あらすじ
カリフォルニア州に住むミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)のもとで暮らしていた雑種犬のバックは、4歳のときにさらわれて売り飛ばされ、そり犬として働いていた。その後再び売られて厳しい環境で重労働を強いられていたところを、一人で旅をしていたソーントン(ハリソン・フォード)に助けられる。世話をされるうちに、ソーントンとの間に信頼と友情が芽生え、彼らは地図にない地を目指す冒険に出る。
2020年、映画館での5作目。
平日の19時からの回で、観客は僕ひとりでした。
久々の「映画館ひとりぼっち」!
新型コロナウイルス感染予防のため、3月10日の時点ではレイトショーが無くなり、座席もひと席ずつ飛ばして売られている状況なので、致し方ないところではあります。
春休み公開予定の大作、子供向け映画も軒並み公開未定になっていて、ポスターに入っていた日付にの上に、「近日公開」のシールが貼られていました。
むしろ、なんでそんな中で、この映画を観に行ったんだ僕は。
犬好きなのと、ハリソン・フォードさんの元気な姿を見ようかな、というのと、家に引きこもりがちなので、せめてスクリーンで、雄大な自然を見て、気分転換できないかな、というのと。
この映画の原作は、アメリカ合衆国の作家ジャック・ロンドンによって1903年に書かれ、これまでに7回映画化されているそうです。今回が8回目。
今回はCGの発達により、犬の表情や動きまで緻密に作られているのですが、だからこそ「CG技術もここまで進んだのか」という気分にはなるものの、「よく犬にこんなことさせられたなあ!」という驚きはありませんでした。いや、CGでこれをやるのはすごい手間だと理解はしているのだけれど、逆に、いまの技術なら手間をかければできるというのもわかっているから。
それでも、ユーコン川の激流をソーントンとバックが小さな舟で下っていくシーンは、ああ、野田知佑さんとカヌー犬・ガクは、こんな感じで冒険をしていたのかなあ、と感慨深いものがありました。
僕の世代的には、ジャック・ロンドンよりも椎名誠なんだよなあ。
アメリカでは長年、多くの人に読まれている「犬と人間の冒険物語」だそうなのですが、この映画ではじめて触れた僕にとっては、「ハリソン・フォード、意外と出番少ないな!」そして、「2020年的には、なんて身勝手なオッサンなんだ!」というのが率直な感想でした。
ハリソン・フォードが演じたソーントンさん、Yahoo!ニュースで採りあげられていたら、「肝心なときに妻をサポートせずに現実逃避している、最低の夫」としてヤフコメに批判が溢れたと思われます。
僕にとっては、前半の犬ぞりの話のほうが面白かったし。
バック対熊、というシチュエーションでは、高橋よしひろ先生を思い出したのですが、こんなポスターも描かれています。
歴史の流れとしては、ジャック・ロンドンの影響を野田知佑さんや高橋よしひろさんが受けて、それを僕が若い頃に読んだのですが、僕にとっては、作品に出会った順番が時系列とは逆になっているのです。
正直、ラストはかなり唐突というか、もうちょっとスッキリ終わってほしかったのですが(いや、観ていてずっと、「悪い予感」はする流れではあるんだけど)、そこはやっぱり「原作を重んじて」いるのだろうなあ。
『あらいぐまラスカル』方式で十分だったのに。
上映時間は100分くらいだし、今は外で遊び回れるような雰囲気でも気分でもないし、ちょっとボーっとしながら時間を過ごすには、ちょうどいい映画なんじゃないかと僕は思いました。映画って、なんとなく、「何か有意義な時間を過ごしたような気持ち」になれるものですしね。
しかしこれ、CG技術がこんなに発達していない時代には、どんなふうに映画化されていたのか、ちょっと気になります。