- 作者: 爆笑問題
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/28
- メディア: 文庫
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爆笑問題の二人と眞鍋かをりさんの司会で、毎回ゲストに有名作家を迎えるトーク番組の書籍化。
とはいえ、僕はこの「文学のススメ」というTV番組そのものは、一度も観たことはないのですけど。
この本の雰囲気に慣れるまでは、太田さんのエロオヤジのようなツッコミの数々にうんざりしていたのですけど、読みなれていくと、かえってその「ギリギリのところ」を狙った言葉の魅力がわかってきたような気がしました。しかし、眞鍋さんに対するツッコミの数々は、実社会でやったらセクハラで訴えられではありますが。
あと、田中さんの「太田光の魅力の引き出しかた」の巧さと眞鍋さんの「仕切り上手」には、けっこう感心してしまいます。
松尾スズキさんとか中村うさぎさんといった人たちがゲストなのですが、平野啓一郎さんとか花村萬月さんといった「この人たちは、どんなことを喋るんだろう?」と悩んでしまうような、「露出が少なめの作家」も何名か含まれていて、なかなか興味深いやりとりもありましたし。
なかでも、幕間に児玉清さんと爆笑問題の2人が「読書」について対談しているコーナーでは、爆笑問題の「ルーツ」が少しわかったような気分になったのです。
太田:僕が一番好きな作家は、実は宮沢賢治なんです。太宰治は、本当は、宮沢賢治のようになりたかった人ではないかなとも思っています。現実から完全に独立した作品世界をあそこまで創りあげたし、読む人を深く入り込ませるし、それに邪心のない人ですよね。
児玉:僕は、賢治のあの懸命さにたじろぐんです。これは僕が都会に生まれ育ったせいかもしれませんが、賢治のあまりの一心不乱さにちょっと辟易するところもあります。でも、太田さんが好きなのはわかる。太宰やヴォネガットなどとも、どこか共通点があるよね。
太田:宮沢賢治が凄いと思うのは、賢治がどういう人だったのか、彼の童話の中に書かれていないことなんです。子どもたちを本当に楽しませる物語を書くために、自分を消して、語り部に徹しているところに強く憧れるのです。チャップリンは、わりと自分を出すじゃないですか。でも、僕は、自分の思想などは全て物語に託して、自分を出さずに世界を構築するタイプの作家が好きなんです。でも、自分で漫才を作る時にどうしても自分を出しちゃうところがあって、そこが弱いなと思いますね、僕は。
児玉:なるほど。だいぶ爆笑問題のお二人のことがわかってきましたよ。
「自分を消して、語り部に徹する」ような人に、僕も凄く憧れるのです。
でも、実際に言葉にできるのは、いつも自分のことばかりで、なんだか、とても情けなくなることがあるのです。