に、パチスロコンサルタントとして、毎月百万単位の売り上げを誇る東。ある日、東の会社が流している情報が、他からも漏れていることが発覚する。東は、部下の和泉に調査を命じ、情報漏洩のからくりを探らせる。一方、財団法人遊技機審査協会の二宮は、公金もジャブジャブ使ってしまう博打狂い。競馬の予想情報会社とノミ屋をやっている橋本は、借金を踏み倒そうとしている二宮に、カジノでの儲け話を持ちかけるが…。三者三様の思惑は交差し、欲が欲を呼ぶ。一億円の払い戻しをかけた最後の大勝負は、天下のJRA、GIビッグレースが舞台に。

 なかなかよくできたギャンブル小説、だと思います。
 しかしながら、僕にとっては、「ちょっと物足りない」としか言いようがない作品ではありました。
 プロローグをきちんと読んでいれば、仕掛けはバレバレだし(あまりにバレバレすぎたので、もうひとひねりあるんじゃないかと思いながら読んでいたのですが……)、競馬フリークにとっては、けっこう粗さがしできるところが多いんですよね。
 ゴッズサンという馬の「強さ」が、この小説のひとつのキーポイントになってくるのですが、皐月賞を圧勝した馬が(いくら血統的に距離適性が疑わしかったとしても)ダービーをパスして安田記念に向かうとは思えないし(故障じゃなければダービーに出走させるよね絶対)、出遅れの実績がある追い込み馬が秋の天皇賞単勝1.1倍なんていう極端な支持を受けるとは考えられません。もともと荒れるレースですからね、秋の天皇賞って。あのサイレンススズカ秋の天皇賞単勝1.2倍だったのですから。
 そして、この小説の最大の「残念なところ」は、どの登場人物にも感情移入できない、ということでした。たぶん、「不正をしている役人」である二宮がハメられるのを笑ってくれ、ということなのでしょうが、僕は、この二宮が不憫でしょうがなかったんですよね。「利口な連中が、負け犬をさらに踏みにじる小説」で爽快感を得るのは難しいよ。
 結局、僕がこの本を読みながらずっと考えていたことは、「うーん、これを読むなら、『カイジ』や『銀と金』を読んだほうが面白いよな……」ということだったのです。

銀と金 (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

銀と金 (1) (双葉文庫―名作シリーズ)

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