Kindle版もあります。
この1冊で、100冊分の重要スキルが身につく
「文章の書き方・大事な順」ランキング、ベスト40! !1位~7位のルールで、「文章力の向上」を実感できる。
20位まで身につければ、「文章がうまい人」になれる。
40位まで身につければ、「プロ級の書く力」が手に入る。◆ ◆ ◆
第1位 まずはとにかく、「文章をシンプルに」してみよう
・メール・チャットは、「60文字以内」で必ず文を終わらせる
・論述試験・レポート・資料作成に効果絶大!
速く明快に書くための「ワンセンテンス・ワンメッセージ」 ほか池上彰さん、メンタリストDaiGoさん、外山滋比古さん、野口悠紀雄さん等……
53名がこのコツを「大事! 」と認定第2位 伝わる文章には「型」がある
・完成度の高い提案書・報告書・顛末書がサクッと書ける「逆三角形型」フォーマット
・ブログ・SNS・ネット記事に「納得と共感」を生み出す技術――「PREP法」
・「書くのが遅い」「書き出しで悩む」「文章の流れが悪い」
「『……で、結局何が言いたいの』?と言われる」……文章にまつわる悩みも、いっきに解決! ほか井上ひさしさん、梅田悟志さん、山口拓朗さん等……
38名がこのコツを「大事! 」と認定……以下、40位までの「ポイント」と「実践のコツ」を一挙公開!
これまでに世に出て、それなりの支持を受けていた「文章術」の本100冊を分析し、「もっとも多くの本で取り上げられている『コツ』は何か?」という基準でランキングしたもの。
ありそうでなかった、文章術のメタ解析本、とても言うべき内容なのです。
100冊読むのも、書かれていることを分類するのも大変な作業だっただろうと思うのですが、やっぱり「説得力」がありますね。
紹介されている、上位7つのポイントを意識するだけでも、けっこう効果が期待できるのではなかろうか。
ただし、コンパクトにまとめてあるだけに、「重要なことが何であるかはわかるけれど、これを読んだだけで実践するのは、ちょっと難しい」ような感じもします。
「マンガで読む名作文学」みたいというか、「あらすじはわかるけれど、これだけで、文章術をマスターできるというわけではない」のです。
本当に「伝わる文章術」を身につけようとするのであれば、紹介されている文章術の本のなかで、自分に向いていそうなものを2~3冊くらいは通読してみたほうがよさそう。
「文章術の本」って、みんな同じようなことが書かれているような印象があったのです。
でも、この本を読んでみると、それぞれの個性があるし、時代によっての変化もけっこうあるんですよね。
1位 文章はシンプルに
Point
1.余計な言葉はとにかく削って、簡潔に2.1文の長さの目安は、「60文字」以内
3.ワンセンテンス・ワンメッセージ
映えある1位は、「文章はシンプルに」です。
「不要な言葉を省く」「簡潔に書く」「1文を短くする」「贅肉を落とす」「枝葉を切り取り幹だけを残す」など表現に違いはあるものの、「シンプルに書く」ことの大切さは、100冊中53冊に記されていました。
では、「シンプルに書く」とはどういうことでしょうか。53個が伝えている内容を1文で要約すると、こうなります。「なくても意味が通じる言葉を削る」
この「シンプルに書く」が1位というのは「なるほど」という結果なのですが、それでも、100冊中53冊ですから、半分ちょっとの割合なのです。
「文章術」の本って、本当にたくさん出ていて、僕も好きでけっこう読んでいるつもりなのですが、僕が感じている以上に、みんな違うことを書いているし、ときには、正反対の内容もあるのです。
そもそも、ビジネス文書と、エッセイ、小説の文章を、同じ「文章術」で語っても良いのか、とも思いますし。
文章のプロは、例外なく「1文を短くする」ことの大切さを説いています。では、「短く」とは、具体的に「何文字」を示すのでしょうか。
53個の中には、「文字数の目安」を提示しているものもありました。その一部を紹介します。・『「分かりやすい文章」の技術』(藤沢晃治)……平均40文字以下
・『ちびまる子ちゃんの作文教室』(貝田桃子)……40~60文字
