琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

逆転裁判 ☆☆☆




参考リンク:映画『逆転裁判』公式サイト

あらすじ: 近未来、政府は弁護士と検事の直接対決により3日間で判決を下す「序審裁判」制度を導入。上司が殺害された事件で被告の弁護人となった新人弁護士・成歩堂龍一成宮寛貴)は、幼なじみの天才検事・御剣怜侍斎藤工)と法廷で激しいバトルを繰り広げる。その裁判の後、成歩堂のもとに御剣が殺人容疑で逮捕されたという知らせが届き、御剣の弁護を引き受けるが……。

2012年6本目の劇場鑑賞作品。
日曜日の昼間の上映で鑑賞しました。
平日のレイトショーとかだったら、「シアター内に僕ひとり」の危険性があるんじゃないかと予想していたのですが、今日は30人くらい入っていました。
逆転裁判』というゲームの知名度なのか、三池監督ファンが多いのか、それとも、成宮寛貴パワーなのか……


うーむ、前半は眠かったし(ちょっと寝不足ではあったのですが)、後半は、なんだか観ていて無性にイライラしてしまいました。
僕はゲームの『逆転裁判』、シリーズ全作エンディングまできちんと見ていて、大好きなのですが、それだけに今回の映画化は楽しみであるのと同時に、ちょっと心配でした。
あの「ゲームならではのぶっ飛んだ設定とシナリオ、キャラクターを、三池崇史監督は、どうやって実写化するのだろうか?


人気マンガ、とくに、現実とはかけ離れた設定の作品の映画化は、本当に難しい。
三池監督の『ヤッターマン』には原作への愛着と敬意があったし、三池監督ではありませんがキムタク版『宇宙戦艦ヤマト』も、僕はわりと楽しく観ることができました。
「憧れのアニメのキャラクターを有名俳優たちが演じる大学芸会」というのも、「楽しんでいる人たちを観て楽しむ」のには悪くないな、と。


でも、この『逆転裁判』は、ちょっと受け入れ難かった。
逆転裁判』というコンテンツそのものが、『ヤッターマン』や『ヤマト』ほど世間に認知されていない、というのもあるのでしょうが、いくらフィクションの世界だとわかっていても、実写での「裁判ごっこ」には、なんだか抵抗があるのです。
逆転裁判』の世界では、「まず3日間速やかに裁判をやって、有罪か無罪かを決めてしまう」という「序審裁判」のシステムが採用されているという設定です。
ゲームでは、「そんなものだろ」と素直に適応できるし、とんでもない証人や証言、いきなり法廷で明かされる真犯人も「『逆転裁判の味』です。
にもかかわらず、実写映画でやられると、「こんなアバウトな裁判で有罪かどうか決めてもいいのかよ」「成歩堂、思いつきで言ってるだけだし」「そんな証言だけで『有罪』になったり、証言の誤りが否定されただけで、『無罪』になったりするのは、あまりに短絡的すぎる……」など、どうも「それおかしいよ……」という気持ちが湧き上がってくるのです。
ゲームでは、真相に近づいてきたところで、「これでもかっ!」とばかりに二転三転して、「ようやく勝った……」という充実感があるのですが、この映画では、本当に「なんでいきなりそんなこと思いつくんだよ、成歩堂……」と言いたくなるような展開が多すぎ、それを「証拠にならないような証拠」がいきなり出てきて「証明」してしまう。
やっぱり、「裁判」をモチーフにしているのであれば、「法廷劇」としての緊張感を期待するじゃないですか。少なくとも、ゲームの『逆転裁判』は、かなりぶっ飛んだ設定ながらも、「検察側と弁護側の丁々発止のやりとり」を体験できます。
ところが、狩魔は「裁判は証拠がすべてだ、証拠を出せ!!」って言うだけ。
こういうのって、敵役に魅力と実力がないと、つまんないよね……
後半の石橋凌さんの気合いが滑りまくってうっとうしい「気迫の演技」とか、裁判中に挿入される観ているほうが恥ずかしくなるつまんなギャグとか、ほんと、なんだかなあ、という感じです。
登場人物のコスプレは、なかなかよく頑張っているのだけれども、千里さんや真宵ちゃんをあんなにケバケバしくする必要はないのでは……
そもそも、真宵ちゃんの存在意義あんまりないし……


僕が法廷モノ好きで、こだわりがあるのは事実なのですが、同じウソでも、「ステキな金縛り」は「こんなのありえない!」って思いつつも、受け入れられるレベルだったのです。
少なくとも「裁判は真実を明らかにするものだ」という大前提と安心感がありました。
でも、この『逆転裁判』の場合は、成歩堂のがんばりとか、逆転の快感以前に「こんな裁判で裁かれたらイヤだなあ」という不快感が強かった。
CGや特殊効果や演出も大事だけど、「裁判でのやりとりそのものが陳腐」では、やっぱりダメなのです。


ドロンボー一味」や「宇宙戦艦」であれば、「フィクションの世界」として、実写化されてもネタとして楽しめるのだけれど、モチーフが「裁判」となると、僕はそんなに鷹揚にはなれません。
「無罪」で紙吹雪が舞ったりすると、「何それ?」と感じてしまうんだよなあ。
制作側は「笑わせたい」と思っているのだろうけど、少なくとも僕は笑えない。


逆転裁判』が、こうして映画になるくらい認知されたのは嬉しいのだけれども、これ、絶対に映画よりゲームのほうが面白いからね!
それだけは言っておきたいし、人気アニメやゲームの実写化って難しいなあ、とあらためて感じた作品でした。
この映画を「大人の学芸会」として笑えるほど、裁判っていうのは僕にとって「フィクション」じゃないんだよなあ。
そうそう、原作のサウンドを、もうちょっと使ってくれるかと思っていたのだけれど、そこも残念。
逆転裁判』は、アニメにしたほうが、良かったんじゃないかな……

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