琥珀色の戯言

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天使と悪魔 ☆☆☆☆


映画『天使と悪魔』公式サイト

ハーヴァード大学の宗教象徴学の権威であるロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、歴史上最も謎に包まれた秘密結社・イルミナティの復活の証拠を発見し、彼らが最大の敵とみなすカトリック教会=ヴァチカンに致命的な脅威が迫っていることを知る。イルミナティの計画が密かに進行していることを突き止めたラングドンはローマに飛び、400年の歴史を持つ古代のシンボル=暗号をたどりながらヴァチカンを救う唯一の手掛りを探っていく…。(作品資料より)

5月18日のレイトショーにて鑑賞。このインフルエンザ禍のなか、人が集まる映画館に行くのはどうかと思ったのですが、いまの生活では観られるとくに観ておかないと。
お客さんは20人程度で、公開4日目としてはちょっと寂しい気もしますが、まあ、月曜日の夜(+インフルエンザへの危機感)を考えると、こんなものかもしれません。
感染をおそれた人が多くて、まさか誰もいないのでは……なんていうのは、さすがに取り越し苦労でした。

この『天使と悪魔』、正直あまり期待していなかったのですが、ネットのレビューでは、「前作『ダ・ヴィンチ・コード』より面白い!」という声が多かったようです。
僕も観終えて、「たしかにこれは『ダ・ヴィンチ・コード』より面白いな」と感じました。
息もつかせぬアクションと残酷な殺戮シーンの連続、ヴァチカンの観光名所めぐり。そして、教皇選出時に、煙突がら上がるのが黒い煙なら未決、白なら新教皇決定という、歴史マニアにとっては興味深い場面の映像化。
まあ、観ながら、「ラングトン教授、あまりにスムースに謎解きしてるけど、お前が犯人じゃないのか?」と思ったり(いや、ほんと数々の謎に「一発回答」なんですよ教授)、「現場」にたどり着くのがいつも数分前だったりするのが続くのには、むしろ微笑ましくなってしまいましたけど。
本質的にはありがちなアクション映画でも、これだけ舞台設定と映像と役者をゴージャスにすれば、やっぱり楽しい!

僕は原作未読なのですが、この『天使と悪魔』を観て感じたのは、映画っていうのは、小説に比べて不利なところがあるな、ということです。
いくら製作側が観客をミスリードさせようとしても(というか、『天使と悪魔』はあまりにベタすぎるんだけど)、キャストが有名俳優だったら、「この役者が演じている人物なら、まだ見せ場があるはず」とかいうふうに考えてしまうんですよね。
ヒロイン役の人は何のためにいるのかよくわかんなかったし、相手の計画はあまりに杜撰だし、悪い人は肝心なときに手加減しちゃうしで「なんだこの御都合主義映画は!」って言いたくもなりますが、面白いかつまらないか問われたら、やっぱり「面白い」のは間違いありません。138分とちょっと長めなのですが、あまり時計に目がいきませんでした。
ダ・ヴィンチ・コード』は、ストーリーがあまりにぶっ飛んでいて(というか、「陰謀論」めいていて)、さすがについていけなかったけど、この『天使と悪魔』は、「まあ、そういうことだったら、現実にありえないとも言い切れない」くらいのリアリティはありますし。

結局これ、「なんか得した感じがする」作品なんですよね。「感動超大作」でも「歴史的名画」でもありませんが、確実に「料金の元はとれた」感じがします。
簡単そうに思えるのだけれども、実際に「元がとれた気がする娯楽映画」って、ほとんどないんですよね。

とりあえず、「科学と宗教」っていうのは、なんのかんの言っても相性悪いものなのだろうな、ということはわかる映画です。
オウム事件のときも、「長年修行して得られる超常体験」が、LSDによるトリップと似たようなものならば、それでも人が「厳しい修行」をする意味はあるのだろうか?というようなことを考えましたし。

しかし、こんな「不謹慎な映画」を、よく撮れたものだよなあ。ローマ法王庁は、怒らなかったのだろうか?
(というか、かなり協力してるの?)

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