- 作者: 矢作俊彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/10
- メディア: 文庫
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2004年、第17回三島由紀夫賞受賞作。
ちなみに、Wikipediaで三島由紀夫賞について調べてみると(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%B3%B6%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%A4%AB%E8%B3%9E)、この『ららら科学の子』の受賞については、
解説:「レベルが違う」「近代日本文学の傑作」と賞賛され、矢作が満場一致で受賞。「新人賞である筈の三島賞に、何故ベテランの矢作が候補に挙がるのか」との疑問も出た。受賞の記者会見で矢作は「文学に新人やベテランとの区分は、特に重要ではない」と答える。
と書かれています。
しかしこの作品、かなり「読書慣れ」していないとちょっと興味本位で読み始めても途中でリタイアしていまう人がすごく多いのではないでしょうか。ものすごく難解な文章ってわけじゃないんだけど、とにかく読んでも読んでも断片的な風景描写と舞台設定の説明ばっかりで、「で、いつになったらこの『前置き』が終わるの?」と言いたくなったくらいです。僕はこの小説が三島賞を受賞している高評価の作品であるという予備知識がありましたから頑張って読んだんですけど、そういう予備知識がなければ、絶対に途中で読むの止めてたと思う。つまらなくはないんだけど、とにかく冗長な印象。文庫で500ページ以上あるんですけど、本当に面白くなってくるまでが長い!
たぶんこの作品って、「全共闘」とか「文化大革命」という時代をリアルタイムで経験した人たちにとっては、この風景描写だけでかなりの価値があるのでしょう。でも、僕には正直ピンとこなかった。もちろん、それは仕方がないことです。終盤はものすごく盛り上がるし、自分もがんばらなくちゃなあ、と希望が湧いてくる作品ではあったんですよね。タイトルの歌が出てくる場面では、ちょっとウルウルしてしまったし。
僕にとっては、「大きいけどあんまりアンが入っていないアンパン」を食べさせられてしまったような作品でした。