西国(ウェスタリス)の凄腕スパイ「黄昏」ことロイド・フォージャーのもとに、進行中のオペレーション「梟(ストリクス)」の担当者を変更するとの指令が届く。一方、アーニャが通うイーデン校では、優勝者に「星(ステラ)」が授与されるという調理実習が実施されることに。ロイドは少しでもオペレーション「梟(ストリクス)」が進展していることを示し、現状の任務を継続できるよう交渉する材料にするため、どうにかアーニャに星を獲得してもらおうと考える。そこで、ロイドは調理実習の審査員長を務める校長の好物だというフリジス地方の伝統菓子を作ることをアーニャに提案。一家は本場の味を確かめるべく、フリジス地方へ旅行に出かけるが……。
spy-family.net
注意:音が出ます!
2024年映画館での鑑賞1作目。 お正月の朝いちばんの回でしたが、観客は100人くらいでした。さすがの人気。
結局のところ、TVアニメ(今は配信で観ている人のほうが多いのかもしれないけれど)の『SPY×FAMILY』が好きで、2時間の新作「いつものSPY×FAMILY』に映画料金(2000円くらい)を払える人にとっては、「子供から高齢者まで、家族や友人と安心して観ることができるアニメ作品」だと思います。内容をよく考えてみると、けっこう人が死んではいるのですが。
劇場用オリジナルストーリー+『SPY×FAMILY』は基本的にコメディだということもあって、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のバトル系のような強敵との白熱のバトルが見せ場にはなりにくいし、『名探偵コナン』のような、「映画版で少しずつメインストーリーが進展していく」というわけでもないのです。
江口拓也さん、種崎敦美さん、早見沙織さんの声には癒されるし、それぞれのキャラクターが「らしさ」も活かされ、見せ場もつくられています。
フィオナ、フランキー、ユーリといった準メインキャラは、「とりあえず出てます」というくらいの出番なのはやや寂しくはありますが、その分、「フォージャー家メイン」できっちりつくられてはいるんですよね。
ここまで大掛かりな設定というか、本格スパイ映画みたいな味付けをしなくても良いのでは、とも思うのですが「映画」となると、それなりに「スケールの大きさ」を求められる(と制作側が判断した)面もあるのでしょう。
僕にとっての『SPY×FAMILY』の面白さって、日常の中に敏腕スパイとか殺し屋とかエスパーというような「非日常」が紛れ込んでいて、視聴者はみんな「志村、後ろ!後ろ!」みたいなバレバレの展開でも、登場人物が全く気付かない振る舞いをしているところにあるんですよね。
2023年の10月から12月に放送されていた第2シーズンは、もちろん、面白いアニメではあったのだけれど、豪華客船でのヨルさんのバトル成分が何話も続いて、「真面目なスパイや殺し屋活動に内容を振りすぎると、ちょっと飽きるな」とも思っていました。
それでも、十分面白いアニメではあったけれど、第1シーズンに比べると、ちょっとパワーダウン気味だったかな、と。
家族オペレーションも一時停止状態が続いている、というか、これいつになったらステラ集まるの?という感じではありますし。
まあ、集まらなくても、フォージャー家の日常をだらだらと描いていくのも楽しそう。
この『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』に関しては、正直、「映画じゃなくても、テレビスペシャルでも良いくらいだし、2時間のオリジナルストーリーは作るのが大変だっただろうな」というのが伝わってはくるのです。
でも、『SPY×FAMILY』の新作というだけで、それぞれのキャラクターが「らしい」行動を見せてくれるだけでも、けっこう満足できてしまうのが、今のこの作品の「勢い」というものなのでしょう。
映画だからと考えすぎて、感動の大安売りストーリーになることもなく、「それ、さすがにロイドさんもヨルさんもおかしいと思わんのかいっ!」とツッコミたくなるような平常運転を保ったのは、今のこの作品にとっては良かったかな、と。
「令和のクリスマス〜お正月の『誰かと一緒に観る映画』」としては、「最大公約数に幸福感をもたらしてくれる作品」として、すごくよくできていたと思います。
……なんか無難な感想だ……でも、「無難だが、それがいい」作品です。