琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】嫉妬の法則 ☆☆


内容紹介
「純愛なんて、作り物なんだ」「ワイセツってのは、いいことだ」……恋愛から不倫、家族、結婚・離婚の話まで。ちょっと刺激的な「男と女」の論考集。この本で、世界のキタノの「モノの見方・考え方」が見えてくる!

うーむ。
あのビートたけしさんの、新しい新書、ではあるのですが、実はこの本、1998年に角川文庫で刊行された『嫉妬の法則―はっきり言って暴言です』という文庫に加筆訂正し、新書化したものなんですよね。
ところが、そのことは、最後の最後、204ページに書いてあるのみ。
もちろん、たけしさんの大ファンなら、過去の本のリライトであることはわかるのかもしれませんが、僕は全く気づきませんでした。
たけしさんの著書も、けっこう読んでいるはずなのですけど、この『嫉妬の法則』は、記憶になかったなあ。


そういう意味では「はじめて読んだ」と考えて良いのだとは思うのですが、なにぶんにも15年前に書かれたものなので、やっぱり「古くさい」というか、「いまのたけしさんでも、同じことを言うだろうか?」という感じはします。

 昔、遠距離恋愛が流行ったことがあった。シンデレラエクスプレスっていったっけ? あれは、ただホテル代がないって感じがするけどな、もう一泊できないってだけで。一泊して朝帰ればいいんだからさ、朝一で。ホテル代がないってだけで、それを純愛って言ってごまかしていただけじゃないの。

 会話のある温かい家族なんて、嘘だよね。親子の会話なんて、そんなのないよ。「子供は黙ってろ」っていうような家庭が一番いい。子供に、「今日どうしたんだい? 学校で何かあったのかい?」って聞いて、「うん、今日先生がね」なんて、答える。そんな時は「ばか!」って子供をぶん殴る。
「しゃべんじゃねえ。馬鹿野郎!」みたいなほうが絶対、子供も育つし、家庭も安定してんの。
 奥さんと、「会社でこんなことあったんだ」なんて話したり、子供の話聞いたり、みんなでワイワイやってる、これを「あったかい家庭」と勘違いしている日本の文化はホントだめだね。日本人は常に一緒にいるんだから、会話なんて必要ない。しゃべんなくたって分かるんだから。
 親子とか、夫婦で隠し事があっちゃいけないなんて、美人と同じで、隠し事があればあるほどその人がすてきなんだってこともある。

 まあ、なんというか、僕の世代にとっては、あの「ビートたけしオールナイトニッポン」のときのたけしさんの口調を思い出しながら、「話芸」として流し読みするには良いんですけどね。
 2013年にまともに「北野武さんの意見」として読んでしまうと、「何これ……」と思われそう。
 そもそも、「常に一緒にいる」なんて、現在の日本人は「そんなことないだろ……」としか感じないですよね。
 1998年の本をこうして新書化することを、よくたけしさんは了解してくれたものだなあ。
 ここまで、「新刊のような売りかた」をされるとは思っていなかったのではないかと心配ではありますが。
 これ、1998年当時でさえ、そう言えるのは、ビートたけしだからだろ……って内容でもありますし。
 まあ、オビにも「はっきり言って、”暴言”です」って書いてあるんだけど、なんとなく、いまはその前置きが言い訳になる時代でもないような……
 というか、15年前であれば、この「暴言」も「芸人・ビートたけしの話芸」だったような気もするのですが、いまの北野武というのは、日本を代表する「文化人」になってしまっているんだよねえ。
 にもかかわらず、こういう新書を出してしまうのも、らしいといえばらしいのだけれども、どうせなら、2013年現在の、北野さんの「恋愛論」を聞いてみたかった。

 ストリッパーは、裸で踊ってる時は恥ずかしくないんだけど、パンツはく時が恥ずかしいんだって。終わって、自分の下着とかをはいてる姿を見ると、「見ないで!」って怒るんだよね。
 お笑いのヤツもさ、スナックでみんなすっ裸になって踊ってさ、それが終わってシラッとした時、自分のパンツをはいてる姿が、恥ずかしくなるんだよね。はく時はちゃんと隅に行ってはくんだよ。脱ぐ時は真ん中で堂々と脱いでるのにさ。はく時は見られないようにはいてるの。微妙な気持ちがあるんだよな。
 仕事と日常の接点のところが、一番恥ずかしいんだよね。

 こういう話は、けっこう好きなんですけどね。
 でもまあ、読んでも「ちょっと古いなあ」というだけで、とくに笑えるわけでも、参考になるだけでもなく、15年の前の文庫本を新刊っぽく見せかけて売ろうという出版社サイドのやりかたも不快なので、おすすめはできません。

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