- 作者: 乙一
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/04
- メディア: 文庫
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乙一さんがWEBで書かれていた『小生物語』を本にしたもの。そういえば昨日は辛酸なめ子さんの日記だったので、最近他人の日記ばかり読んでいるような気がします。「物語」を読む元気がないときってあるんですよね。
まあ、それはさておき、この『小生物語』、乙一さんという作家に対してとくに思い入れのない僕にとっても、けっこう楽しく読める本でした。どうでもいいようなことがサラッと書き流されているようで、なにげなく読んでいるうちにいつのまにか「うっちゃり」を食らっているような不思議な「日記」です。こういう発想の人じゃないと、あんな小説は書けないんだろうなあ、と感心してみたり。
あと、御本人はあまり意識されていないのかもしれませんが、けっこう「興味深い豆知識」も満載です。
「サイン本」について
なぜわざわざ本にサインなどするのかというと、サインのされた本は書店の買い取りとなって、売れずに余っても出版社へ返品されてこないのである。だから書店にサイン本を配れば配るほど、それは「売れた」ということになるそうだ。つまりサイン本というのは、小生のような貧弱な存在にとっての、地道な営業活動なのである。
今日の嬉しかったこと。
携帯電話で友人に「ミスチルのCDを聴いている」というようなメールを出そうとした。「ミスチル」という言葉を変換してみたら、一発で「Mr.Children」と表示された。あらかじめ辞書に登録してあるとは、すごいことだと思った。
(註:みんなにこのことを報告したところ、全員すでに知っていた。社会の常識だったらしい。)
↑これ、僕は全然知らなかったので、自分の携帯電話で試してみたのですが、「ミスチル」では変換できませんでした。でも、「ミス」だけ入力して変換しようとすると、選択肢のなかに、確かに「Mr.Children」が出てきます。これは、進化なのか退化なのか?(ちなみに、ドコモのN903i)
「メフィスト賞」の賞品の「ホームズ像」の由来
メフィスト賞をとると、トロフィーのかわりにホームズ像が進呈されるという。そのホームズ像、実はロンドンにあるシャーロック・ホームズ博物館で売られているものらしい。売店で数ドルで購入できるそうだ。
なぜそれがメフィスト賞の賞品になったのか?
それは、メフィスト賞が設立されたばかりのころのことである。講談社の某編集者さんと、ある作家さんが、ホームズ博物館を訪れた。
「受賞者になにも賞品がないのはさびしいですね。じゃあ、これなんかトロフィーがわりにどうですか」
その作家さんはそう言うと、売店に並んでいる小さなホームズ像をなんとなく手に取った。
それがきっかけとなり、メフィスト賞の受賞者にはホームズ像が進呈されるきまりになったという。そのホームズ像、講談社の人間がロンドンに行くたびに、ホームズ博物館でごっそり買い占めているそうだ。さらに、ホームズ像を賞品として選んだその作家さんとは、あの田中芳樹先生だという。
おお、田中芳樹先生のお名前を久々に耳にしたような気がします。しかし、ホームズ博物館の人は、この「土産物」のホームズ像を獲るために、日々研鑽している作家志望の若者がたくさんいるなんて全然知らないんでしょうね。