琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】みんなの機内食 ☆☆☆


みんなの機内食

みんなの機内食

内容紹介
110人の「機上の晩餐」お見せします!
1日3万アクセスの人気サイト「機内食ドットコム」待望の書籍化!


年間1000万アクセスの超人気・読者投稿サイト「機内食ドットコム~機上の晩餐」から選りすぐり。


旅のワクワク気分を盛り上げてくれるのが、機内食です。麺やカレーなどエスニックテイストの
アジア系エアラインから、パスタやお肉料理がおいしそうな欧州系エアライン。白いテーブルクロスが
眩しいビジネスクラスでの優雅な食事や、最近話題のLCC(格安航空会社)の有料機内食も。
約200フライトで実際にサービスされたさまざまな機内食の写真と、それを食べた人110人の皆さんの
コメントを紹介します。


機内食」は好きですか?
率直なところ、僕自身は、飛行機に乗っていて目の前に出される機内食って、あんまり好きじゃないんですよね。
そんなに美味しいものじゃないし、飛行機の中って、ほとんど動きませんから、お腹もすかない。
狭いところで他人と密着して食べるというのも、けっこう気詰まりです。
日本の国内線では、機内食サービスは無くなっていることを考えても、「わざわざ機内で食べるより、目的地に到着してから食べるほうがいい」と考えている人のほうが、多いのではないかと思います。


とはいえ、海外に行くような長時間のフライトでは、機内食無し、というわけにはいかないでしょうし、「駅弁」と同じで、「大部分はそんなに美味しいものじゃないんだろうけど、みんながどんなものを食べているのかは気になる」のも事実です。
大部分の日本人にとっては、「飛行機に乗る」というのは、まだまだ「特別な体験」でしょう。
旅先で食べるものというのは、旅の思い出と結びつきやすいものですしね。
この本の元になっている『機内食ドットコム』は1日3万アクセスもあるそうですから、世の中には「旅好き」「機内食好き」が大勢いるのだなあ。


僕がこの本で紹介されている、「200フライトの機内食」を眺めてみて感じたのは、その「画一性」と「独自性」でした。
矛盾している言葉をふたつ並べてしまったのですが、全体としては、「ああ、やっぱり機内食となると、どこの航空会社でも大枠としては、あんまり変わらないのかな」と思ったんですよね。
日本に馴染みがないような国の飛行機会社でも「謎の食べもの」「その土地でしか食べられていないような料理」は出てこない。
(もちろん、ここで紹介されている以外の、地元の人しか乗らないような超ローカル路線では、出てくることがあるのかもしれませんけど)
それは逆に、「飛行機というものが、世界をつなく、グローバルなものである」ことの証拠でもあるわけです。
この本を読むまでは、「うわー、これは日本人には食べられないんじゃない?」というようなオリジナリティあふれる機内食もあるんじゃないかと楽しみにしていたのですが、そこまで強烈なのはありませんでした。
当たり前といえば、当たり前の話、ではあるのですが。
基本的には、「日本のそれなりの高級ホテルで出てくるような種類の料理」と考えておけば良いのではないかと思います。
それでも、韓国系の航空会社ではビビンバが名物になっていたり、ドイツの航空会社では瓶ビールがあったりして、各国の「独自性」もあるんですけどね。
どちらかというと、それぞれの「国の違い」よりも、「ビジネスクラスの人って、こんなに美味しそうなものを食べているのか!」というほうが、ちょっと驚きでした。
運賃が違うので、これも当然のことではあるのですが、僕がいつも利用しているエコノミーと並べられると「格差」みたいなものを実感せずにはいられません。
運賃の差を考えれば、旅先で高級レストランに入ったほうが良い、とは思うのだけれども……


その一方で、LCC(格安航空会社)の食事(有料)を見ると、「これではさすがに寂しいかな」とも思います。
僕の場合は実際に飛行機に乗っていたら、「また食事……」と辟易することが多いのですけどね。


さほど機内食に思い入れのない僕にとっても、こうして多くの国、飛行機の機内食の写真をオールカラーで眺めていると、なんとなく「飛行機の中の、あの静謐な感じ」の記憶が浮かび上がってくるのは、ちょっと不思議です。
普通に日本で生活していると、飛行機のなかほど「選択肢のない食事」って、滅多にありませんし。


また、関西空港にある、機内食が食べられるレストラン「レジェンド・オブ・コンコルド」の紹介や、機内食をつくっている工場見学の記事などは興味深いものでした。
この「関西インフライトケイタリング」という会社では、20カ国、30社の航空会社に機内食を提供していて、一日平均7000食。スタッフが370人もいるそうです。
つくってすぐに食べるというわけにはいかないし、万が一飛行機内で食中毒などが起こってしまったら、とんでもないことになりますから、厳しく衛生管理されています。

 イスラム教徒用の機内食(ハラル)に関しては、調理も盛り付けも洗浄も、全て一般の機内食とは別で行われていました!

そういうプロセスは旅客にとっては目に見えないところではありましが、やっぱり厳密にやっているんだなあ、と感心してしまいました。
イスラム教徒にとっては、「当然のこと」なんでしょうけど。


僕自身の「機内食に関する記憶」といえば、関西空港から香港に行ったとき(キャセイ航空)、途中で台北でトランジットの4時間程度のフライトだったのですが、その間に2回も1食分の機内食が出てびっくりしたことがあります。
そんなに食べられないよ……って。
何じゃこれは?と後から確認してみると、これは嫌がらせじゃなくて、「国境を超えるフライトでは、機内食を出す」という決まりになっているから、なのだそうです。
トランジットを挟んで、「それぞれ国境を越えているから」ということで、1食ずつ。
生涯唯一のビジネスクラスで、そんなことになってしまったのは、運が良かったのか悪かったのか……


機内食好き(あるいは駅弁好き)の人には、なかなか興味深い一冊だと思います。
まずは、元になった『機内食ドットコム』を覗いてみるのも一興かと。


参考リンク:機内食・ドットコム〜機上の晩餐〜

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