琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】日々我人間2 ☆☆☆☆☆

日々我人間2

日々我人間2


Kindle版もあります。

日々我人間2 (文春e-book)

日々我人間2 (文春e-book)

内容紹介
3年ぶりの第2巻がついに発売!
週刊文春大人気連載、どーんと150回分を収録。

伊豆の山奥に独り暮らしてはや5年。季節のうつろいを楽しみ虫との戦いに苦しむ。車に乗れば事件が起こる。そして……、史上最大の台風がやってきた!

週刊文春エンタ!」掲載の番外編(ウルトラ警備隊マーチの回)、お馴染み奥村勝彦・元コミックビーム編集総長との特別対談も収録。


 桜玉吉先生の『日々我人間』の第2巻。
 あの玉吉さんが『週刊文春』で連載をはじめたときには「玉吉さんが文春?」「そもそも締切守れるのか?」と思ったものですが、連載はもう300回以上も続いており、今回は151回から300回が収録されています。3年分で一冊とは贅沢だなあ。
 玉吉さんが文春?というのも、『ファミ通』で『しあわせのかたち』を読んでいた我々の世代(いま40~50代前半くらい)が、『週刊文春』という雑誌を読んでいる主な読者層になっている、ということなのでしょうね。

 僕はとりあえず、玉吉さんが、そこそこ元気で生きている、というのがわかるだけでけっこう満足なのです。
 相変わらずの伊豆の山荘生活で、ムカデと闘いつづけているのを読むと、安心するのが半分、まだそんなに枯れる年齢でもないし、都会で普通の生活をしている玉吉さんをもう一度みて(読んで)みたいなあ、というのが半分、という感じです。
 不便な生活に対して、「この不便さが良いんだ、自然大好き!」というわけでもなく、思いつきで伊豆で生活をはじめてしまったのが、ずっと続いている。でも、今や「伊豆での不便な生活」そのものが、玉吉さんの主なネタになっている、というのも事実なんだよなあ。

 この作品で描かれている玉吉さんの日常には、僕自身がシンクロしてしまうところが多々あって、もう還暦近い玉吉さんが、いまだに美大生の頃の課題が間に合わずに留年しそう、とか、熱帯魚の水替えをしなくては、というような「過去の事実に基づいた悪夢」をみるという話を読みながら、「ああ、僕もいまだに、年に何度も『もうすぐ医師国家試験なのに、全然勉強していない。このままでは落ちる……』という悪夢をみているな」と思うのです。「朝起きられなくて、時計をみたら圧倒的遅刻!」という夢をみて、あわてて起きて時計をみてホッとする、ということもあります。
 夢判断とか解釈みたいなことができるわけではありませんが、この年になってあらためて、国家試験というのは僕にとって、すごくキツいことだったのだな、と感じるのです。その後の人生で、もっと「悪夢的」なことはあったはずなのですけど。

 あと、253回、254回に、玉吉さんの「人生で一番驚いたこと」と、「二番目に驚いたこと」が描かれているのですが、読みながら、「それ、二番目のほうが、よっぽど怖いよ!」と思ったのでした。
 今となっては、すっかり隠者のようになってしまった玉吉さんなのですが、若い頃は、モテていたし、「やる気」もあった。

 玉吉さんが人気新進漫画家としてイケイケだったころに出た『桜玉吉のかたち』という本のなかで、玉吉さんの昔からの友人が、玉吉さんをこんなふうに語っていました。

適当に遊んでいて、仕事もソツなくやって、人付き合いもよくて、誰からも嫌われることもなく…自分の知り合いのなかで、あんなにバランスが取れた人間はいなかったと思う。

「バランスがとれているひと」でも、鬱になるのか……いや、バランスが取れすぎている、というのは、逆に「危うい」のか……


fujipon.hatenablog.com
 

 別に自然派スローライフ推進派でもなんでもなくて、しょっちゅうコンビニで買い物をしているし、車の運転で、いろんな迷惑ドライバーに遭遇し、ストレスを溜めまくってもいる玉吉さん。
 この先どうするんだろうなあ、お互いに、もう若くもないのに、とか思いつつも、やっぱり、僕にとってはずっと気になる人なのです。
 若い頃の「ソツのない」玉吉さんは、まさかこんな人生になるとは予想していなかっただろうなあ、それは僕自身もそうなんだけどさ。


日々我人間 (文春e-book)

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伊豆漫玉日記【電子特典付き】 (ビームコミックス)

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しあわせのかたち 愛蔵本 1巻(1) (ビームコミックス)

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