琥珀色の戯言

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【映画感想】パシフィック・リム:アップライジング ☆☆☆

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巨大兵器イェーガーを駆使する人類とKAIJUたちとの激闘から10年。今は亡き英雄ペントコストの息子でイェーガー・パイロットとしての活躍を期待されていたジェイクは、環太平洋防衛軍(PPDC)を去って違法なイェーガーのパーツ売買を行っていた。だが、戦地からイェーガーのパーツを盗んでいたアマーラと共に逮捕され、PPDCのパイロット養成施設へ送られる。そこで彼は義姉のマコ(菊地凛子)に命じられ、イェーガー・パイロットの候補生の教官を務めることになる。


www.pacificrim.jp


2018年、映画館での11作目。
観客は10人くらいでした。


fujipon.hatenadiary.com


前作は「ハリウッドでお金をかけて真剣につくられた、ロボットアニメの実写化作品」で、観ながらワクワクしていたのだけれど、今回の続編は「つまらなくはないけれど、観ているとなんとなく時計に目をやりたくなる映画」だったんですよね。


堕落というか、挫折したヒーローが、なんらかのきっかけでモチベーションを取り戻し、世界のために活躍する、というのはありがちなパターンなのだけれど、『アップライジング』のジェイクの場合は、なんだかけっこうなりゆきまかせて「改心」してしまって、「どうも、この人が主役であることが腑に落ちない感じ」なんですよね。いやまあ、きっかけがあったといえばあったのだけれども、それは「続編つくらなかったら、こんなことにならなかったのになあ」と思うようなものでした。
スター・ウォーズ』も、新作をつくらなかったら、『4~6』の主役たちが、あんな目にあわなくてもよかったのに。


『アップライジング』って、結局のところ、あの連中のマッチポンプみたいなもので、余計なことをしたおかげで世界の危機を招いたのはお前のせいじゃないか、とか言いたくもなるんですよ。
なんか突然、最後のほうでは「いい人」になってるけど、あなたがちゃんと自分の組織を管理していれば、こんなことにならなかったし、テストもせずに配備するなよ、とも思う。


日本のアニメをたくさんみて研究したのであれば、「自動操縦系」「AI」は、導入されれば必ず暴走するというのが「王道」なのに……


なんだか物足りなかったのは、主人公たちが「地球の危機に、絶対的な敵と絶望的な状況で戦う」という悲壮感があまり伝わってこなかったのもあるのです。
状況としては、かなり厳しいはずなのだけれど、もっとひどい状況になるはずだったのが、敵は途中でちょうど良いくらいの数に減ってしまうし、こんなにたくさんの相手と戦うのは厄介だな、と思うと、都合よく「合体」してしまう。
これぞまさに「ロボットアニメの王道」といわれれば、まさにその通りなんですけどね。
インディ・ジョーンズ』で観たような、「小さな生き物の群れによる容赦ない攻撃」が来て、これ、どうやって倒すんだ?最強じゃないか?と思いきや、斜め上のことにミニメカが使われて椅子からずり落ちそうになってしまいましたし。
ヤッターマン』の三悪かよ!
そのメカ、そのまま相手を攻撃するのに使ったほうが、よっぽど強いと思うぞ……


 『トランスフォーマー』の続編みたいだったのは、中国の観客を意識しているという共通点もあったからなのでしょう。
 「もっと中国語を勉強しなさい!」とパワハラ攻撃をしてくる社長とか、「あまりにも中国市場に重きを置いている最近のハリウッド映画への皮肉」かと思いきや、やっぱり、そうもいかないみたいだし。

 観終えてあらためて感じたのは、前作『パシフィック・リム』というのは、過不足なく僕が観たかったものを実現してくれた映画だったのだな、ということです。

 あの作品から、何を足しても、何を引いても、物足りなくなってしまうのだよなあ。
 「ハリウッドの日本の特撮・アニメマニアの監督が、こんな作品をつくってくれた!」という感動は、続編にはないし、なんというか、お金をふんだんに使える状態で、こういう作品をつくろうとすると、『トランスフォーマー』とか『アベンジャーズ』の二番煎じにならざるをえないのだろうか……とも思いました。


 いやほんと、つまらなくはないはずなんですよ。
 つまらなくはないはずなのに……なんだか途中で「はいはい、わかったわかった」という気分になってしまう。
 「あっ、『エヴァンゲリオン』のオマージュ!」とか、「ここでガンダムか!」とか、そういう楽しみができる僕でさえそんな感じでした。
 「ヒットの方程式に沿って、嫌われないことを重視しすぎてつくられた映画」って、いちばん「つまらない」のかもしれない。


fujipon.hatenablog.com

パシフィック・リム: アップライジング(オリジナル・サウンドトラック)

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