琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

アナと雪の女王 ☆☆☆☆


あらすじ: エルサとアナは美しき王家の姉妹。しかし、触ったものを凍らせてしまう秘められた力を持つ姉エルサが、真夏の王国を冬の世界に変化させてしまった。行方不明になったエルサと王国を何とかすべく、妹のアナは山男のクリストフ、トナカイのスヴェン、夏に憧れる雪だるまのオラフと一緒に山の奥深くへと入っていく。

参考リンク:映画『アナと雪の女王』公式サイト


2014年13本目の劇場での鑑賞作品。
観た映画館が、月曜日は全作品、全上映時間1100円というキャンペーンをやっていたため、夕食時の観客は30人くらいと、けっこうにぎわっていました。


この映画を未見の僕の5歳の息子でさえ、最近は事あるごとに「れいごーー、れいごおおおーーー」とたぶん意味もわからないまま歌っているくらい大ヒットしているこの作品。ようやく観た、という感じです。
息子と一緒に行こうと思っていたのですが、あの歌はけっこう歌っているくせに「なんか怖そうだから観たくない!」って言うんですよね。
まあ、あの目の大きいキャラクターに違和感があるっていうのは、わからなくもない。
僕もこの作品が海外で大ヒットしていると聞いても、「この絵柄は日本ではあまりウケないのではないかな」と思っていましたし。


上映開始時間の関係もあり、日本語吹替版を鑑賞。
残念ながら(?)「れいごーー」じゃなくて、「ありのーままのー」のほうを観ることになりました。
というか、松たか子ファンとしては、松さんの歌の上手さとミュージカルでの経験があらためて役に立って祝着至極、という感じではあります。
お父さんの松本幸四郎さんと『ラ・マンチャの男』で共演していたのを、博多座で観たんだよなあ、もうだいぶ昔の話になりますが。


その松さんのエルザに負けない歌の存在感を、アナ役の神田沙也加さんもみせていて、「ああ、日本吹替版で良かったな」と思うのと同時に、「これはDVDが出たら、オリジナルの英語版も観てみよう」と。
日本語版に不満があったわけではなく、日本語版が素晴らしかったので、オリジナルのほうも確かめてみたい、そんな感じなのです。


なかでも、あの「れいごー」の場面、実は、映画館での長めの予告編でもさんざん流されていて(ときには1曲まるごと)、もう食傷気味だな、なんて思っていたのですが、実際に物語のなかで、あの曲とともにエルザが壮大な氷の城を築いていく場面は、「おお、カタルシスを感じる!」という気分になりました。
松さんの歌声も、映像もまさに「圧巻」で、開きなおって自分の力を解放しまくっているエルザの姿には、なんか「良かったね!」と言ってあげたくなる雰囲気があったのです。


ほんと、曲と歌、映像に関しては、言うことなし、の作品です。


ただ、僕としては、この作品の「御都合主義すぎるところ」が、ちょっと引っかかってしまったんですよね。
このままいったら、あの2人の関係はどうなるんだろう?と思っていたところで、いきなりそのうちのひとりがレッドカードを喰らうというか退場処分になるというか、「いやまあ、現実というのはそういうものなのかもしれないけれど、脚本家ラクしすぎなんじゃないの?」と言いたくもなるんですよね。


 長年「自分の能力を隠し続けること」に疲れ果て、「ありのままの姿」を見せて生きることを選んだはずのエルザが、「愛情」に目覚め、現実と妥協し、自らの力をコントロールする術を身につけてしまったのは、たしかに「成長」とか「成熟」ではあるのでしょう。
 でもさ、それは結局「自分を抑えて、制御しながら生きていくという選択」でもあるんですよね。
 あの「れいごー」の場面での解放感をみてしまった観客のひとりとしては、「アタシも昔はワルだったんだよね……」と遠い目をするエルザ、みたいなのより、雪の女王として、世界を氷に閉ざしても自分の道を突き進んで欲しくもあったのですけど。
 せめて、物語の中では。


 結局のところ「優等生的な生きかたを推奨する映画」ではありますよね。
 もっとも、エルザが破壊神みたいになってしまうようなディズニー映画はありえないのは事実ですし、これはストーリーの細かいところにこだわるよりも、良質の歌と曲に包まれて時間を過ごす「ミュージカル映画」だと割り切ってしまえば良いんでしょうけどね。
 観終えて、僕の周囲の観客の反応をうかがっていると、ほとんどの人は「観てよかった〜」と満足そうでしたし。


 「老若男女のすべてが最大公約数的に楽しめる、良質のミュージカルアニメ映画」ということで、素晴らしい作品なのです。
 アニメーションでの雪や氷の表現とか、すごすぎて呼吸をするのも忘れてしまうくらいです。
 もし「子ども向けっぽいし」ということで観るのを躊躇っておられる方がいれば、そんなことは気にせず、観てみることをおすすめします。

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