琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

作家の読書道3 ☆☆☆☆


[BOOKデータベースより]
人気作家18人の読書ライフ。インタビュアーはTBSテレビ「王様のブランチ」BOOKコーナーでも活躍中の瀧井朝世。

1 本棚いっぱい感動本!(柳広司―今も作品の内に息づく読書と遊びのアホンダラ高校生ごころ;畠中恵―『しゃばけ』の原動力?和・洋・ミステリー・SF・時代、“全部読み”!;道尾秀介―読書デビューは遅めでも体の芯まで沁みた文章は忘れない ほか);
2 今日は読み、明日は書く(高野秀行―「奇なるもの」の読書から未確認生物探索の旅立ちへ;宮田珠己―旅行記は観光モノより私小説系が面白い;近藤史恵―のめり込む好奇心が小説に力をそそぎ込む ほか);
3 “花より本”の読書道(阿部和重―さまざまに視座を交差させる小説的な冒険を;モブ・ノリオ―文学の面白さに気づかせてくれた作家に感謝!;坂木司―愛する小説のピンポイント料理、ネズミ、SF、冒険&ダーク ほか)

参考リンク:作家の読書道(WEB本の雑誌)

(書籍化されたものは再編集されているとはいえ)WEB上でも読めるのだから、わざわざ本を買わなくてもよさそうなものなのですが、僕は書店でこのシリーズを見かけると、ついつい購入してしまいます。
本の雑誌』がんばれ!という気持ちも、少しだけこめて。

この「作家の読書道」、「あの作家は、どんな本を読んできたのか?」という、本好き、作家好きにはたまらないテーマのインタビュー集です。
とくに今回の「3」は、道尾秀介さん、米澤穂信さん、中村航さんなど、日頃よく読んでいて、僕と年齢が近い作家が多かったので、自分の体験とシンクロするところも多く、楽しめました。

米澤穂信さんの

 乙一さんとは同い年なんです。ちょうど僕たちが中学生だった頃に山本弘のリプレイシリーズが出たんじゃないかな。テーブルトークRPGについては、1時間くらい話せます(笑)。

(中略)

 テーブルトークには苦労させられました。ストーリーを作る「マスター」を誰もやってくれなかったんです。マスターが話を作ってプレイヤーが遊ぶんですが、いつもマスターばかりやっていて、自分は1回も遊んだことがありません。それが契機というわけでもないんですけれど、中学2年生くらいから、オリジナルで小説を書きはじめ、高校にあがる頃には小説家とは限らず、将来こういうような仕事ができたらな、と思っていました。

僕も中高生の頃、『ロードス島戦記』から「テーブルトークRPG」にハマっていた時代があって、マスターをよくやらされていたので、「ああ、あの頃、米澤さんもテーブルトークやってたんだなあ」と思うと、それだけで親近感がわいてきます。そうか、乙一さんもなのか……
あの時代の「物語をつくりたい文化系の男子」は、音楽やるかテレビゲームに熱中するか、だったものなあ。

『夏と花火と私の死体』で、「人生経験」が乏しい高校生でも、こんなに面白いミステリが書けるのか!と僕を驚かせた乙一さんが、デビュー作後に書いたものがことごとくボツになり、途方にくれていたとき、宝島社の『シナリオ入門』を読みこんで、ハリウッド映画の「ミッドポイント理論」を研究したという話も印象的でした。あんなデビュー作を書いた「天才」でも、けっして順風満帆なだけの作家人生ではなかったのです。

『夏と花火と私の死体』はビギナーズラック的なもので、たまたま書けてたまたま賞をもらったわけです。でもそういう偶然が毎回、起こるわけではない。実際、デビュー後はボツになってばかりで、十六、十七歳でデビューして生き残っていく人はたぶん少ないし、自分もおそらく消えていくだろうと思っていました。でも、「ミッドポイント」理論を読んで、この技術を体得すれば生き残れるかもしれない、と思ったんです。それからは短編を書く時だけじゃなく、エッセイを書く時も、あとがきを書く時も、「ミッドポイント」理論を意識してます。小説よりも、原稿用紙数枚程度の文章を構成する時に威力を発揮してるような気がします。

本好きというのは、「その時に、どんな本を読んでいたのか?」で、自分の人生を語れる人種なのかもしれません。
逆に、その本の表紙を見かけただけで、それを読んでいた時代の自分のことを思い出す場合もあります。

とくに「作家」にとっては、「読んできた本を語ること」は、「作家としてのこれまでの道のりを語ること」なのでしょうね。

とはいえ、作家にもいろんな本の読みかたがあるようです。
森博嗣さんは、以前、雑誌のインタビューで、こんな話をされていました。

「基本的に再読はしないので読んだ本はとっておかないんです。だから、本棚もありません。雑誌には数十冊ほど目を通しますが、小説は年に3、4冊しか読めないんですよ。一冊読むのに2〜3週間はかかりますから、書くのと同じくらいの時間がかかっていることになります」

 一度しか読まない代わりに、どのページに何が書いてあるかということが思い出せるくらい丹念に読む。繰り返し読むことはないのに、1日2時間で20ページほどしか進まないのだそうだ。

「だって、書いてある文章から世界を頭の中で構築しなくちゃいけないわけですから、すごく大変じゃないですか。むしろ、みんながどうして小説を早く読めるのかわからないですよ。僕は一度読んだストーリーは絶対忘れないし、自分の経験と同じくらい鮮明に覚えています。その点、頭の中にあることを書き留めるのは楽ですよね。小説を書くということは僕にとって頭の中の映像をメモするような感覚ですから」

森先生の例は、あまりにも極端かもしれませんが、読書にも「王道」はないし、多く読めばいいってことじゃないのも事実なのでしょう。
最近、昨日読んだ本の内容も忘れがちな自分を反省しつつ。

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