琥珀色の戯言

【読書感想】と【映画感想】のブログです。

ホビット 決戦のゆくえ ☆☆☆☆☆



ドワーフの王国を取り戻すべく旅をしていたホビット族のビルボ・バギンズマーティン・フリーマン)やドワーフのトーリン(リチャード・アーミティッジ)らは、竜のスマウグからついに王国を奪い返す。しかし、スマウグは人々を襲い、その一方でトーリンが財宝を独り占めしようとし、ビルボがそれを止めようと危険な選択をしてしまう。そんな中、宿敵サウロンが奇襲を仕掛け、ドワーフとエルフと人間の間では対立が深まり……。


参考リンク:映画『ホビット 決戦のゆくえ』公式サイト


 2015年2本目の感想。
 平日のレイトショー、観客は10人くらいでした。2D字幕版。

 ピーター・ジャクソン監督の「中つ国」シリーズも、これで終わりかと思うとせつないなあ、なんて感傷に浸っているうちに、もう上映期間もそろそろ終わり、という感じになってきて、あわてて観に行きました。
 いちおう、前作『竜に奪われた王国』は直前に予習しておいたのですが、この『決戦のゆくえ』は、驚くほど唐突に前作の続きからはじまります。
 冒頭に「これまでのあらすじ」くらいは紹介されるのかと思いきや、そういうのは一切なし。
 たしかに、いきなりこれから観る人はいないだろうけど……前作を観た人も、1年近く経っているわけですから、簡単なおさらいくらいはあったほうが良いのでは……
 もともと、二部作で公開される予定だったのが三部作になった影響なのかもしれませんけど。
 『竜に奪われた王国』で、あんなに延々とビルボたちを苦しめたスマウグが、『決戦のゆくえ』になったとたんに、アレだものなあ。
 前作であれだけ引っぱっておきながら……もうすこしがんばりましょう、と言いたいところ。
 なんだか、『北斗の拳』の新章で、前章強かった敵があっさりやられるのを思いだしてしまいました。
 ここは修羅の国なのか……

 
 『ホビット』シリーズ、今回なんとなく腰が重くなってしまっていたのは、『ロード・オブ・ザ・リング』から、みんな同じような背景や話じゃないか、と、ちょっと飽きてきたのも事実なんですよ。
 最初に『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』を観たときには、あの世界観を実写でつくりあげただけでも、☆5つ、だったのだけど。
 でも、観はじめたら、この『決戦のゆくえ』も、やっぱりすごく面白い。
 ストーリーとしては、欲の皮が突っ張ったたくさんの勢力が一ヵ所に集って、大乱戦になってしまう、ただ、それだけの話、なんですよ。
 どこかで見せ場があるのだろうと思っていたガンダルフさん……なんか、終始単独行動をとって、捕まって、煙草ばかり吸っている人っぽいぞこれじゃ。
 だが、それがいい、ような気もするのです。
 あと、「正義の味方」として大活躍しているサルマンさんを観ていると、なんだかせつない。
 まあ、ディテールはいろいろあるのですが、「この世界」そのものに浸るのが楽しい、そういう映画なんですよね。
 実際にあの中に参加したくはないけれど。


 今回、最も印象的なのは、殺伐とした場面をさんざん観たあとに画面に広がる、緑に覆われた「ホビット庄」の風景でした。
 ああ、帰ってきたんだなあ、って、いち観客でしかない僕も、なんだかとてもホッとしたんですよ。
 ビルボは、故郷でいきなりけっこう酷い目にあっていましたが。


 もうお腹いっぱいだよ、と思っていたのに、この『決戦のゆくえ』を最後まで観ると、時系列的には続きになる『ロード・オブ・ザ・リング 旅の仲間』を観たくなってきたのです。
 やはり、良い映画、なのだよな、とあらためて思い知らされました。


 もう原作が無いので、このシリーズはこれで終わり。
 オリジナルストーリーの続編がつくられることもないだろうし。
 とりあえず、自分が生きている時代に、この映画を観ることができたのは、けっこう幸運なのではないか、そう考えずにはいられません。
 
 
 いつか、息子たちがわかるような年頃になったら、さりげなく観せてやりたい、そんな映画です。
 アゾグを観て、「あっ、ビッグボール忍だ!」とか言いそうだな……というか、僕もそう思ってしまいました……



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