琥珀色の戯言

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「卒業式まで死にません」

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)

卒業式まで死にません―女子高生南条あやの日記 (新潮文庫)

なんというか、魅入られたように手に取って読んでいるわけなのだが、こういう「快楽的自殺志願系」の人に対して、「命は大事なんだぞ!」と「正論」を説くことに、どのくらいの意味とか効果があるのだろう?とかちょっと無力感を感じたり、そもそも「説得」なんてする資格があるのか?とか考えてみたり。医者というのは「命至上主義」が大原則なのだが、実際に現場では、「生きていることのよろこび」と同時に「かなしみ」を目にすることもあって、それは医者がコントロールできない、あるいはするべきではない領域に属するものなので、結局仕事としては「とりあえず命を保てるように」という感じなのだ。それに、医者としては、自分が当直とかしているときに、若い自殺常習者の治療とかするのはやりきれないし、ましてや本当に死んでしまった場合にはトラウマになったりもするものだ。だからといって、「周りの人のために死ぬな」なんていうのは、本人にとっては、「いちいちそんなこと気にしていられない」だろうし。僕自身は、年を取るにつれて、子どものころの「死への恐怖」が薄れているのを最近自覚している。現実に迫ってきているものから、眼をそむけようとしているだけなのかもしれないが。

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