琥珀色の戯言

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偉大なる、しゅららぼん ☆☆☆


偉大なる、しゅららぼん

偉大なる、しゅららぼん

 高校入学をきっかけに、本家のある琵琶湖の東側に位置する石走に来た涼介。本家・日出家の跡継ぎとして、お城の本丸御殿に住まう淡十郎の“ナチュラルボーン殿様”な言動にふりまわされる日々が始まった。ある日、淡十郎は校長の娘に恋をするが、その直後、彼女は日出家のライバルで同様に特殊な「力」をもつ棗家の長男・棗広海が好きだと分かる。恋に破れた淡十郎は棗広海ごと棗家をこの街から追い出すと宣言。両家の因縁と三角関係がからみあったとき、力で力を洗う戦いの幕が上がった――!

琵琶湖を舞台にした、青春SFアクションコメディとでも言えば良いのでしょうか。
いわゆる「マキメ・ワールド」らしい作品である一方で、ちょっと飽きてきた感じがするのも事実。
まあ、僕が『鴨川ホルモー』から、ずっと万城目さんの作品を読んでいるから、というのもあるとは思うんですよね。
これが初めての万城目作品とか、『プリンセス・トヨトミ』に続く2作目とかなら、十分楽しめるはずです。

この『偉大なる、しゅららぼん』で僕が気になったのは、「設定に凝りすぎて、物語が盛り上がってくるまでに時間がかかりすぎる」ところでした。
最初の200ページくらいまでは、かなりまだるっこしい感じがしました。
登場人物が多すぎて、それぞれの人物の見せ場もちょっと少なかったし。
550ページもあるわりには、ボリューム感に乏しいような。
パタ子さんとか、フジテレビが映像化したら、綾瀬はるかが演じそうなキャラクターだな、と思いながら読んでいたのですが、どうもいまひとつ尻切れとんぼになってしまっています。
いやまさか、綾瀬さんが「グレート清子」なのか?


肝心の「力」についても、どうもイメージしにくいし、「しゅららぼん」の秘密には、笑いも意外性もいまひとつ。


最後は『ゲド戦記』かと思った……
なんなんだその強引な急展開は……
そもそも、敵の正体も「最後の手段」も反則というか、さすがに御都合主義じゃないのかなあ。


ディテールが面白いのが「マキメ・ワールド」なのですが、この『偉大なる、しゅららぼん』は、「設定に凝りすぎて、消化しきれないまま終わってしまった」印象です。
「続編」があるのかな、とも思いますが、この終わり方では難しいかな。


けっして、つまらなくはないのだけれど、この程度の面白さのために、こんな分厚い本を読むのはもったいない気がするし、万城目さんの作品が、どんどん長くなってきていることは僕にとって残念です。
「気軽に読める長さ」が心地よい世界だったあるはずなのに。


個人的には「文庫待ち」で十分だと思います。

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