- 作者: 清野とおる
- 出版社/メーカー: Bbmfマガジン
- 発売日: 2009/06/16
- メディア: コミック
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- 作者: 清野とおる
- 出版社/メーカー: ビーグリー
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内容紹介
あなたも行かずにはいられないカオス赤羽! 清野とおるのリアルファンタジー! 東京都の北端で東京都民にも埼玉県民にも見放された空間ポケット赤羽・・・この赤羽に住む漫画家清野とおるが自慢できない趣味の散歩と尾行で第六感を研ぎ澄まし遭遇する赤羽住民との不気味で寂しく、おかしくも愉快であたたかいリアルな日常を漫画化
作者の清野とおるさんが、あの壇蜜さんと結婚!
僕は昔から、なんだか後ろめたい気分になりつつも、『愛の貧乏脱出作戦』を観るのが大好きだったのです。
あれは、名店の人がダメな店を立ち直らせる前よりも、冒頭のダメな店のダメっぷりを紹介しているシーンがいちばん面白かったのだよなあ。
以前、ふらっと入った味のしない味噌ラーメンの店のテレビで、『愛の貧乏脱出作戦』の再放送が流れているのを観たときは、なんてシュールな状況なんだ……と思ったものです。
子どもの頃から、「世の中には、なんでこんなに、お客さんがいるのを見たことがないのに、営業を続けられている店があるのだろう?」と疑問でした。中学校に通学する際に、商店街を通り抜けていくのだけれど、当時は、商店街が賑わっていた時代から、「シャッター化」していく過渡期でもあったんですよね。
あのボロボロの看板の店、まだ営業しているんだよな、お客さんはいるのだろうか、どんなものを出しているのだろうか?
そういうのが気になる人って、少なからずいると思うんですよ。
でも、そこで、その店に実際に入ってみるかというと、大部分の人は、気になりつつも、一度もその暖簾をくぐることはない。
そういう店って、食べ物屋であれば、あまり美味しいとは思えないし、下手に入ってしまうと、店の人に注目されて、出ていきづらくなりそうだし。
その一方で、「あんな状況でもずっと営業を続けていられるのだから、実は、ものすごく美味しい、知る人ぞ知る隠れた名店なのでは……などと勘繰ってしまうのです。
冒頭の「味のしない味噌ラーメンの店」は、僕にしては珍しく、そういう店に思い切って入ったときの思い出です。
同行者は、店を出るなり、「家で『サッポロ一番みそラーメン』食べたほうがはるかにマシだった……」と呟いていました。
いやむしろ、比べること自体、あの名作『サッポロ一番』に失礼だったかもしれません。
fujipon.hatenadiary.com
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僕自身は、「気になるんだけれど、『怪しい店』に自分で入ってみる勇気はない」ので、こういう「怪しい店に突撃してみた実録もの」が大好きなのです。
そして、そんな僕にとっては、この『東京都北区赤羽』は、まさにストライクゾーンど真ん中、だったのです。
著者の清野さんは、マンガ家として週刊誌に連載を持ったものの、なかなかブレイクしきれず、家にも居づらくなって、学生時代に通っていたという赤羽の町で一人暮らしをはじめます。
この赤羽という町は、住んでみて、家の周りを散歩してみると、駅前の開けた地域以外は、昔ながらというか、一癖も二癖もある人が集まる、ディープな地域だったのです。
訪れると店主がいつも店で寝ている居酒屋とか、赤飯を配って周囲の高齢者に売りつけるおばあさん。昔からの友人と、カラオケレストラン(?)に入ったときのエピソードは、あまりに友人が気の毒で、思わず笑ってしまいました。なんという羞恥プレイなんだこれは……
でも、そこで生きている人たちにとっては、それが「普通」であって、とくに「狙ってヘンなことをしている」わけではないのです。
こういうマンガって、ズレた人たちを半ばバカにして笑いのネタにしたり、逆に「人間味のある人々として、無理矢理、美談にする」っていう描き方になりやすいような気がします。
そうなると、読んでいるほうも、バカにするのは心苦しいし、美談にされると嘘くさいし……と、乗り切れないところがある。
清野さんは、あくまでも「異邦人」としてのスタンスを崩さず、「過剰に物怖じをしたり、批評家としてふるまったりはしないけれど、踊り子にはなるべく手を触れない」のです。
というか、清野さんは「人生は人それぞれなのだ」と達観しているようにもみえるんですよ。
ただ、マンガに描くだけではなく、店の看板や登場人物の写真など、本人の許可を得て、「実在していること」を読者には証明しています。
清野さん自身が「こんな人もいるのか!」と驚いているのが、伝わってきます。
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