- 作者: 花霞和彦
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 2015/07/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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Kindle版もあります。
- 作者: 花霞和彦
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内容紹介
見どころ×コストパフォーマンス
行ってガッカリしないためのリアルガイド
モン・サン=ミシェル、グランドキャニオン、ストーンヘンジ、ガラパゴス諸島、アマルフィ、セーヌ河岸、マチュピチュ、オペラハウス、ナスカの地上絵、アンコール……
高いお金をはたいて、長時間の移動に耐えて、やっとたどり着いたら「え? たったこれだけ!?」とガッカリした経験はないでしょうか?
いまや世界に1000件以上もある世界遺産。
限られたお金と時間の中で選ばなくてはいけません。
どうせ行くなら、心から満足したいものです。
本当に行く価値があるのか、値段と時間と労力に見合うのか、ガイドブックの美辞麗句に惑わされず、しっかり検討しましょう。
数多くの世界遺産に足を運んだ著者が、コストや体力度などのデータとともに、20の世界遺産を徹底検証。
「死ぬまでに行くべきベスト5」に加えて、「世界遺産じゃないけれど、オススメの名所5」もあわせて紹介。
!!!世界遺産は、素晴らしい観光地にあらず!!!
※本書の内容は個人の感想であり、感動には個人差があります。
「世界遺産」って、世界に1000件以上もあるんですね。
もし、「一日一世界遺産」にチャレンジしたら、2年半くらいかかってしまうのか……
今年(2015年)、日本からは、長崎県の端島(軍艦島)などの23施設が「明治日本の産業革命遺産」として新たに世界遺産に登録されることになったのですが、そこで働いていた朝鮮人労働者に関する記述などをめぐって、韓国との政治的な綱引きが行われていたのも記憶に新しいところです。
「世界遺産」は、影響力が大きくなってしまったがために、各国、各自治体からの登録希望がたくさんあり、実際に増え続けているのですが、著者は、「観光地としての世界遺産の現実」について、こう述べています。
2014年、世界遺産リストはとうとう1000件を超えました。ここまで来ると、正直なところ、まったくと言っていいほど無名の場所だらけです。これまでメジャーな観光地を中心に200件近くの世界遺産を訪ねましたが、その経験をもとに算出すると、観光向きの(大半の観光客が納得するような)世界遺産は全体の10%未満ではないかと推測されます。
どのあたりを「納得」のラインにするかによっても異なってくると思うのです。
日本人としては、日本の「世界遺産」を贔屓目に見てしまうんですが、少ない休みに、長時間、飛行機や列車に乗って、高い旅費をかけても「ここに来てよかった!」と言えるような観光地って、そうそうあるもんじゃないですよね。
「明治日本の産業革命遺産」って、歴史的・文化的な価値は大きいですし、歴史マニアにはたまらないだろうけど(あと、軍艦島も廃墟フリークには喜ばれるはず)、そのために訪日する価値があるか?と問われると、ちょっとつらいかもしれないな、と。
いまの日本の世界遺産のなかで、万人向けと言えそうなのは、京都・奈良、広島の原爆ドーム、屋久島、あとは富士山、くらいかも……
著者は、実際に行った世界遺産に「ダメ出し」をしています。
ただし、「論外!」みたいなものは一部で、「けっこう体力的にキツいので体調に気をつけたほうがいい」とか、「暑い時期、寒い時期は避けたほうがいい」というような、「条件付きダメ出し」をしているところもあり、採りあげられている世界遺産に行く予定があれば、確認しておいて損はなさそうです。
僕が行ったことがある世界遺産も、いくつか収録されています。
グランドキャニオン観光では夕日観賞と朝日観賞が大人気なようで、夕暮れになると、少しでもいい場所を確保しようと、大勢の来園者がやってきます。赤く染まった大峡谷の向こうに少しずつ沈む夕日を見つめながら涙する女子も、チラホラといました。
ワタクシといえば、最初に目を開けたときは、もちろん感動したものの、どこを見ても同じような絶壁だらけの景観に、ものの5分で飽きました。どんなに雄大でも、どれだけの歳月が流れていたとしても、単調な大自然は、すぐにお腹いっぱいになってしまうようです。翌朝には早起きして、夕日とは別のスポットで朝日観賞もできるという、太陽好きにはたまらないツアーでしたが、ほとんどの参加者が「岩壁を見るのはもう十分」と話していました。
