琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】おいくら万円? ☆☆☆☆


おいくら万円?

おいくら万円?

内容紹介
 時代を反映するモノの値段で社会を読み解く一冊
モノとサービスのベストバイを探る月刊誌「MONOQLO」の人気連載「○○のお値段」が一冊になりました。
 自分専用のテーマパークを作るには一体いくら必要でしょうか? 答えは1208億円。
 プライベートジェットの値段は? 無人島の相場は? プロ棋士の平均年収は? などなど、
 知られざるモノの値段やサービスの相場、職業の収入などを明らかにし、その理由や世相などから現代社会を読み解く一冊です。
 雑学・教養として「モノの値段」を知っておきたい方におすすめです。

 こういう「実生活の役に立つことはないだろうけど、知らなかった世界のことが実感できる本」って、けっこう好きなんですよね。
 プライベートジェットの値段とか、外国人アーティストを招いてのコンサートの収支とか、自分に直接関係してくることは、まずありえない話ではあるのですけど。

 ディズニーリゾートを貸し切るには”最低7000人から申し込み可で、2時間だけ貸し切れて4080万円”。警備のためにSPを雇うには、例としてIT企業の部長クラスの警護で、”SP3名を30日間雇って285万円”となる。この値段について、みなさんは高いと思うだとうか、それとも意外と安いと感じるだろうか……?

 ディズニーランドって、「貸し切り可能」なのだそうです。
 ただし、いろいろと「条件」もあって。

 そんな大人気の東京ディズニーリゾートを、一日貸し切ることは可能なのだろうか。結論からいうと、開演から閉園までを通して貸し切ることは無理だが、通常営業終了後の一定時間に限って、ディズニーランドやディズニーシーを貸し切れる制度はある。 
 たとえば、閉園時間が20時の日に(運営時間はシーズンなどで異なる)、一般客が退場した後の20時から22時までの2時間を貸し切るという形だ。当日は14時から入場できる。ただし、人数は最低7000人以上が条件で、実施日の8ヶ月前までに申し込む必要がある。
 費用は、高齢者から幼児まで一律ひとり5400円(成人の日の翌日から2月末までは5100円)。8000人なら合計4320円。これに、キャラクターグリーティングやショーなどのエンターテインメント出演者が伴うプログラムの実施、主催者のあいさつなどを伴う式典、オリジナルのガイドブックや記念品の作成などをオプションで加えることも可能。300万円のオプションをつけたとしても7000人で割ればひとり当たりの負担は428円。合計で5828円となる。

 事前に入場して遊んでいられるとはいえ、2時間というのは、ちょっと短い気もします。
 それも、閉園後、ということですから、けっこう遅い時間から。
 それでも、こういうシステムがあるということは、利用もされているということなのでしょうね。


 あと、僕がずっと気になっていたのは「花火大会」の値段。
 大きな花火大会では、スポンサーの名前がアナウンスされることが多いのですが、あれって、どのくらいのお金がかかっているのだろう?って。

 日本を代表する花火大会といえば、秋田県の「全国花火競技大会茨城県の「土浦全国花火競技大会新潟県の「長岡まつり大花火大会」が日本三大花火大会といわれており、これ以外でも東京都の
「隅田川花火大会」も有名だ。どの大会も打ち上げられる花火の数は1万5000発〜2万発以上で、これらにかかる費用は、各大会の主催者発表を総合すると、9000万円前後〜1億2000万発程度が相場のようだ。

 まあ、このくらいはかかるのだろうな、という妥当な感じの費用なのですが、こういうのって、なかなか知る機会がないので、ようやく合点がいった気分です。
 大きな大会では、各スポンサーは数百万円ずつくらい、お金を出しているということになりそうです。

 この本を読んでいると、大きなお金が動いているようにみえるイベントでも、収支は本当に「ギリギリのところ」のものが少なくないことがわかります。
 映画館の項目を読んでいると、「これはたしかに儲からないんだな」と実感させられます。

 映画フィルムは、映画会社→配給会社→映画館と移動し、映画館は上映の際に配給会社へ「フィルム賃料」を払う。賃料の額はチケット売上げの一定割合を支払う方法と、数十〜数百万円の固定額(作品や上映期間で異なる)を支払う2通りあり、「月のチケット収入の5〜6割を占める」(某オーナー)というから、経費の大半はこの「フィルム賃料」ということになる。
 総額の詳細は別表の通りだが、意外に高いのが光熱費。「真っ暗だから電気代が安そう」と思われがちだが、客がひとりでも映写機は回し続け、エアコンはつけっ放し。200人規模のこの劇場でも「月60万以下はない」という。
 さらに、待合室に設置する大型モニターなどの什器類、エスカレーターのメンテナンス費用など、毎月の施設管理費も50万円以上。これらを合算すると「800万円入って800万円出ていくのが当館のパターン。別の商売をしてしのいでいる」と切実だ。

スクリーン数が多ければ、効率化できる部分はあるのかもしれませんが、必然的に「そんなにお客さんが入らない作品」も上映せざるをえなくなります。
そもそも、チケット収入の半分以上がフィルム賃料で持っていかれるわけですから、経費などを考えれば、そんなに儲かるはずがありません。
となると、大きな商業施設と結びついて相乗効果を狙う「シネコン」でもないと、運営していくのは難しいのでしょうね。
運営する側にとっては、「ただ映画を上映して、入場料を稼ぐだけの簡単なお仕事」だと思っていたのだけれど……


この本を読んでいると、商売というのは、意外なところにけっこうコストがかかっているということがよくわかります。
そして、「ラクして儲かる話」っていうのは無いのだな、と思い知らされます。


「こういう本が好きな人」にとってはもちろん、いまの世の中の商売の仕組みを覗いてみたい人にもオススメです。
「実用的」とは言い難い話ばかりなのですが、「こんな仕事で、ラクして儲けやがって!」って憤ることは減るんじゃないかと思いますよ。

アクセスカウンター