琥珀色の戯言

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【映画感想】レディ・プレイヤー1 ☆☆☆☆☆

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あらすじ
2045年、人類は思い浮かんだ夢が実現するVRワールド「オアシス」で生活していた。ある日、オアシスの創設者の遺言が発表される。その内容は、オアシスの三つの謎を解いた者に全財産の56兆円とこの世界を与えるというものだった。これを受けて、全世界を巻き込む争奪戦が起こり……。


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2018年、映画館での12作目。
観客は15人くらいでした。


映画館で予告編を観たときには、ありがちな「バーチャルリアリティに人々が溺れている世界で、『目覚めた」主人公たちが、現実の素晴らしさを見つけ出す」っていう、説教くさい内容なんだろうな、と思ったんですよ。
個人的には、「DVDが出たら観てもいいかなリスト」に入れておいたのです。


正直なところ、この映画、メインストーリーは、そんなに特記すべきようなものではありません。
ありがちな宝探しゲームというか、「あれだけの人が挑戦して、その程度の『謎』が長期間解けないものなのかね?」と言いたくはなるのです。ネットの集合知なめんな、みたいな。
あと、オンラインのバーチャル世界「オアシス」でのゲームのルールがいまひとつよくわからないところがあって、あれ、これって、現実だっけ、オアシスだっけ?と迷ってしまう場面がけっこうありました。これに関しては、制作側がそういう混乱を狙っていた、という可能性もあるんですが。


今回は、3D吹き替え版を観賞したのですけど、この映画、もう30年以上もゲーマー、サブカルチャー好きとして生きてきた僕にとっては、あちこちに散りばめられている小ネタがとにかく楽しくてしょうがなかったのです。
日本のアニメや特撮もかなり登場してくるので、僕はもうニヤニヤしっぱなしでした。
スタンリー・キューブリックから、ジェームズ・キャメロンまで。
ATARI 2600の話が出てきたときには、まさか、スピルバーグ自身が、自らの代表作であり、鳴りもの入りでゲーム化されたにもかかわらず、あまりにもゲームのデキが悪くて売れず「アタリショック」の象徴とまで言われた、あの映画のゲームに言及するのか?とワクワクしたのですが、さて、その結果はいかに!


fujipon.hatenadiary.com
(すみません、これは(消去法的な意味で)ややネタバレです)


この映画の冒頭のレースシーンをみながら、僕は考えていたのです。
僕が中学生くらいのとき『TRON』を観て、「これが進化していったら、将来の映画の表現って、どうなっていくのだろう……」と思っていたんですよね。
あの頃、僕が「いつかこんな映像が観られる日が来るのではないか」と憧れていた未来に、この『レディ・プレイヤー1』で、ようやくたどり着けた気がするんですよ。


僕は、『マトリックス』で、「あんな汗と粘膜びちょびちょの原始的な生活を送る『リアル』よりは、機械に脳みそ吸われながら、楽しいバーチャルな夢をみていたほうがよっぽどマシじゃないのか?と感じました。
この映画をみていると、そんな『マトリックス』の時代の「現実至上主義」は、多くの人の実感と離れてしまっているのが伝わってきます。
たしかに、現実(リアル)は大事だけれど、バーチャルな別世界も、それと同じくらいの「生きる場所」であり、もう、「逃避先」というより、「もうひとつの人生」あるいは「現実と地続きのもの」になっているし、誰もそれを否定できなくなってきている。


観終えて、僕は「みんなに観てもらえる映画や遊んでもらえるゲームを作った人って、幸せだよなあ」って、考えずにはいられませんでした。
人の命には限りがあるのだけれど、そのゲームをプレイしてくれる人がいるかぎり、その人がつくった「世界」は生きつづけている。
そして、ゲームで遊んでいる側にとっても、創造主は生きつづけている。


こんなふうに多くの人がそれぞれ「主役」になれる時代は、テレビゲーム以前にはなかったし、われわれは、こんなに面白いものに触れてきたじゃないか。


ニュー・シネマ・パラダイス』のラスト、さまざまな名作のキスシーンが流れるところは、名場面として語り継がれています。
僕にとっては、この『レディ・プレイヤー1』のほうが、あの場面よりも、ずっと僕の「生きてきた記憶の走馬灯」であり、「名場面ばかり」なんですよ。
いろいろあったけれど、こんなにたくさんの「面白いもの」に囲まれて生きてきた僕の人生は、そんなに悪いものではなかった。
いや、なんか遺言みたいになってますけど、僕はまだ死にませんよ、たぶん。
スピルバーグ監督も、そう簡単に死んでしまうつもりではないと思うけれど、なんというか、この映画は、エンターテインメントの監督として、そして、クリエイターとして「ひとつの集大成として、自分を褒めてあげた」作品なのかな、と感じました。


こういう作品に、こんなにお金をかけられて、多くの人が映画館に足を運ぶ時代になったということそのものが、けっこう感動もしたのです。
いやほんと、30年前、あの宮﨑勤事件の頃の「オタク」の肩身の狭さから、思えば遠くに来たものだ。


正直、アニメ、特撮、映画ファンのほうが、楽しめる映画だと思います。
そういう「予備知識」がなかったり、リアルタイムで『ガンダム』とかを観たことがない人にとっては、☆3つか4つ、といったところかもしれません。
でも、僕はこの映画、大好きです。とりあえず、これを見届けられる時代まで、生きていてよかった。


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