うーん、結局録画したものを2時間観たのだけれど、なんかこの特番って、ちょっとズレていたよなあ。
率直に言うと、僕はマイケル・ジャクソンの訃報については、「今日であることには驚いたけれど、近いうちにこういう日が来てもおかしくないなと感じていた」ので、「なぜ死んだのか?」には、あんまり興味はなかったのだ。誰かに殺されたとかいうような話でなければ、ね。
おそらく、これまでのマイケルの人生をある程度知っていた人は、「死因となった病名」になど興味はなかったのではないかな。
僕がこのフジテレビの特番にガッカリしたのは、これが「マイケル・ジャクソンの死を報道する番組」になってしまっていたことだった。
マイケルが死んだ。その夜に放送される「追悼番組」で流されるのは、『スリラー』のプロモーションビデオの完全版とか、”We Are The World”をたくさんのアーティストと一緒に歌っているマイケルの姿だと思っていたのに、彼のパフォーマンスは、ごく短時間にまとめられた「過去の映像」として紹介されていただけだった。
僕は、マイケル・ジャクソンの「死因の謎」の解明よりも、彼が遺していったたくさんの作品たちをこの機会に紹介するほうが、はるかに有意義だと思う。
今日の特番は、じつにくだらなかった。
マイケル・ジャクソンの死因が薬物過剰摂取であろうが、皮膚がんであろうが、それで世界の何が変わるというのだ。
(「暗殺」であれば、少しは変わったかもしれないが)
せっかく特番やるんだったら、死因についての現地レポートよりも、マイケルの歌やダンスを1曲でもまともに流してくれよ。
お前らは、「キング・オブ・ポップス」を「死因不明の不幸な整形男」に貶めて視聴者の興味を引こうとしているんだろうけど、みんなそんなにバカじゃない。
テロみたいな周りに迷惑をかけるものでなければ、マイケルがどんな死に方をしようと、彼がこの世界にたくさんのすばらしい作品を遺した偉大なアーティストであることに、何の疑問もあるまい。どうして、こんなときにまで、スキャンダルの話ばっかりしようとするんだ?
中学校のとき、教室でひたすらムーン・ウォークを真似していた僕たちにとって、マイケル・ジャクソンはまさに「スター」だった。ネバーランドなんて妄想チックな自家遊園地をつくったり、チンパンジーのバブルス君に人間がかしづいたり、ディズニーランドを貸しきったり。そして、整形疑惑や子供をベランダで抱えあげて「幼児虐待」と非難されまくったりするのも、「マイケル・ジャクソン」なればこそ。
マイケル・ジャクソンが50歳で死んだからといって、彼は不幸だったわけじゃない。もちろん、幸福だったかどうかもわからない。
彼は、「マイケル・ジャクソン」としての人生を、最後まで全うした。ただ、それだけだ。
まあ、事件性はなさそうにもかかわらず、こうして「追悼番組」ではなく「報道特番」になってしまうマイケル・ジャクソンは、そういうところも含めて、「やっぱりマイケル」なのかもしれないけどさ。