琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

『琥珀色の戯言』が選ぶ、2011年の映画ベスト5


もう今年もあと5日ということで、年末恒例の回顧企画第一弾。
今年僕が観た映画のベスト5を振り返ります。
今年は28本観たのですが、去年より5本増でした。
一昨年は30本も観たのですが、いろいろあって、映画を観る気分になれなかった期間もあったので、自分としては、けっこうがんばって観ました。

では、さっそくランキングの発表です。


第5位 マネーボール

この映画の僕の感想はこちらです。

「勝つため」だからといって、ずっと応援していた選手が、あっさり他のチームに売られていくというのは、なんだかやっぱり寂しい。

それでも、「チームが勝てばいい」のか?

じゃあ、チームって、いったい何なんだ?

それは、とても難しい問題です。



ビリーたちは、「貧乏球団が統計の力で金満球団に勝つことによって、世界の常識を変えようとした」のです。

彼らは、「負け犬からスタートした」からこそ、こんな大胆な「改革」を行うことができました。

これは、「復讐の物語」であり、それと同時に「夢を失った人間たちの、再生の物語」でもあります。

第4位 トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]

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この映画の僕の感想はこちらです。

2時間半も「映像」と「映像の邪魔にならない程度のストーリー」で楽しませてくれる映画というのは貴重ですし、なにより、「夏休みに、『東映まんが祭り』でスーパーヒーローを応援していた頃の自分」にちょっと戻れる(しかも、大人が観ても怪しまれない)映画です。

ほんと、ストーリーとかムチャクチャなんですが、そのムチャクチャさもこの映画の「味」に思えてくるから不思議なんですよね。

思い出してみると、子供の頃観ていた特撮もののストーリーって、みんなけっこうムチャクチャだったものなあ。


第3位 英国王のスピーチ

英国王のスピーチ コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]

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この映画の僕の感想はこちらです。

僕はなんでも「気持がこもっていれば良い」とは思いません。

やっぱり、「伝えるための技術やトレーニング」は大事なことだから。

大きな声や喋り方の工夫で、「伝わる」ようになることは少なくないし。



しかしながら、代議士の流暢なスピーチよりも、披露宴の最後に、新郎の父親がべろんべろんになって、涙を流しながら行う、まともに言葉になっていないようなスピーチのほうが、僕たちの心を打つことがあるのも事実です。

「言葉でなにかを伝える」っていうのは、本当に難しい。

それにしても、今年のアカデミー賞の作品賞を争っている2作(『英国王のスピーチ』と『ソーシャル・ネットワーク』)が、いずれも「人と人とのコミュニケーション」を題材にしているというのは、象徴的なことですよね。「多くの『自分に合った人』とネットを通じてつながろうというシステムをつくった男」と「たったひとりの『本音で語り合える存在』がいないことに苦しんでいる男」、それぞれの物語。

どんなにシステムが進化しても、他者とのコミュニケーションというのは、人間にとっての「悩みの種」であり続けるのでしょう。

淡々としながらも、噛めば噛むほど味が出てくる、そんな映画だと思います。

第2位 ソーシャル・ネットワーク

この映画の僕の感想はこちらです。

「さまざまな条件で検索しあえる、5億人のネットワーク」をつくることと、「目の前にいてくれる、信頼できる一人の友人」をつくること。

ソーシャル・ネットワーク」は、本当に人々に「幸せ」をもたらしているのでしょうか?

あのシステムが生みだしているのは「限りない欲望」と「往生際の悪い希望」そして、「単なる時間潰し」だけのような気もします。

ただ、もしかしたら、みんなが求めているのが「目の前の自分の思い通りに動いてくれない友達」じゃなくて、「そういう、もっと曖昧で形のない、自分の思いのままになるもの」だからこそ、「ソーシャル・ネットワーク」は広がり続けているのかもしれません。

第1位 電人ザボーガー

この映画の僕の感想はこちらです。

この「電人ザボーガー」には、若いお母さんたちが喜ぶような「イケメンライダー」は登場しません。

「主人公がひたすら暑苦しい」「敵の作戦が非効率的で意味不明」「恒例の悪の組織の仲間割れ」「さわやかなイケメンなんて出ない」などの「1970年代の特撮のルール」にきちんと従ってつくられているのです。

正義の味方はヒーローらしく、敵はひたすら悪いことをし続ける。

そして、正義のヒーローにも、「正義とは何か?」という葛藤がある。



僕自身は、オリジナリティというか、原作を逸脱して(といっても、多くの原作へのオマージュは散りばめられているのですが)、ヒーローがヒーローらしくなくなってしまう「第2部」よりも、「昔の特撮ヒーローを再現した、暑苦しい第1部」のほうが好きでした。

昔の特撮ヒーローファンとしては、第2部の最初のほうなんか、「こんなのが観たいんじゃないんだよ……」と悲しくなるというか、特撮ヒーローという存在そのものへの冒涜のようにも感じましたし。

もっとも、『キカイダー』とか『バロム1』などでは、敵の「幼稚園バスをさらって世界を征服する」(なんて非効率的な作戦!)みたいなのにツッコミを入れて楽しむ、というのもアリなので、あんまり目くじらを立ててもしょうがないかもしれませんね。


(中略)


正直、「観る人を選ぶ映画」だとは思うんですよ。

でも、「好きな人にとっては、一生モノの映画」になるはず。

そうでない人にとっても、「映画館で観たことを、一生話のネタにはできる映画」です。



いやほんと、僕はこの映画大好きです。

音楽とか効果音へのこだわりも素晴らしい。

そういう細かいこだわりの積み重ねと原作への敬意が、この映画の大きな魅力なのです。


今度は『キカイダー』か「怪傑ズバット』を映画化してくれないかなあ……

【総括】
今年は、震災の影響もあり、僕自身は、なんだか映画をうまく楽しむことができなかったような気がします。
震災後にはじめて映画館で観たのは『塔の上のラプンツェル』だったのですが(震災の3週間後)、主人公たちが水に流されて窒息しそうになるシーンは、津波ではないのだけれど、正直、観ていて僕も息苦しくなってしまいました。
震災前であれば、なんてことのない「主人公のよくあるピンチのひとつ」でしかなかったはずなのに。
直接被災したわけではない僕でさえそうだったのですから、今後、映画や漫画など、さまざまな表現での「自然災害の描写」でフラッシュバックを起こす人は、少なからずいるのではないでしょうか。
「誰も傷つけない表現」というのは存在しないのだとしても、映画の世界においても、「震災からの(精神的なものを含む)復興」には、時間がかかりそうです。
そして、2011年という年は、さまざまな表現にとっての「転機」とならざるをえないと思われます。


あと、今年観たなかで、オススメの映画をタイトルと寸評だけでも。
キック・アス ヒットガールがすごかった。
コクリコ坂から 「もののけ姫」以降のジブリのなかでは、「もののけ」の次に好き。テーマ曲良し。
『ステキな金縛り』 深津絵里さんのコメディエンヌっぷりが好き。
ツレがうつになりまして。 原作より良い。今年いちばんの宮崎あおい
はやぶさ/HAYABUSA 「はやぶさ君」が喋る=駄作だと知ったかぶりする前に、DVDが出たら観てみてください。
さや侍 「他の誰にも撮れない映画を撮っている」という点において、松本人志さんはすごいと最近思うようになりました。
ブラック・スワン なんでこれをベスト5に入れなかったのだろう……


今年も、まったく役に立つこともない、個人的な映画の感想にお付き合いいただき、ありがとうございました。
来年も、月2本ペースくらいで観られたらいいなあ、と思っています。

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