琥珀色の戯言

3000冊以上の【書評】と500作以上の【映画感想】を、ちゃんと読んで、観て書いてきたブログです。話題になったあの本や映画の感想が、たぶんあります。新書、ノンフィクション、インターネット関連本が多め。

【読書感想】パチンコからはじまる○×△な話 ☆☆☆☆


内容紹介
末井昭が語る、今だから話せるパチンコ裏話と麻雀、その他ギャンブルのはなし。西原理恵子、ギャンブルライター山崎一夫との対談を織り交ぜて、勝ち方も少々伝授!


『パチンコ必勝ガイド』を創った男、末井昭が語る、今だから話せるパチンコ裏話と麻雀、その他ギャンブルにまつわるはなし。「ギャンブルライター山崎一夫との対談を織り交ぜて、勝ち方も少々伝授! 「パチンコ必勝ガイド」は成功させたものの、パチンコ・先物・株・競馬・競輪・麻雀・カジノ・不動産などで数億の借金を作ってしまった末井昭と、麻雀屋の店員、パチンコ屋の店員などを経験しながら、ギャンブルにハマる人達を裏から見てきたギャンブルライター・山崎一夫のギャンブルのはなし。イラストは西原理恵子の描き下ろし。【内容】●西原理恵子による本書・登場人物紹介●パチンコ:パチンコ必勝ガイド裏話/公営ギャンブルに比べれば断然有利/パチンコでマンション買った人達/パチスロ達はこうやって稼ぐ・攻略法があった時代/シマ全体が揺れていた/イナゴの大群梁山泊….etc。●麻雀 悲惨な覚えたて時代/トイレで死んでいたジャンゴロ/イカサマはこうやってやる/点5の麻雀で勝てるか/ウマ30万の麻雀....etc.

『パチンコ必勝ガイド』を創った男、末井昭
末井さんは、ずっと朝日出版社のブログで「自殺」という連載をされていて、僕も楽しみに読んでいたのですが、この本は、そんな末井さんの「本領発揮」という感じの「ギャンブル本」です。
末井さんは、「昔はギャンブルは一切やらなかったのだけれど、ずっとつくっていた雑誌『写真時代』が、当局からの圧力などでうまくいかなくなったときに、パチンコにハマってしまった」そうです。
それで、「なんとかこれを仕事に結びつけられないか」ということで、『パチンコ必勝ガイド』を創刊したのだとか。


この新書で描かれている、パチンコに「オカルトじゃない、本物の攻略法」があった時代の話は、当時の「熱気」を「なんちゃってギャンブラー」だった僕にとってもすごく懐かしいものでした。

末井昭ドンスペなんかは、最初プログラムからは分からなかったんだよ。怪しい台だから下田さんがプログラム解析してたんだけど、どこにも連チャンになる箇所がなかったんですよ。それで、連チャンさせる方法が分かってからプログラム見ると、大当たりの判定が一番最後にあったんですよ。大当たりになると台もいろいろ忙しいわけ。ランプをピカピカさせないといけないし、音楽も流さなきゃいけないし、コンピューターの仕事量が増えるんです。コンピューターは何秒かでリセットが入って、また同じ作業をやるようになってるんだけど、大当たりになると作業が全部終わらないうちにリセットが入るんです。そうすると、最後の大当たり判定ができないから、前回の値を使うってことになって、前回が大当たりだったら次も大当たりになるっていうのがドンスペの連チャンの仕組みだったんです。


山崎一夫コンピューターっていっても、むかしは負荷がかかると動きが遅くなってたよね。


末井:コンマ何秒か知らないけど、そのタイムラグで連チャンさせたりしてたんだよね。


山崎:インベーダーゲームってあったじゃない。あれ、打ち落としてインベーダーが減ってくるとピコピコ攻めてくるのが速くなるじゃない。あれは、そういうプログラムじゃないらしいよね。最初はインベーダーがいっぱいいるから画像データが重いわけ。インベーダーが少なくなって、仕事量が少なくなってきたらババババババって速く動くんだって。


末井:そうなんだ。


山崎:だから、新しいコンピューターで同じプログラムを動かすと最初っから速く動くらしいよ。

インベーダーのこの話、僕も以前どこかで聞いたことがあるのですが、本当なのでしょうか?
当時のコンピュータのスペックは「こんなもの」だったんだよなあ。
ゲームセンターあらし』の「手の動きがコンピュータの処理速度をこえる」という「炎のコマ」も、あの時代だったら、「アリ」だったのかも。
(いや、僕の記憶では、当時からすでに「そりゃ無理だろ」とか、「月面宙返りしている間にやられるって!」と、みんな言いながら、「炎のコマごっこ」とやっていたんですけどね)