僕もグランドキャニオンには実際に行ったことがあるので、これはよくわかります。
どんな絶景でも、5分、せいぜい15分くらい観ていれば、飽きるというか、手持ち無沙汰な感じになってしまうんですよね。
まあでも、観光というか、「絶景を体験する」というのは、その一瞬の驚きに集約されている、とも言えますし、結局のところ、実物を観たことがないと「5分で飽きちゃったよ」なんて訳知り顔で語ることもできないわけです。
「美味しいものの話は、『美味しかった』で終わってしまうけれど、不味いものの話は盛り上がる」と言われていますし。
グランドキャニオンは、僕としては、「一度は観ておいて損はない世界遺産」だと思います。
……一度で十分、とも思うけど。
ほんと、「モン・サン=ミシェルの有名店のオムレツは高いし味が無い」って言われても、そういうものなのだろうな、とわかっていても、やっぱり、それを自分で体験してみるのが「旅」ってものではあるのですよね。
この本には、ガラパゴス諸島に行っても、ガラパゴスゾウガメは飼育センターでみられるだけで、野生のものは滅多に遭遇できない、とか、アマルフィは熱海みたいなもの、とか、ギリシャのアクロポリスは修復工事がずっと続いていて、「遺跡っぽく見えない」とか、旅行ガイドには書かれていないような「裏情報」満載です。
ほんと、これを読んでいると、「みんなが行く人気世界遺産」なんて俗っぽいとは思うけれど、人が多く集るところには、それだけの理由があるのだな、と考えずにはいられません。
あの有名な「ナスカの地上絵」を観にいったときの話。
地上絵は、地面を浅く掘って描かれています。なので、どんなに目を凝らして地表を見つめても、地上絵を見つけることは容易ではありません。「あれがハチドリです」と指差され、地表を探しても、ハチドリのようなそうでないような、まったく確信が持てません。なんとか肉眼で地上絵をとらえても、気流で機体が揺れるたびに、また見失ってしまいます。そうこうしている間に、今度は反対側に機体が傾き、副操縦士が叫んで指差します。が、またも肉眼では確認できないまま、セスナ機は高速で移動してゆくのです。
30分の飛行で20前後の地上絵を見られるはずなのですが、肉眼で探し出すことの難しさに面喰らったワタクシはデジカメに頼り、とにかく指差されたほうを撮りまくりました。右に傾いてバシャバシャ、左に傾いてバシャバシャ。
すると、いきなり副操縦士がビニール袋を差し出すので、どうしたのかと振り返ってみると、後方に座っていたカップルが、あまりにアクロバティックな飛行にリバース寸前。この回転っぷりなら当然ともいえますが、お金も手間も時間もかけてここまでやって来たのに、酔ってなんかいられません。幸いワタクシは最後まで酔いませんでしたが、他の客は地上絵どころじゃなかったようです(ちなみにカップルはそろってビニール袋を活用していました)。
『ゼビウス』直撃世代としては、生きているあいだに「ナスカの地上絵」をこの目で観てみたいものだ、と思っていましたが、これを読んで、その意欲はかなり減退してしまいました。
乗り物酔い、しやすいしなあ……
4人乗りのセスナ機で地上を見せるために、かなり機体を傾けてくれるそうなんですよ。
いやしかしそれは、「地上絵はいいから、降ろしてくれ……」と力なく呟く己の姿が目に浮かぶ……
しかも、「よく見えない」っていうのだから。
デジカメで撮った写真で確認するだけなら、写真集とかで観ても同じなのでは……
こうして読んでみると、けっこう、役に立つ本なのかもしれないな、という気がしてきました。
というか、「旅で酷い目にあった話」というのは、犯罪に巻き込まれたとか遭難して命の危険にさらされた、とかいうのでなければ、「楽しかった話」より、ずっと面白いんですよね、困ったことに。
これを読んでいると、著者には、むしろ「がっかり世界遺産」を極めて「ワースト10」とかを教えてくれないかな、という黒い期待をしてしまいます。
でも、もうやっている人がいそうな気もするな……
「ベストの旅先」を知りたい方は、この新書がおすすめです。
〈オールカラー版〉一生に一度は行きたい 世界の旅先ベスト25 (光文社新書)
- 作者: 多賀秀行
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/06/17
- メディア: 新書
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- 発売日: 2015/07/24
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