琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

『琥珀色の戯言』が選ぶ、2014年の映画ベスト5


年末恒例の企画、映画篇。
今年僕が観た映画を振り返ります。
今年は37本観ました。去年と同じ数。
一昨年から、38本、37本、そして今年も37本ですから、このくらいで安定してきているようです。


では、さっそくランキングの発表です。


第5位 ゴーン・ガール

あらすじ
ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……。

この映画の僕の感想はこちらです。


 僕は「妻の失踪の謎を解明するミステリ」だと思い込んでいたのですが、これは、男と女というか、「結婚生活」というものの根源的な居心地の悪さ、みたいなものを容赦なく描いた作品でした。
「奥さんがあなたのいない昼間に何をしているか、ご存知ですか?」


 これ、結婚生活の普遍的な真理、みたいなものを描いた映画なんだろうな、と思いきや、『週刊SPA!』に掲載されていた、デヴィット・フィンチャー監督のインタビューを読んだら、「いや、別に結婚生活一般の話をしたかったわけじゃなくて、ニックとエイミーは、ちょっと『特別なケース』だということだよ」というような話をされていて、「そうなんだ、僕の考えすぎ、だったのか……」と思った次第です。
 フィンチャー監督の「煙幕」かもしれませんけどね。



第4位 キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

あらすじ:アベンジャーズ』から2年後、スティーヴ・ロジャースはワシントンD.C.で暮らし、諜報機関S.H.I.E.L.D.の下で働いていたが、現代社会への適応に苦労していた。朝のジョギングの際にベテラン軍人でPTSDカウンセラーのサム・ウィルソンと知り合った後、ロジャースはジョージ・バトロック率いるアルジェリア系海賊からS.H.I.E.L.D.隊員たちを救出する任務に招集される。


この映画の僕の感想はこちらです。


この『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、そんなに期待していなかっただけに、観てみると、けっこう面白くて得した気分になりました。
アベンジャーズ』仲間のアイアンマンやソーなどの「歩く大量破壊兵器」と比較すると、頼りなくて見ていられなくなります。
いいヤツで真面目なのに、弱い(っていっても、あくまでも『アベンジャーズ比』ですが)キャプテン・アメリカ
このキャラクターでヒーロー映画をつくるのは、けっこうつらいよなあ、なんて、思いながら観ていたのです。

「もしあなたの娘が、テロリストに拉致され、命の危険が迫っている状況でも、このシステムがあれば、娘を指一本で救い出すことができるのですよ?」

この映画を観ていると、「安全」よりも「自由」のほうを優先するのが当然だと、アメリカの多くの人は確信しているということに、違和感さえあるのです。



第3位 ウルフ・オブ・ウォールストリート


ウルフ・オブ・ウォールストリート [DVD]

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あらすじ: 学歴や人脈もないまま、22歳でウォール街投資銀行で働きだしたジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)。巧みな話術で人々の心を瞬く間につかみ、斬新なアイデアを次々と繰り出しては業績を上げ、猛烈なスピードで成り上がっていく。そして26歳で証券会社を設立し、約49億円もの年収を得るまでに。富と名声を一気に手に入れ、ウォール街のウルフという異名で呼ばれるようになった彼は、浪費の限りを尽くして世間の話題を集めていく。しかし、その先には思いがけない転落が待ち受けていた。


この映画の僕の感想はこちらです。


 いわゆるマルチ商法の「教祖」みたいな感じなのですが、カネをガンガン稼ぐ一方で、刹那的に稼いだカネは使いまくります。
 会社で就業時間後にストリッパーまで呼んでパーティを行い、場を盛り上げるための、ちょっとしたゲームに何万ドルもの賞金を出す。
 社員たちを鼓舞し、会社への忠誠心を抱かせる「F○○K」連発のスピーチ、会議はいつもドラッグをキメて、ラリった状態で、など、もうほんと、あまりに凄まじすぎて、笑いをこらえることができませんでした。
 これが「実在の株式ブローカーの回想録を元にした物語」だというのだから!


 ディカプリオさんの演技も素晴らしいというか、なぜこの役がこんなにハマってしまうんだレオ様!
 顔芸も連発で、突き抜けてしまっている感じ。
 プロモーションで来日したときのインタビューには「ウォール街の狂乱」に対して、しずかに違和感を表明していたのですけどね、ディカプリオさん(ちなみに、ディカプリオさんも「株はほんの少しだけ持っている」そうです)。


 ちなみに、Wikipediaによると、この映画では「『fuck』が506回使われており、非ドキュメンタリー作品としては史上最多となっている」そうです。



第2位 STAND BY ME ドラえもん

あらすじ
東京の郊外に暮らす運動オンチで勉強もできない少年、のび太。ある日、22世紀から子孫であるセワシドラえもんと一緒にタイムマシンでのび太を訪れる。のび太が作った借金が原因で、セワシのいる代まで迷惑をこうむっていた。そのためセワシは、のび太のために世話係のネコ型ロボット・ドラえもんを連れてきたのだ。こうして、のび太ドラえもんと暮らすことになり……。