・『仕事の「5力」』(白潟敏朗)……50文字
・『文章の書き方』(辰濃和男)……30~35文字
・『最新版 大学生のためのレポート・論文術』(小笠原喜康)……30文字以内(長くても40文字前後)
・『博報堂スピーチライターが教える 5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(ひさたよしあき)……40文字
精査した結果、1文の長さは「60文字以内」が好ましいことがわかりました。また、「80文字だと長すぎる」ことも、多くの書籍に共通する意見でした。
劇作家の井上ひさしさんが「分けて分けて分けて、単純にして、それをつないでいけばいいんです。それが基本です」(『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』/新潮社)と述べていたように、短い文を積み重ねるのが文章の基本です。「1文」が短くなれば、「文章」もおのずとシンプルになります。
こうして、さまざまな人が書いていることを「統計」としてみると、やはり説得力が違うのです。
僕もつい、長い文章を書いてしまって、それが「個性」なのだと自分に言い訳しがちなのですが、読み側からすれば、読みにくいだけですよね……
そして、読んでもらうための文章術も、時代によって、あるいは、読まれるデバイス(道具)によって変わってきているのです。ディスプレイ、とくにスマートフォンで読む人が多くなっているので、「一画面におさまらない=長い」と見なされることもあります。
僕などは「長い、三行で」と言われ続けて、10年以上。自分の感覚では、「これで、長いの?」なのですが、僕も読む側だったら、けっこう飛ばし読みするものなあ。
昭和の文章術の本と令和の文章術の本を読み比べていくと、共通点もあれば、逆にまったく違う点が重視されているものもあることがわかります。
文章術における時代の流れを読み取ることもできます。本書で取り上げた本で、もっとも歴史があるのは、谷崎潤一郎の『文章讀本』です。初版は昭和9年(1934年)。90年近く前に書かれました。わすがに私たちも生まれていません(笑)。
もっとも新しいのは、令和2年(2020年)に出された書籍です。
時代を超えて多くの書籍に共通しているのは「無駄な文章を削除する」ことです。本書でも紹介してきました。逆に異なってきるのは、「明確さ」についてです。
最新の本では、「明確に書く」とされている一方、歴史ある本では、「あいまいさ」が重視されていました。
谷崎潤一郎は、『文章讀本』で次のように書いています。
「文章のコツは『言葉や文字で表現できることと出来ないこととの限界を知り、その限界内に止まること」だと申したのを、思ひ出して頂きたい。(略)多少意味のぼんやりした言葉を使つて、あとを讀者の想像や理解に委ねた方が、賢明だと云ふことになります」
読み手に委ねると書いています。これは、谷崎が小説の書き手であり、実用書の書き方とは一線を画すからかもしれません。
一方で、日本は「忖度」や「心を汲み取る」文化があり、「行間を読ませること」をよしとする考え方が根底にあるようにも感じます。
文章について幅広く学びたい場合は、古いものから新しいものまで読んでいくと、日本人の文化、表現方法の変遷を見ることができます。読みやすい文章のテクニックは時代によって変化もしています。今はブログの文章を読む際、スマホを利用している人が多いです。スマホは画面が小さいので、改行を多くしたほうが読みやすい、と最近の文章術の本は買いています。
今の時代に合った文章を書きたい場合は、新しい文章術の本から読んでいくといいでしょう。
有名な作家によって書かれた、歴史に遺っている文章術の本も「100冊のなかの1冊」として扱っており、「いま(2021年)の時代に合う文章術を重視している」印象を受けました。
「最初の一冊」というよりは、「いろんな文章術の本を読んできたけれど、何が大事なのか、かえって混乱してしまった」という人に、より有益な本だと思います。
そして、いちばん大事なのは、「本当に何か書きたい、伝えたいことがあるのか」これに尽きるのではないかなあ。