琥珀色の戯言

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アウトレイジ ☆☆☆☆


映画『アウトレイジ』公式サイト

あらすじ: 関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。

2010年11本目の劇場鑑賞作品。

6月20日、日曜日のレイトショーで鑑賞。観客は15人くらいでした。
僕はギャング映画やヤクザ映画は趣味じゃないというかむしろ嫌いなのですが、この『アウトレイジ』はなぜか観たくなったんですよね。

観終えてしばらく、この映画のテーマとかについて考えてみようとしたんですが、結局何も浮かんできませんでした。
「面白い」って言ってしまうのは良心が痛むのだけれど、「なんてとんでもない映画なんだ」と唖然としつつも目が離せない、そんな映画なんですよ。

ここで描かれているのは、圧倒的な暴力の数々。
普通、テレビドラマや映画の中で、銃を撃つときって、ちょっと「タメ」というか、「間」があるじゃないですか。観客が「本当に撃つのか?やっぱり撃つのをやめたり、誰か助けに来たりしないのか?」ってドキドキするような。
この『アウトレイジ』では、そういう「ドラマらしい間合い」がありません。
えっ、そんなにあっさり撃っちゃうの?って拍子抜けしてしまうくらいです。
あまりに事もなげに人が死んだり、傷つけられたりすると、むしろ可笑しくなってしまって、ちょっと自己嫌悪に陥ったり。

本谷有希子さんが『ハート・ロッカー』の感想で、「なんのかんの言っても、いつ爆弾が爆発するかわかっている二回目は、観ても面白くない」というようなことを仰っていましたし、登場人部の誰がどうなる、というような話はこれから観る人の楽しみを減らすだけなので書きませんが、「登場人物、すべて悪人」という看板に偽りのない作品だし、どうせ悪人どうしだから、心が痛まずに観られる面もあります。

暴力描写が苦手な人や、感動の涙を流したい人、映画に「娯楽」以外の「なにか人生の役に立つこと」を望んでいる人には、まったくオススメできません。
僕も、自分の妻がこれを嬉々として観ていたら、かなり引くと思います。

でも、この「虚無」すら訴えようとしない「容赦なさ」は、すごく快感なんだよなあ。
こんな映画を獲れるのは北野武監督だからなのだろうし、こんな「涙も感動もテーマもない、他人が血を流すのを眺めるだけの映画」を撮ることが許されるのも、北野武監督だからなのでしょう。
この映画をカンヌのコンペ部門に出したのって、賞を狙ったというより、北野監督の「ギャグ」だったのではないだろうか……

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