琥珀色の戯言

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エクスペンダブルズ ☆☆☆


参考リンク:『エクスペンダブルズ』公式サイト(音が出ます!)

あらすじ
ソマリア沖で起きた海賊によるシージャック解決の仕事を受けたバーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)率いる傭兵部隊「エクスペンダブルズ」は、身代金を用いた交渉を行うもメンバーの一人であるガンナー・ヤンセンドルフ・ラングレン)の暴走により、激しい銃撃戦を展開することになる。海賊の殲滅には成功するも薬物依存症に陥っていたヤンセンをロスはチームから放逐することを決める。その数日後、チームのマネージャーであるツール(ミッキー・ローク)から仕事の依頼を伝えられたロスは会合場所でチャーチという謎の男から南アメリカの小国、ヴィレーナの独裁者であるガルザ将軍の排除を依頼される。ロスはメンバーの一人であるリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)と共に同国に偵察に赴くが…。

2010年19本目の劇場鑑賞作品。
映画がすべて1000円均一のサービスデーのレイトショー(月曜日)で、観客は30人くらいでした。

主演のシルヴェスター・スタローンをはじめとして、ジェット・リードルフ・ラングレンミッキー・ロークジェイソン・ステイサム、そして、出番は少ないながらも、ブルース・ウィリスアーノルド・シュワルツェネッガー
まさに、ハリウッドのアクション映画を支えてきたオールスター・キャストという顔ぶれです。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、この映画での役柄や扱いを見て、いくつかのサイトで確認するまで、僕は「そっくりさん」だと思い込んでいたんですけどね。
カリフォルニア州知事本人が、あの役で出演し、「大統領になるのに忙しい」なんてスタローンに言われるシーンまであるとは……

破壊!爆発!自虐ギャグ!
死亡フラグ立ちまくりなのに、なかなかやられない味方キャラ。
その一方で、まさに「虫けらのごとく」上半身が吹っ飛ばされ、ナイフで頸動脈をえぐられ、炎で焼かれる敵たち。
『エクスペンダブルズ』の理不尽なまでの強さに、『十三人の刺客』を少し思い出しました。
もっとも、『エクスペンダブルズ』には、「正義vs忠義」みたいな葛藤はなくて、ひたすら「目の前の敵を派手に倒す」という場面の繰り返し。
ストーリーもベタすぎてかえって驚いてしまうくらいです。
「2010年公開の映画が、こんなにありきたりなアクション・シーンばかりで終わってしまっても、良いのだろうか?」

いや、だから良いんだよね、この映画は。
これほど、「作り手の側が、観客に対してテーマを押しつけない映画」というのは、非常に珍しい。
そもそも、テーマなんて、たぶんどうでもよくて、「どうやったら観客を100分あまりの時間、退屈させずにスクリーンの前に座らせておけるのか?」だけを追究した作品だったのでしょう。
中島らもさんが、主宰していた劇団について、「とにかく舞台を見てみんなが笑ってくれて、劇場を出たとたんに内容を忘れてしまうような芝居を上演したい」と言っていたのですが、この『エクスペンダブルズ』は、まさにそういう映画になっています。
まあ、「現地で独立王国を築いてしまった」アメリカの工作員を、「メンツがあるので」軍隊を動かして排除できず、傭兵部隊に頼るという設定などは、少なくとも『ランボー』の「2」「3」あたりとは、スタローンの「政治的な立ち位置」の違いがうかがえて興味深くもあるんですけどね。
そして、これは、そういう「政治的な駆け引き」を描くための映画ではありませんし。

この『エウスペンダブルズ』は、まさに映画の内容そのものが「消耗品」という感じでした。
出演しているのは「往年の大スターたち」ではあるのですが、みんな、最近はヒット作に恵まれず、やや影が薄くなってきている人たちばかり。
やっぱり、若くてカッコよくて動きにキレがあるほうが有利なアクション・スターというのは、「消耗品」ではあるのでしょう。
どうしても、この『エクスペンダブルズ』という言葉に、僕は彼らのアクション・スターとしての生きざまを重ねてしまうのです。
これは、所詮「落ち目のスターたちの悪あがき」なのかもしれません。
でも、この映画の良いところも、スタローンをはじめとする俳優たちが、みんな「どうせ一度きりの人生だし、俺たちはとにかく映画が好きなんだから、消耗され尽くすまで、この世界にしがみついてやるぜ!」という開き直りを見せていることなんですよね。

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