琥珀色の戯言

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人生に意味はありますか?


モンキービジネス 2011 Winter vol.12 人生の意味号

モンキービジネス 2011 Winter vol.12 人生の意味号

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内容紹介
人生の意味
あれば幸福か
なければ不幸か

人生に意味はありますか?21人の回答
(回答者)石川美南/岩松了/内田樹/大竹昭子/小田嶋隆/春日武彦/岸田秀/木田元/栗田有起/佐藤雅彦/塩川徹也/釈徹宗/しりあがり寿/谷川俊太郎/長島有里枝/奈良美智/西岡兄妹/福岡伸一/宮田珠己/森達也/ユアグロー

ときどき買っている『モンキー・ビジネス』なのですが、今号は「人生の意味号」と題されており、冒頭に「人生に意味はあるでしょうか。――モンキービジネスからの質問」への21人の識者の「答え」が掲載されていました。
(ちなみに、その他にも「人生の意味」関連の高橋源一郎さんの作品や翻訳小説、鼎談などが載っています)

巻頭の「人生に意味はあるでしょうか。――モンキービジネスからの質問」が読みたくて購入。
21人それぞれが「その人らしい」回答をしているのですが、中には「うーん、なんか言葉遊びでごまかされちゃった気分だなあ」と感じる回答もありました。
そういったものも含めて、とても面白い特集ではあったんですけどね。

内田樹
 もちろんこのような質問は「正解」を求めて発しているわけではありません。
 質問の含意は「あなたさ、たぶん『人生には意味がある』と無反省に思って暮らしているんだろうけどさ、ほんとにあなたの人生に意味なんかあるの? つまんない仕事して、不機嫌な家族と暮らして、定期預金の残高ながめて、それのどこが楽しいの?」というような、まあかなり挑発的なものであります。

谷川俊太郎
 意味があると答えても、意味はないと答えても、意味が生じてしまいます。人生にあるのは意味ではなく味わいだと私は思っているのですが、言葉で言うとどうも据わりが悪い。禅問答ではありませんが、答えは「……」とでも言うしかありません。

小田嶋隆
 人生に意味はあるのか、と?
 さあね。人それぞれなんじゃないの?
 つまり、「人生」といったような曖昧な言葉を使っている限り、答えは出ないということだ。設問を変えた方が良い。
「私の人生に意味はあるのか」
 と、より具体的に、より個人的に考えるべきだ。そうすれば、答えに近づくことができる。かもしれない。うまく行けば。

ちなみに、僕が宮田珠己さんの回答がいちばん好きでした。

宮田珠己
 人生に意味はあるか→即座に有酸素運動

こういうのを読んでいると、やはり僕なりに「人生の意味」について考えてしまいます。
『モンキー・ビジネス』のなかでは、「100字から2000字まででお答え下さい」と書かれているので、僕もそれに準じて「回答」してみたいと思います。




「人生には明らかに意味がある」
自虐の詩』というマンガの最後に、こんな作者からのメッセージが書かれています。
このメッセージを最初に読んだとき、僕はちょっとがっかりしたんですよ。
そんなの、このマンガを読んできた人間には伝わっているに決まっているのだから、あえて「テーマ」として言葉にしてしまうのは、クドイしカッコ悪いし蛇足だよ……

でも、いまこうして「人生の意味」について考えてみると、業田良家さん自身も、あれだけの作品を描き上げながらも、「人生に意味があること」が読者に伝わっているのかどうか自信が持てなかったのかもしれない、という気がしてきたのです。

どんな人生にも、本当に意味はあるのか?
いや、『自虐の詩』の登場人物レベルであれば、まだ、「意味を見出す」ことは可能かもしれません。
でも、生まれた直後に命を落としてしまった赤ん坊とか、貧しい国で物心もつかないまま餓死してしまった子どもの人生に「意味」はあるのか?
「そういう人生にも、等しく意味はあるのだ」というのは、人生の意味なんて悠長なことを考えられる国・時代に生まれた僕の「傲慢」ではないのか?


生きることそのものが「意味」なのか?
子どもをつくって、遺伝子を遺すことが「意味」なのか?

僕は、自分自身の人生に「意味」なんてないと思っています。
僕はただ、「やるべきこと(その中には、自分の快楽を満たすための行為も含みます)をやる」しかない。
でも、そういう「やるべきことの積み重ね」は、他人にとって、ごくわずかにでも「意味」を持つことがあるのかもしれません。


今号に、オスカー・ワイルドの『しあわせな王子』が柴田元幸さん訳で掲載されています。

「街でいちばんとおといものをふたつもってきてなさい」と、神が天使たちのひとりに言った。天使は鉛の心臓と鳥の死骸をもってきた。
「おまえはただしいものをえらんだ」と、神は言った。「わたしの楽園の庭で、この鳥はいつまでもうたい、わたしの黄金の街で、しあわせな王子はわたしをたたえることだろう」

たぶん、この王子の人生には「意味」があると思うんですよ。少なくとも、この物語を読んだ人間にとっては。
ただ、王子の人生が「しあわせ」だったのかどうかは、僕にはよくわからない。
神を信じられない僕にとっては、幼稚園ではじめて読んでからずっとそれを考えているのですが、いまだに答えが出ないのです。



これを読んで、「人生の意味」について、少しでも考えてしまった皆様、今号の『モンキー・ビジネス』、おすすめです。
(今号に限らず、けっこうおすすめの本なんですけどね)

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