この映画の僕の感想はこちらです。


 うん、みんなの言いたいことはわかるよ。
 これは隙だらけで、ツッコミどころも多い映画だし、『ドラえもん』の世界観としてどうなんだ、と言いたくなる気持ちも理解できる。
 というか、僕も「なんだかなあ……」と思うところだらけなんだけど。
 

 映画としては、「なんかずるいな、これ。いいとこ取りじゃないか」なんですよ。
でも、これを観ていると、「ああ、ドラえもんって、いいなあ。あの時、僕もドラえもんが大好きで、ドラえもんと一緒にいたんだ」ってことを、思いださずにはいられなくなります。


「ひとつの映画」としてみれば、アラは山ほどあると思う。
それでも、僕にとってこれは、「ドラえもんと過ごした日々を振り返るアルバムを眺めるような映画」だったんですよ。
僕は、この映画の物語に涙したというよりは、この映画に出てくるエピソードを読んだ、幼い日の自分と、その周りの人々や風景を思い出して、涙せずにはいられなかったのです。


 見たか!ドラえもんは「子どもの頃だけの友達」なんかじゃないぞ!
(って、誰に向かって勝ち誇っているのか、自分でもわからないけれど、とにかくけっこう嬉しい)



第1位 インターステラー

あらすじ
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。


この映画の僕の感想はこちらです。


 「人類全体のため」という崇高な使命感と、自分自身が愛する人のため、という、根源的な情念、みたいなものとの葛藤。


 これを観ながら、僕は考えていました。
 人間は、本当にそういう状況が訪れたら、未来の人類全体のために、顔を見たこともない人々のために、自分自身を「つなぎ役」あるいは「捨て石」にすることができるのだろうか?


 この映画は、「英雄的」でなければならないことに葛藤した人間たちを描いているのです。
 「人類のための自己犠牲やテクノロジーの物語」のようで、「父と娘の信頼の物語」でもある。



【総括】
一昨年の総括では「不作だ……」と嘆き、昨年、2013年は大豊作だと舞い上がっていたのですが、今年、2014年は、選び終わったあとも、なんだかちょっとスッキリしない感じではあります。
2012年と13年の中間くらいか。


1位の『インターステラー』、2位の『ドラえもん』と、「作品としての善し悪しというよりも、僕自身の懐しさとか好み」を優先したランキングになっているような気がしますし。
ドラえもん』とか、本当にそうですよね。「良いドラえもん映画」なわけじゃなくて、「ドラえもん映画だから良い」という作品が2位でもいいのか?
ちなみに、1位の『インターステラー』に関しては、「すごく良い映画なんだけど、万人向けとは言いがたいのではないか」というのと、「僕が宇宙モノ好きなのと、最近観た作品なので、内容以上に「良い映画だった感」が強くなってしまったのではないか」というのがあって。
去年の1位は『ゼロ・グラビティ』だったんだよなあ。どれだけ宇宙飛行士映画が好きなんだ、と。


3〜5位は、感想では、☆4つで、他にも☆5つの映画はあったんですよ。
でも、今あらためて選ぶとすれば、こんな感じかな、と。
あと、映画の内容というより、自分の感想のなかで好きなのはこれかな。


今年は、洋画4本+邦画のアニメ1本を選んだのですけど、邦画にも楽しめる映画は多かったです。
るろうに剣心』の2部作はワクワクしましたし、『寄生獣』も「ここまでグロい映画が、PG12でいけるのか」と驚きました。
なんとなく、「過去の評価が固まっている名作を実写映画化する公式」みたいなのができあがりつつあって、それは、「とんでもない実写化」が無くなってきた、という意味では嬉しいのだけれど、それがパターン化されつつあることに、一抹の寂しさもあるのです。



あと、今年の最優秀主演男優賞は、レオナルド・ディカプリオさんに、そして、助演男優賞は、『WOOD JOB!』の伊藤英明さんに差し上げたい。「こういう人、絶対いそう!」って思いながら、何度も笑ってしまいました。
体育会系の理不尽な先輩みたいな感じなので、苦手な人も多いかもしれませんが、僕はこの映画の伊藤さんを観ているだけで、もう楽しくてしょうがありませんでした。
猿の惑星ライジング』のシーザーも名演だったよねえ。


そうそう、主演女優賞は、源静香さんに。


ホビット 完結編』『ベイマックス』あたりは、観ていればランク入りする可能性が高かったのではないかと思われますが、これは来年、ということで。
しかし、来年末くらいになると「これは2014年の映画だよなあ」と、選ぶのに躊躇ってしまいそう。


まあ、観る本数は、来年も「頑張ってもこのくらいの数」になると思われます。
毎回あんまり面白みのないチョイスになってしまって、申し訳ない。

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