琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

Sweet Rain 死神の精度 ☆☆☆

映画『Sweet Rain 死神の精度』公式サイト

あらすじ: 死神の千葉(金城武)の仕事は、不慮の事故で亡くなる予定の人物のところに7日前に現れ、その人を1週間観察し、その生死を判断すること。雨男の彼はその日も雨の中、7日後に死を迎えるはずの27歳の会社員一恵(小西真奈美)が現れるのを待っていた。やがてメーカーの苦情係として働き、疲れ果てて仕事を終えた彼女が姿を見せ……。(シネマトゥデイ

 「俺が映画を観に行くときには、いつも雨が降る」なんて思いながら、豪雨の中観てきました。
 なんというか、ツッコミどころ満載というか、制作側が感動させようと狙っているところはことごとくスベってしまっているように見えたし、伏線のつもりだったらもっとちゃんと張ってくれよ、わからせるつもりなら、もっとちゃんと説明しろよ、中途半端にピアノ線が見えるような特撮がいちばん萎えるから……と言いたくなるような作品なんですけど(そもそも、あのくらいでいちいち感動するようなヤツは、「死神」なんてやってられないだろ、と)、僕はこの映画、けっこう好きでした。まあ、途中からは、「それで、小西真奈美さんの歌は、いつになったら聴けるんだ!」ということばかり気になってしょうがなかったとしても。

 原作の『死神の精度』は、伊坂幸太郎さんの「テクニック」が凝縮されているような作品で、僕はこの連作短編を読みながら、「この人は本当に上手いなあ」と感動したものです。物語の設定にはかなり無理がありつつも、ラブストーリーあり、ハードボイルドあり、ミステリあり、人情モノありと、バラエティー豊かな作品群なんですよね。ある意味、この作品が「エンターテイナー・伊坂幸太郎」のひとつのピークだったような気がします。
 それ以降は、ちょっと「説教くささ」が前面に出すぎているようで……

 この映画を観ていると、やっぱり金城武さんの存在感ってすごいなあ、と思います。雨の中たたずんでいるだけであんなに絵になる人って、そうそういませんよね。あと、富司純子さん編で髪を切った金城さんって、ちょっと伊坂幸太郎さんに似ているような気がしました。
 小西真奈美さんの「クレーム処理のコールセンター勤務の薄幸な27歳OL」には、萌えすぎて悶え死にそうになりましたし。小西さんの「出番」は、思っていたほど多くはないのですが、小西さんの歌だけは、やたらともったいぶった扱いをされています。

 この映画を好きになれるかの分かれ目って、主題歌『SUNNY DAY』を好きになれるか、ということに尽きるのかもしれません。逆に言えば、この歌のことばかりが気になる脚本になっていて、ストーリーがぼやけてしまったようにすら思われます。もしかしたら、この映画、『SUNNY DAY』のプロモーションビデオなのでしょうか?

 しかしながら、僕はこの藤木一恵さん(というか、小西真奈美さん)の『SUNNY DAY』がけっこう好きになってしまったんですよね。
 いや、小西さんはけっして歌が上手いわけじゃないし(と言っては失礼なのですけど)、ものすごくインパクトがある曲や歌詞、というわけでもないのですが、この曲を聴いていると、なんだかすごく癒されるんだよなあ。小西さんの「不慣れな歌に真摯に向き合っている感じ」がものすごく伝わってくるのです。
 原田知世さんの初期の曲が好きなら、『SUNNY DAY』も気に入るのではないかと(狭いストライクゾーンではありますが)。

 デキが良いかどうか?と問われると、「あの原作だったら、もっと良い映画にできたと思う」と答えますし、「面白い?」と訊ねられたら、「テレビのスペシャルドラマだったら、観てよかったかな、というレベル」というのが僕の返事です。
 でも、「なんかうまく言えないけど、なんとなく好き」なんですよこの映画。

 ところで、この作品での「死神」の描き方をみていると、やっぱり伊坂さんにとっての「死神」は『DEATH NOTE』じゃなくて『死神くん』なんだなあ、と同世代の僕としては頷いてしまうのです。原作からすると、金城さんだとちょっとカッコよすぎるんだけどさ。


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小説『死神の精度』の感想はこちら(もう文庫になっていますのでオススメしておきます)。

死神の精度 (文春文庫)

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