僕のネット歴というのは、今からちょうど4年くらい前にさかのぼる。それまでは、パソコンは持っていたのだが、あくまでも仕事用のものだった。
ワープロができれば、御の字だったのだ。
ネットワークに繋ぐ必要性を感じていなかったし(だいたい、その頃のネットの用途というのは、イメージ的にはパソコン通信の延長で、マニアたちが夜な夜なフォーラムに入り浸る、というようなものだったから。もっとも、パソコン通信自体も、大昔に「ログイン」の後ろのほうの寺島さんという人のマンガで読んで、マニアな世界だなあ、と思っていたくらいだ。あとは、アダルト用途くらいのものか。
世間知らずで、機械に疎かった僕にとっては、思い立ってNECのラヴィ(当時は25万くらいした。Pen2で、333MHz、当時としては、かなりハイスペックのパソコンだった。重かったけど)を買うことにした。
それまで使っていたMACでは、もうゲームができなくなってきたからだ。
もちろん、仕事にも使おうと思っていた。
店員にも勧められて(「いまどきパソコンがあるのにネットやらないなんてもったいないですよ」とかなんとか言われた)、ISDN用のTA(ターミナルアダプタ)も一緒に購入。幸運なことに、当時僕が住んでいた官舎には前任者が引いていたISDN回線が解約されずに残っていたのだ。もっとも、僕がそれを引継ぎで聞いたときには、「ISDNって、アメリカの核戦略か何かかな?」と内心思っていたのだけれど。相手に聞き返さなくて良かった。
それで、説明書を読んで、一生懸命にTA経由でネットに接続してみた。
その日は繋がらずに、なぜか翌日同じようにつなげてみたらあっさりプロバイダーのホームページが表示された。今日は機嫌がいいんだな、って感じだった。
そして、何時間かは、オススメのページとか、ゲームのサイトとかを検索して読んだりしたのだが、正直、ネットというものに魅力は感じなかった。
玉石混合、とはいうけれど、石ばっかりのような気がした。
使われている言葉も独特で、とっつきにくかったし。
もちろん、いきなり見ず知らずの誰かと接触する気にもなれなかった。
当時は、ネットには面白いものがゴロゴロしている、と思い込んでいたのだけれど「面白いサイトを探す」には、それなりの技術と経験が必要なのだ。
少なくとも、マウスを漫然とクリックしているだけでは、面白くもなんともない。
たまに彼女から来るメールを読むくらいが、僕のパソコンの仕事だった。
今から考えると信じられない話なのだが、「先週送ったメール読んだ?」なんて彼女から電話がかかってくるようなこともあったくらいだ。
「インターネットなんて、あんまり面白くない」
それが、僕のインターネットに対する正直な第一印象だった。
※話は全然進んでないけど、眠いのと誰も読んでないと思うので、序章(2)に続きます。