琥珀色の戯言

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孤独と不安のレッスン ☆☆☆☆

孤独と不安のレッスン

孤独と不安のレッスン

 正直、この本を読んだからといって、「孤独と不安」から解放されるというわけではないと思います。ただ、この本には、僕たちが日頃漠然と抱いている「孤独と不安の正体」みたいなものが、かなりわかりやすく書かれているのです。そして、それを受け入れて生きていくためのちょっとしたコツも。もちろん、「死にたい」と考えているような人は、この本では救われないとは思うのですよね。鴻上さんもこの本のなかで「そういう人はためらわずに病院を受診してください」と書かれていますし。でも、多くの「独りでいることに不安を感じてしまう人」にとっては、とても有効な人生のサブテキストになる本です。鴻上さんというのは、本当に真摯に生きている人だと思うし、若い世代のことを、真剣に気にかけている人なのだということが伝わってきます。メディアでは過激というか、やや不躾な言動が多いようなイメージもある人なのですが、ちょっとおせっかいで一言多いけど、すごく優しい人なのではないかなあ。
 あと、鴻上さんというのは、こういう話を「心の問題」だけで語ろうとせずに、「身体性」を重視して、「どんなふうに行動し、体を動かせばいいのか」というのをかなり具体的に書かれる人なんですよね。「鏡の法則」よりもはるかに良い本だと思うのだけれど、残念ながら、それほど多くの人に読まれ、評価されているとは言い難いのが残念です。高校生や大学に入ったばかりの人には、とくにおすすめしたい本です。

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)

あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)

鴻上さんの著作のなかでは、↑も非常に興味深い作品。僕たちが「心の問題」「性格の問題」だと思っていることの多くは、「発声法や身体の動かし方」を変えることによって解決できる可能性がある、ということがよくわかる本です。僕は運動嫌いなんですけど、最近、あの三島由紀夫が若い頃から頭でいろいろ考え抜いた末に、晩年はボディビルにハマっていたこととか、村上春樹さんがフルマラソンを走り続けていることとかには、やはり、それなりの「意味」があるのだろうなと思うのです。僕に同じことができるかどうかはさておき。

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