- 作者: 市川憂人
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/10/09
- メディア: 単行本
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Kindle版もあります。
- 作者: 市川憂人
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/10/11
- メディア: Kindle版
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特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー六人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。 選考委員絶賛、精緻に描かれた本格ミステリ。
この本、昨年の秋に上梓され、さまざまなミステリランキングにも入っていたので、ずっと気になってはいたんですよね。
オビには、
21世紀の『そして誰もいなくなった』登場!
選考委員絶賛、第26回鮎川哲也賞受賞作
と書かれていて、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』が大好きな僕としては、ずっと読んでみたいと思っていたんですよね。
書店で何度か手にとってはみたのですが、「でも、2000円オーバーっていうのは、ちょっと高いな……」とか、登場人物が外国人って設定は、なんか読みづらいな……とか、架空の技術が存在する世界、という設定は、ちょっと感情移入しにくいというか、いくらでも「ズル」ができそうだしな……と思い、「次に機会があったら読むリスト」の上のほうで、ずっと動かず、という状況だったのです。
今回、Kindle版がセールで安くなっていたので購入して読んでみたのですが、「横文字の名前」や「架空の技術が存在するという設定」に関していえば、読む前に不安視していたほどは、気になりませんでした。
明らかにアメリカがモデルの国が「U国」になっていたり、日本が「J国」になっていたりするのは、いちおう架空の世界だから、ということなのでしょうけど、正直、そこまでしなくても、とは思ったんですけどね。
いま、この時代に「ミステリ」を世に問うのは難しいところがあります。
携帯電話やインターネットのおかげで、そう簡単に「密室」はつくれなくなったし、監視カメラやNシステムで、すぐ「足がついてしまう」時代です。
この作品は、1980年代のアメリカにものすごく似た「U国」が舞台ということで、「コンピュータも、まだごく初期の融通がまったくきかないものがある程度」なんですよね。
亡くなった女性と、この事件の犯人と思われる、ある人物との交流がところどころに挿入されているのですが、こういうのを読むと「出たな叙述トリック!」と身構えてしまうのが、中途半端にミステリ慣れしてしまった人間の難点です。
「21世紀の『そして誰もいなくなった』」と書かれているため、「そのつもり」で、船内の人々やその亡くなり方を読んでいったのですが、うーむ、わからん、誰があの犯人の役割なんだ……
『そして誰もいなくなった』にとらわれすぎると、この作品を読み解くことは、かえって難しくなるような気がします。
僕のなかでは、叙述トリックとの合わせ技で、乗員のひとりが犯人だろうと推測していましたが、見事に外れてしまいました。
船内には、6名の遺体があって、鑑識は「全員、他殺で間違いない」とのこと。
外部からの犯行にしても、現場は閉ざされた雪山。
正直、「よくこんな複雑なトリックを思いついたなあ」というのと「都合のいい偶然起こりすぎ!」というのが、入り乱れる作品ではありました。
架空の世界・技術が舞台では、リアリティがない、というのを危惧していたのですが、フィクションだからこそ、刺激される好奇心や遊び心、みたいなものもありますよね。
『そして誰もいなくなった』の状況を他のシチュエーションでつくるとしたら、こういう方法があるんじゃないか、という別解として、僕はけっこう楽しめました。
- 作者: アガサ・クリスティー,青木久惠
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
- メディア: Kindle版
- 購入: 1人
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- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/09/20
- メディア: Kindle版
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