パチンコに本物の「攻略法」(リーチになったら鍵穴をふさぐ、とかじゃなくて、ですよ)があった時代、コンビニには配本された直後の『パチンコ必勝ガイド』を買って、その日のうちに「攻略法」を試そうという人が、少なからずいたそうです。
今なら、攻略法の情報はネットで一瞬のうちに広まってしまうでしょうけど、当時はまだ雑誌の時代だったので、攻略法が載ってから店側が対応するまで、数日間くらいは「タイムラグ」があったのです。
当時のパチンコ雑誌は、攻略法を見つけるために、メーカーと「勝負」していたわけで、いまの「新しい台の情報を得るために、仲良くしている」状態を考えると、生き馬の目を抜くような、激しい時代だったのです。


末井さんが、ホームレスの「競馬名人」という田中さんと一緒に競馬場に通っていたときの日記もすごかった。
毎週、数百万円くらい持って競馬場に行き、原則、田中さんの言う買い目に従って馬券を購入していくのですが……


この本の冒頭で、末井さんは、山崎さんのことを、こんなふうに評しています。

 山崎さんはちょっと変わった人でした。いつも穏やかですが、何か覇気がないというか、バンドの練習にもときどき来ていましたが、言っては悪いけどものすごく下手で、上手くなろうという努力も皆無でした。しかも、ライブの日に来ることは来たのですが、楽器を忘れて僕らが演奏するのを一番前の席で見ていました。バンドのメンバーで、ライブに楽器を忘れてくる人って、あまりいませんよね。


(中略)


 あるとき、友達と麻雀することになって雀荘に行ったら、たまたま山崎さんがフリーで来て打っていました。いつもの覇気がない感じと違って、その顔は真剣そのものでした。そのとき、山崎さんは僕らの生活とは逆の人なんだなぁと思いました。僕らは一応真面目に仕事をし、人との約束を守り、海外旅行のときはそれ相応のお金を用意し、たまに麻雀などをして楽しむわけですが、山崎さんは日常生活はボーッとしていて、ときには人に迷惑をかけたりすることがあるものの、ギャンブルの場になるととたんに真剣になる人でした。つまり、正真正銘のギャンブラーなのでした。

なるほど、こういう人こそ「正真正銘のギャンブラー」なのだなあ。
「ギャンブルにうつつを抜かす」というより、「ギャンブルの場でしか、真剣になれない人」。
僕のような気分転換とか言っている「にわかギャンブラー」が、同じ土俵で勝負しても、勝てるわけないや。


ちなみに、著者に西原理恵子さんも入っていますが、西原さんはイラストと巻頭の短いマンガと描いているくらいです。
話題に少し出てきたり、コメントを寄せてはいるものの、文章のほとんどは末井さんと山崎さんによるものです。
西原さん目当てで購入を検討している人は、中身をとりあえず確認してからにすることをおすすめします。


僕もこれまでの人生で、さんざん痛い思いをしていますので、ギャンブルを他人にすすめる気は全くありませんが(というか、夕方からパチンコに行くんだったら、その時間で映画1本観たほうが、大部分の人にとっては、コストパフォーマンス高いです)、困ったことに、「ギャンブラーの話」って、面白いんですよねやっぱり。


最後に、山崎さんが紹介していた、こんな話を。

 私の友人で、不動産投資に詳しい男がいるんですが、その男に聞いた話です。
「知り合いの働き者の夫婦がいてだいぶ預金があったんだって。
 数年前にマンションを買ってたんだけど、住宅ローンの金利がもったいないので、貯金を取り崩して一括返済をした。
 その直後に亭主が死んだもんだから、結果的に大損になってしまった。死ねば住宅保険(団体信用生命保険)でローンはチャラになるから」
 不謹慎ながら、もうちょっと死ぬのが早ければ、遺族にはマンションと預金の両方が残ったんですね。

真面目に生きていても、こんな形で、「ギャンブル」に負けてしまうこともあるのです。
もちろん、確率で考えれば、ローンを先に払ってしまったほうが、金利分だけ徳をした可能性が高かったのでしょうけど……

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