
- 出版社/メーカー: マイウェイ出版
- 発売日: 2016/12/15
- メディア: ムック
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内容紹介
深淵なるクソゲーの世に、ようこそ。 ・即死すぎる! 最弱主人公 横綱対決 ・憎たらしいのにヤメられない! 無理ゲーの世界 ・蘇る! 伝説のタレントゲーム ・移植大失敗!? アニメ ゲーム 裏番付 ・芸能人が語る! ファミコンクソゲーランキング
レトロゲームマニアというか、子どもの頃からテレビゲームの進化とともに生きていた僕にとっては、正直、「まあ、こんなもんだよね」という内容ではあります。
個人的な「ファミコンクソゲーベスト(ワースト)3」は、『バルトロン』『エグゼドエグゼス』『ミシシッピー殺人事件』なのです。
この本での「総決算ファミコンクソゲー番付」では、東の横綱は『たけしの挑戦状』、西の横綱は『舛添要一・朝までファミコン』。
これはこれで納得の結果なのですが、この本にも書かれているように、「記憶に残るクソゲー」には、ただ「つまらない」「クリア不可能」なだけじゃなくて、呆れつつもツッコミを入れずにはいられない「愛嬌」みたいなものが必要なのかもしれません。
普通の「子どもの頃にゲームをやっていた人」とは、マリオとかドラクエの話で相手の守備範囲を探ることになるのですが、ゲームマニア同士だと、「名作」よりも「迷作」のほうが盛り上がりがちではあります。
食べ物でも、「ものすごく美味しいものは『美味しいね』て終わってしまうけれど、不味いものは語らずにはいられなくなる」って言いますよね。
「総決算ファミコンクソゲー番付」の東の大関『ドラゴンズレア』について。
『マリオ』ならクリボーと相手をするくらいの段階で、隙を突いた火炎攻撃を仕掛けるドラゴンが襲い掛かってくる。落橋のトラップをかわしながらこれと戦わなければならず、また主人公の武器であるナイフは立ち小便のような軌道を描いて近くに落下してしまう.ドラゴンはナイフを数発当てないと倒せないので、他のアクションゲームでいえばボス並の難易度だ。
ほとんどのプレイヤーはこの橋の画面を突破することができず、お堀に崩れ落ちる哀れな骸骨ばかりを繰り返し拝むことになる。確かに城を守る側からすれば、門番に最強のモンスターを配置するというのは理にかなっているが、本当にそれをするのはゲームのプレイを拒んでいるのに等しい。
RPGで、「なんて(だいたい)弱い敵から順番に出てくるんだ?」という疑問を感じたことがある人は、少なくないはずです。
ですが、実際に、そういう「お約束」を守らず、「弱い(未熟な)主人公にいきなり強い敵をぶつける」という(敵側からすれば)合理的な戦略をとると、ゲームというのは成り立たなくなるんですね。
それ、テストプレイのときに気づけよ……
とか言いたくなるのもまた、クソゲーの「味」ではありますね。
当時ゲームのヒットメーカに勤めていた、80年代を代表するとある有名ゲーム名人(ご想像におまかせします)の話では、ファミコン仲間と「クソゲーを持ち寄って見せ合おう」という遊びをした際に、全員がこの○○を持参したのだとか。誰にプレイさせてもつまらないことが保証できるという稀有なタイトル。
「スクロールロールプレイングゲーム」を標榜しているものの、内容はオーソドックスなシューティングゲーム。それだけなら「看板に偽りあり」というだけの話なのだが、凶悪なのはゲームシステムだ。
最終ステージにたどり着くためには、100個のパーツを集めなければならないのだが、これが三日三晩かかる苦行。
さて、この1985年に発売されたゲームは?
……って、これだけでわかったら、すごいですよね(たぶん、分かる人もいるんだろうな……)
答えは『頭脳戦艦ガル』(デービーソフト)。
僕はこのゲーム、遊んだことがないのですが、そんなに凄いのか……
『バルトロン』とどっちがクソゲーなんだろう……って、両方プレイしたことがある人は、たぶん、少ないだろうなあ。
発売から13年間誰もクリアできなかった(本当?)という『エルナークの財宝』とか、世界一のプレミアソフトは、オークションで1100万円で落札されたとか、ビニール製のエアバイクがついていた『トップライダー』(バリエ)とか、懐かしゲームの話っていうのは尽きないものですよね。
ファミコン芸人・フジタさんへのインタビューが巻末に収録されているのですが、そのなかで、こんな話が出てきます。
「この本でも挙がっていますが、やはり“クソゲー”呼ばわりされるソフトの『スペランカー』は、実は海外の作品が元となっているのですが、非国内版は普通に面白いバランスの取れたゲームでした。それを、自分の背丈くらいから落ちるだけで死ぬようにアレンジしたのは日本で、この特徴あるアレンジがなければ、伝説のゲームにならなかったはずです。ちなみに、海外の元のスペランカー制作者は、自国ではあまり売れず、日本のアレンジしたスペランカーの収益で、会社を存続できたと聞いています。“クソゲー”化に助けられたということですね」
僕も『スペランカー』持っていましたが、「なんでコイツ(主人公)冒険家なのに、こんな低いことから降りた(落ちた、には見えないんですよ本当に)くらいで死ぬんだ?」とか、鳥のフンに当たったくらいで、死ぬことはないだろ!とか、つい言いたくなるゲームなんですよ。
ただ、そんな虚弱な主人公はさておき、アクションゲームとしては、やればやるほどうまくなるのが実感できる、悪くない作品だったと思います。
「普通の良質アクションゲーム」だった海外版はあまり売れず、こういう「ヘンに感じるアレンジ」をした日本版が大ヒットしたというのは、テレビゲームの面白さとは何か、ということについて、考えさせられます。
それにしても、なんであんなふうに主人公を虚弱体質にしようと思ったのだろう……
現在では、すぐ怪我をするスポーツ選手が「スペランカー化している」「スペ体質」とか言われて、一般名詞化すらしつつあるんですよね。
もっとこういうクソゲー話を詳しく読みたい、知りたい、という人は、『超クソゲー』というクソゲー愛あふれる本もありますので、そちらをどうぞ。
この『ファミコンクソゲー番付』は、「クソゲー道」入門編として、手堅くまとまっているという感じです。